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勇者不完全  作者: まきびし
14/22

勇者不完全②-6

 お話を作るのは楽しいですけど、やっぱり色々難しいですね。


 結局その場でフォーデンは結論を出さず、サーガ達は考える時間を与えると帰って行った。その晩、フォーデンの住居に泊まったレストとノーシアはフォーデンをどうするか密談をした。フォーデンが魔王軍の一員に加わるのは時間の問題と考えるノーシアはレストにフォーデンを反逆者として捕えるべきと提案するも、レストはフォーデンを信じ最後まで待つべきだと言い、ノーシアの言を却下、最終的にフォーデンを信じ待つこととなった。


 フォーデンの住処で待つこと数日、フォーデンからは明確な回答を得られずにいた。そんなとき、東方砦から魔物の集団に襲われているという知らせが届く。


 一晩宿を貸して欲しいというレストの申し出をフォークランドは受け入れた。いくら慣れているフォークランドの先導があったとしても危険な植物生い茂る大自然、しかも魔物潜んでいる可能性のある大森林を日没後に行くのは危険だという判断だった。


 研究に関する物品しかない小屋ではあったが、広さだけは十二分にあった、レスト達はその一部を借り受け、寝床として使うこととなった。


「……さて、どうしたもんかな」


「何が問題って時間が無さすぎること、明日にはまたあいつらが来る、せめて3日あれば何か手の打ちようがあったのかもしれないけど」


 研究材料を採集に行くと言いフォークランドが出て行ったため室内にはレストとノーシアの二人しかいなかった。二人は床に腰を下ろし、少し気を抜いた姿勢で向き合っていた。


「で、実際どうなの?私たち二人だけで勝てると思う?」


「……相当きついだろうな、あのクソガキだけでも手こずりそうなのに、後二人……サータムは当然、あのいけすかねえノッポもただモンじゃねえ」


 険しい表情を浮かべながらレストは思考した。オーギュロープは剣士の類ではない、立ち振る舞いで分かる。魔術に関してもさほどではないことは会話からもわかった。にも関わらず竜人と直接戦うことになる可能性の高いこの任務に随行している。戦闘能力の無い交渉役といってしまえばそれだけだが、レストはその仮定を受け入れられずにいた。


「フォークランドさんは、どうすると思う?」


「……下らねえこと言うな、アイツが魔王軍に着くかよ」


 ノーシアが納得していない表情でうつむいた。レストも口では否定を述べたもののフォークランドに裏切る理由とメリットがあることは嫌というほどわかっていた。完全な死者蘇生を成し遂げる魔術、魔術師の心を揺さぶるには十分すぎるほどの対価だった。


「単なる可能性の話として聞いてほしいんだけど、今のうちにフォークランドさんをこう、多少強引にでも東方砦に連れてってさ、そこであいつらを迎え撃つってのは?」


「難しいだろうな、まあやる意味はわかるが、フォークランドを説得できなきゃ途中で逃げられて終わりだ、何せここらはアイツの庭みてえなもんだ、いくらでも逃げようはあるだろ」


「要するに、フォークランドさんの気持ち次第ってことね、はあ……」


ノーシアのため息がやけに大きくレストの耳に響いた。フォークランドは未だ戻らない、曰く、雨の竜の感覚器官で夜中の採集も苦にならないとのことだったが、それでも灯り一つない大森林の夜闇はレストをして危険を感させるほど深かった。


「……裏切りってことになるのかな?もしそうなら私たちは……」


「……お前の言うことは最もだ、つーか多分兵士としてはそっちのが正解なんだろうけどよ……フォークランドが結論を出すまでは待ってくれ、もしもの時は俺がやる」


 ノーシアが少し驚いたような表情でレストを見つめた。裏切り者には迅速かつ徹底的に対処すべし、王国兵士になるとき基本の一つとして叩き込まれたことだった。一人の裏切りは集団に波及し取り返しのつかない事態を産む、初期段階でその芽を摘むというのは、ごく当然のことであり、それに照らし合わせるとレストの言堂は先ほどから、やや緩慢、甘いといって差し支えないものだった。しかしノーシアにとってレストの甘さが今はどこか嬉しかった。


「レストは凄いね、フォークランドさんを信じてる、そんなに仲良かったの?」


「いや、アイツとはそもそも荊兜に居た時もそこまで親しかったわけじゃねえ、けどな昔からちょっとばかし有名でな、そのころから気になってたってだけだ……つーかフォークランドの野郎遅えな」


「ふわあ、私はもう限界、レストは待つの?」


 大きなあくびをしながらノーシアは軽くのけぞった。外は先ほどと同じく完全な暗闇、しかし時間は確かに流れていた。


「いや、俺はもう少し待つ、アイツの前でむざむざ眠りこけてる姿を見せたくねえ、一言文句つけてから高いびきかいてやる」


 ノーシアは寝ぼけ眼に少し呆れたような表情を浮かべ、そのまま目を閉じた。レストはフォークランドを待ち続けた、森林の散策、蹄の魔物との戦闘で疲弊した体を鼓舞し、ひたすら待ち続けた。しかし睡魔に負けたレストが眠りに落ちるその瞬間までフォークランドはついに帰らなかった。


読んでくれてありがとうございます、感想等々ありましたら気軽に言って下さい。糧と励みにしますので。

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