扮する俺
数日たったが特に何もなく過ぎていく。
音がするたびにビクついてしまう。先日鉈の跡があった場所や周囲を探索しても人の影は見当たらない。毎日来ているわけでもないのかな?
むう。
このまま待っているだけだと何も手につかないし、何より精神衛生上良くない。
機先を制して俺が街に行ってみるか。
でも俺がこのまま行っても捕まるだけのような。
若い男子だと狙われるってことだと、老人に扮すればいいのかな。
老人にか……
ヒゲを白くするか。でもどうやって白くするんだ?
ブリーチなんてないし……
アルコールになりそこねのお酢があるのでそれに浸してみる。
……艶々になっただけか。
重曹につけてみる。
……ゴワゴワになっただけか。
ちょっと茶色っぽくはなったけど「老人です」とは言いがたい。
ハゲだと年行ったように見えるな。
……くっ!
剃るか。剃った髪の毛に石灰の白い粉にいれてそれをヒゲに植え込む。
老人といえばシワだな。
目尻や額に手でシワを寄せて膠で貼り付ける。
……後で落ちるよな?
シワができたらシミが必要か。そこまで凝ること無いのかな?
青い植物の実を潰して五円玉ぐらいの大きさで手の甲や頬などに塗っていく。
おおっ!ジジイになったきた。
これに深めにフードを作っる。フサインが死んだ時に剥いだ服を着る。適度に染み込んだ加齢臭と死臭がいい感じに老人を醸し出しているな。
これで街とやらに行ってみるか。




