大宇宙の仕組み(?)
ガッシャーン
「──っていうか〈神の遣い〉に目を付けられない様にすればいいんじゃないのか?」
サイダー
「それは無理だな。〈神の遣い〉は〈神界〉に居られる〈方便神〉に遣えているんだ。〈方便神〉っていうのは、地球上で生きている人類が信じている様々な信仰神の事を言うんだ。本来は 一神なんだが……世界,国,宗教,信じる者によって、信仰神の名前,姿,性別,役目等が異なっていてだな、その為〝 多神〟とも言われている。どの〈方便神〉も〈宇宙大自然の大いなるエネルギーの根元〉──目には見えなくても何処にでも遊在している不思議な力──〈神力〉とも呼ばれる〈SG〉の事なんだ。地球の人類は同じものを指して、言葉や名前を変えて言っているだけなんだが……どうやら真実を知らないで生きているらしいな」
ガッシャーン
「そうなのか? それはオレも知らなかったな……」
サイダー
「仕方無いさ。地球に降りて教えたとしても、素直に受け入れられるとは思わないしな」
ガッシャーン
「ハハハハ……まぁ、そうだろうなぁ?」
サイダー
「それにだ、地球人の宗教,信仰に関する知識は間違いだらけだからなぁ。先ずは間違いを正す所から入らないといけないだろうな……」
ガッシャーン
「ハハハ……厳しい事を言うなぁ。おっ、そうだ! 自由待機をしている間、地球に降りて正しい宗教,正しい信仰について教えてたらいいんじゃないか?」
サイダー
「俺がか? ──激しく嫌だね。俺は出来る限り、地球人とは関わり合いたくないんだ。〈島宇宙間〉で悪さを働く悪者を逮捕する事しか俺には出来ない。〈SG〉じゃないんだ。〈神力〉も使えないし、奇蹟だって起こせないんだぞ。例え奇蹟を起こせたとしても、〈SG〉の実在を信じない人類は、インチキだとかヤラセだとか言って罵るだろうしな」
ガッシャーン
「ハハハ……それには否定は出来ないな……。でも、中には信じてくれる人類だっているだろう?」
サイダー
「まぁ、居るとは思うがなぁ……。兎に角、俺は地球には──いや、太陽系には行きたくないんだ!」
ガッシャーン
「其処迄 拒否するとはなぁ。……何かあったのか?」
サイダー
「…………。ノーコメントでいいか?」
ガッシャーン
「ああ、俺は構わないさ」
サイダー
「──さてと、気を取り直して、博士を捜す為に〈大宇宙〉を旅する事になるガッシャーンに〈大宇宙〉の仕組みを教えるよ。俺からの餞別だと思って聞いてくれ」
ガッシャーン
「サンキューな」
サイダー
「始めるな。先ずは──〈暗黒大宇宙〉と呼ばれる何処迄も広がる真空空間がある。この〈暗黒大宇宙〉を俺達(宇宙刑事)は〝 果てのない暗黒大宇宙 〟として〈暗黒大宇宙の果て〉と呼んでいる。この〈暗黒大宇宙の果て〉には〈SG〉が居られず、神力も無いんだ」
サイダーは白紙の中に〈暗黒大宇宙の果て〉と文字を書く。
サイダー
「この〈暗黒大宇宙の果て〉には、一際大きな球体が 一つだけ存在しているんだ。この球体は〝 眩しく金色に光る光壁 〟に包まれている。〝 眩しく金色に光る光壁 〟を俺達(宇宙刑事)は〈宇宙背景放射〉と呼んでいるんだ」
白紙の中に大きな円を 一つ描くと、〝 眩しく金色に光る光壁 〟に包まれた球体をイメージし易い様に、円線の上にギザギザを描いた。
サイダー
「この 一際大きな〈宇宙背景放射〉を俺達(宇宙刑事)は〈第一宇宙背景放射〉と呼んでいる。この〈第一宇宙背景放射〉内部の 一切の運行を支配されておられるのが、人の知力によって計り知る事の出来ない或る大きなお力の能き──霊妙、不可思議な能き──に依って動かされているんだ。この霊妙な能きを〈SG〉と言う」
ガッシャーン
「〈時空勇者〉の話の中にも出て来たよな」
サイダー
「この〈SG〉、地球の人類が信仰している信仰神とは異なるんだ。〈第一宇宙背景放射〉内部に広がる〈暗黒宇宙〉を俺達(宇宙刑事)は〈第一暗黒宇宙〉と呼んでいる。〈第一暗黒宇宙〉に無数の〈宇宙背景放射〉が存在している。この無数に存在している〈宇宙背景放射〉を俺達(宇宙刑事)は〈第二宇宙背景放射〉と呼んでいる。〈第一宇宙背景放射〉内部の〈第一暗黒宇宙〉内で〈第二宇宙背景放射〉同士が、ぶっつからない様に〈SG〉の〈神力〉が能いておられるんだ」
先程、描いた一際大きな円の中に、沢山の円を描くと説明文も書き入れる。
サイダー
「そして、この〈第二宇宙背景放射〉内部にも〈SG〉が居られる。同様に〈暗黒宇宙〉が広がっている。この〈暗黒宇宙〉を俺達(宇宙刑事)は〈第二暗黒宇宙〉と呼んでいる。無数に存在している〈宇宙背景放射〉同士が、ぶっつからない様に〈SG〉の〈神力〉が能いておられるんだ。この無数に存在する〈宇宙背景放射〉を俺逹(宇宙刑事)は〈第三宇宙背景放射〉と呼んでいる」
サイダーは白紙を変えると、大きく描いた〈第二宇宙背景放射〉の中に〈第三宇宙背景放射〉の絵を幾つも描いた。
サイダー
「この〈第三宇宙背景放射〉内部にも〈SG〉が居られて、一切の運行を支配されておられる。〈第三宇宙背景放射〉内部を支配されておられる〈SG〉こそが、地球の人類が信仰している信仰神に当たるんだ。〈SG〉とは〈宇宙大自然の大いなるエネルギーの根元〉を指している。〈神力〉も奇蹟も〈宇宙大自然の大いなるエネルギーの根元〉のほんの 一部に過ぎないんだ」
ガッシャーン
「…………。えーと……〈宇宙大自然の大いなるエネルギーの根元〉=(イコール)人の知力によって計り知る事の出来ない或る大きなお力の能き=(イコール)霊妙、不可思議な能き=(イコール)〈神力〉=(イコール)奇蹟=(イコール)〈SG〉──と考えても良いのか?」
サイダー
「その通りだ。〈SG〉の〈神力〉によって〈神の遣い〉ですら、この〈第三宇宙背景放射〉外部には出られない様になっているんだ。この〈第三宇宙背景放射〉内部の真っ暗な真空の宇宙空間を俺逹(宇宙刑事)は〈第三暗黒宇宙〉と呼んでいる」
〈第三宇宙背景放射〉を描いた円の中に、簡単な絵で様々な銀河系を描き入れる。
用紙を変えると銀河系の絵を描き、太陽系の絵を描く。
更に太陽を中心に回る天体を描き、惑星──地球を描いた。
サイダー
「──こんな感じになるかな。因にだが、〈第三暗黒宇宙〉の広さだが、何処の〈第三暗黒宇宙〉も同じで、広さは決まっているんだ。地球を中心として例えると……地球から〈第三暗黒宇宙の果て〉迄の距離は、光の速さで半径 千億光年程しかないんだ。それと〈第三宇宙背景放射〉同士がぶっつからない様にと〈第三宇宙背景放射〉同士の間には、一個分の〈第三宇宙背景放射〉が入るだけの空間があるんだ。……どうかな、参考になったかい?」
ガッシャーン
「有難いね。〈時空勇者〉ってのは、本当に大変だな。地球から〈第三暗黒宇宙の果て〉迄の半径千億光年の広さの〈第三暗黒宇宙〉の秩序をたったの 二人で守ってるんだろ? 改めて話を聞くと凄いよな……。なぁ、この絵だが貰ってもいいか?」
サイダー
「うん? 欲しいのか? 別に構わないぞ。そんなので良ければ貰ってくれ」
ガッシャーン
「サンキュー。助かるぜ! う~ん……それにしても、こんなに広いとは思わなかったよ。オレは光の速さで動けないから時間が掛かるだろうなぁ……。博士が生きている間に見付け出せればいいんだが……」
サイダー
「頑張れ!」