表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/118

寂しい俺

 何故か急に寂しくなった。

 かれこれ4年間以上ぼっち生活でそれほど感じなかったが、家に帰ってくるなり何もする気が起きない。

 せめてアルマの裸だけでも見ておけば良かった。


 あいも変わらずぼーとしているとどうでもよい事ばかり考える。


 下痢ピー作戦が思いもよらず効果が広がってしまったこと。

 村が襲撃されてしまったこと。

 フサインを殺してしまったこと。

 そしてアルマが去ったこと。


 もう少し色々やり様があったような気もする。

 だが、結果は変わらないような気もするな。対人スキルなんてもんはこの4年間必要なかったし。


 気を取り直そう。そもそもぼっちだったはずだ。

 少しぐらい親しい人が増えても、ゼロが少しプラスに触れてまた戻っただけだ。


 腹が減ったな。

 そうだ。肉を食うか肉を。

 ぼっちらしく一人BBQでもするか。

 鹿肉は食い飽きたし、牛肉でも食うか。牛の頭数も減ってきたので控えめにしていたのだが、あまり気にしてもしようがない。

 動物性蛋白質の補給方法をもう少し考えないといけないようだ。


 山に登って牧場に行く。

 ぐるっと回ってみる。


 なんてこった。牛がいなくなっている。

 肉食獣に食われた跡と囲っていた柵が破れている。


 ……痛い。激しく痛い。

 俺のBBQ計画があっという間に潰されてしまった。


 落ち込んでいても牛は戻ってこない。

 柵が破れたところから先に進んでみる。未踏地で、地図も作っていない場所である。

 山裾を回り込むように歩いて行くが、険しいガレ場になっている。歩きづらい。

 牛も好き好んでこんな所に来ないだろう。

 辺りを見渡してみると視界の端で動くものを捕らえた。

 良く見てみると遠くで白っぽい動物がガレ場を跳ねながら動いている。


 ……なんだあれは?


 あれは山羊か?4つ足で白くて小さい角ぽいものが見える。

 山羊だったら俺でも飼えるんじゃないかな?

 某TV局の山羊橋くんも某アイドルに飼われてたし。


 気付かれないようにそっと近づく。

 が、そんな努力も空しく簡単に見るかっているようでこちらに視線を固定したまま目を逸らさない。

 あまり警戒心が無いようで10mぐらいまでは近づける。そこから先は近づこうとしても逃げてしまうが。

 家族単位で群れているのか5〜6頭ずつは近くにいる。


 これを生け捕りに出来ないだろうか。弓で射るのは簡単だと思う。さすがに10mの射程を外さないし。ただ、殺してしまっては安定的な食料供給源にならない。

 あの牛は攻撃的だったので手を出しにくかったのだが、山羊は大人しそうだから山羊乳が採取できると思う。

 乳。夢が広がる。食が豊かになる。

 絶対に飼ってやる。


 しかし、このガレ場を追い込むなんて出来ない。どうするか……



 一度家に戻り、エバとドナドナと一緒に山羊を狩りにきた。

 狩りといっても射殺すわけではない。生け捕りにするのだ。

 目指せ山羊酪農家。


 用意したものは吹き矢。矢には芥子で出来た神経毒薬を塗ってある。量は控えめに。

 薬用量や致死量なんてもんは分からない。適当に。

 俺が山羊に近寄って逃げられない距離約10mまで寄って吹く。まず外さない距離。

 当たった直後は逃げていく。釣られて群れ単位で逃げられてしまうので躊躇なくどんどん狙っていく。10〜15分ぐらいすると当たった奴は倒れる。倒れた山羊の脚をロープでくくってドナドナに放り込んでおく。

 今回は20頭ほど収穫できた。牛に逃げられた牧場を修復して山羊を離してやる。死んじゃった山羊は5頭程いたが後は元気に飛び回っているので少しずつ増やしていこう。


 死んじゃった山羊は一人BBQで美味しくいただきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ