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魔王城の番人  作者: 伽本 外
六大陸編
1/1

1話 始まりを呼ぶ者

初めて書かせていただくので拙いかも知れませんが、頑張って連載していきます。

空は曇天(どんてん)、辺り一帯は遮蔽物(しゃへいぶつ)のない平地。

心に野望の炎を宿して魔王討伐を目的とする彼らは城を目指して歩を進めている。

眼前には小さく城が見えているが辺りには魔物の影はない。

彼らは辺りに魔物がいない理由を知っていたから平然と歩いていた。

彼らは足を止めた。

目の前に見えている城の扉のところに明らか魔物でない者が立っていたのだ。人間だ。

来客の気配に気付いていた人間の兵士は背中の刀剣を握っていた。

魔物である彼らは殺気を放っている兵士に対し、人間であることを嘲笑し、余裕綽々な態度言い放つ。

「脆弱な人間、生きたければここから退散しな。大事な戦いの前に無駄な力は使いたくないんでな」

兵士は表情を変えなかった。寧ろその言葉から彼らの目的を察したのか剣を抜いた。

兵士の剣は彼らに戦闘態勢に入る余地を与えず首と身体を切り離した。

一瞬にして数十を超える魔物の群れはたった一人の兵士に倒された。


兵士はいつもこの繰り返しの中で生きている。

兵士の守る城の主は嫌われ者でその座を狙おうとしている敵が大勢いる。

それらは毎日のように城にやってくる。

しかし、城の中に足を踏み入れることができた者はいない。

もちろん討伐目的で来た者で生きて帰ったものはいない。だから、兵士の存在を知る者は少ない。


兵士の名前はレウリア・フルネイム。

魔王の城の番人である。




ある日、レウリアは魔王領土の村ファリムに来ていた。その村は300年前に魔王が大陸を治めてから人は住んでいなく、草が生い茂っている。

真ん中の広場には石像が立っていた。

その像は長い年月によって風化したのか腕が地面に落ちところどころ大きな傷が入っていた。


レウリアは広場の石の椅子に腰をかけている。

風が吹くたびに草が(なび)く。

花の匂いが鼻を(くすぐ)る。

この場所は時間が流れていないと思えるほど静かである。


一人の刃がレウリアを狙っていた。

しかし、刃が届く前に地面に押さえられた。

「目的は何だ」

レウリアは剣先を犯人の首に当て鋭く言葉を放つ。

「悪い、悪い、悪かった。お前を試したかっただけなんだ、離してくれ」

そう言いながら犯人は刃から手を放した。

「この大陸に来ての初めての人間だったからさ、どれくらい強いか測りたかったんだよ」

それに答える。

「勇者じゃないぞ」

「分かってる。でもこんなところにいるってことは世界を取り戻そうと思っているんだろ」

「思ってない、その逆だ」

その答えに驚きを隠せない青年の口は開いていた。

咄嗟に拘束から逃れ距離を取った。

そして、お気楽そうに言った。

「おい、おいおい、敵かよ。先祖様も悪いことしてくれるなぁ、ほんと」

青年はさっきまでと違い真剣な顔で言った。

「お前の力を試してやる、本気で来い」

レウリアはその言葉を聞き、剣を抜いた。

そして、一瞬にして青年の目の前まで詰め、目にも留まらぬ速さで斬りかかる。

しかし、全ての斬撃は青年の作り出した魔法の壁で防がれていた。

「本気出せよ」

その言葉を言うと、剣を拾いレウリアに向けた。

今度は青年が斬りかかるが、レウリアは剣で全てを防いだ。

剣と剣が交じり、火花が散る。

隙ができた青年は魔法壁を張るがレウリアの一撃はあっさりとそれを貫いた。そして青年の腹も貫く。

青年は苦痛の悲鳴をあげ、その場に膝をついた。

と思えたが青年は無傷で、刃をレウリアの首に当てていた。膝をついている青年は幻術だったのだ。

「俺の勝ちだな」

青年は続ける。

「と言いたいが、これ以上続けたら俺は死んでいただろう。だって、お前の顔はまだ全力を出していないって顔をしている」

レウリアは答えない。

黙っているレウリアを見て青年は言った。

「お前なら魔王も倒せるんだけどな」


二人は休戦することにした。

青年は立ち去る前にレウリアに名前を聞いた。

レウリアは答え、同じように青年に名前を聞いた。

青年は答える。

「俺の名はフェシュラス・ファリム」

続けて、要らない話をする。

「ここは先祖が住んでた村だったらしい。だから、ここでお前に出会えたことは運命だと思う。敵同士でもだ。次会うときは俺も手加減なしでいく」

レウリアは去っていく青年の後ろ姿を見て思っていた。


次は本気だ。

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