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使えない祝福とぼっちな俺  作者: woki
フロンティアな俺
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カミ創造の俺

本日投稿1/4話目

 さて、紙をつくるか。


 紙といっても俺が知っているのは洋紙と和紙が大きく分かれているのを知っている程度。

 紙は木や草の繊維質をドロドロになるまで煮たりして目の細かい網で漉し乾かす。 ……これは和紙の作り方?

 それと日本の紙幣にはコウゾやミツマタが。米ドル紙幣には綿や麻が混じっているってのが紙の俺の知っているすべての知識。


 ……これで作れるのかね。


 ちなみに日本の金もアメリカの金も民間企業が発行してるって知ってた? まあ、完全な民間企業かって言われたらちょっと違うし公務員ぽいけど。

 日本は日本銀行が勿論発行しているのだが日本銀行はJASDAQに上場していて40%は個人が所有している。その株主構成は公にされていないのだが、そこには色々陰謀論が…… ロスチャイルドなんかが…… GHQ、プラザ合意、バブル、ゼロ金利政策……

 やめよう。俺の身が危ない。ここで言う俺とは俺だが俺のことだ。



 閑話休題。


 パルプつまり木材から作るのはハードルが高そうなのでやめる。そうすると和紙っぽく作るしかない。繊維質が多そうな植物を切り出してくる。みじん切りにしてグラグラ煮る。徹底的に煮てクタクタになったら水にさらし、黒くなっている部分などを手でより分けていく。

 これを水に溶かして漉いてみる。()は平たい竹ひごを繋ぎあわせたものを使う。

 漉いたものができたら家の壁に貼り付けて乾かす。


 ……失敗。


 繊維質が荒くて均一な厚さにならないし、目が荒すぎて書くどころの話ではない。そして、全体的に黒い。安い韓国海苔みたいな感じ。贅沢は言わないがこれを使う気にはなれないな。

 それと漉くときや出来上がりに粘り気がない。牛乳パックでハガキを作った時には糊を入れていたので試してみる。


 ただ糊は無い。米もないのでご飯粒でも作れない。燕麦をつぶしても粘り気がほとんど出ない。

 そうそう、腐るほどあるじゃが芋な。じゃが芋をすりおろし、水にさらすとそこにデンプンができる。つまり片栗粉。この片栗粉を水に溶いて、熱を加えるとネバネバができる。これを投入する。


 漉きやすくなり、腰が出てきた。ただ、まだ紙には程遠い。


 植物の種類を変えてみたり、煮るのではなく蒸した後に皮を剥いだり内皮を薄くしたり、川にさらしたり、簀を改良したり、ミョウバンなどで脱色できないか挑戦してみたりと、試行錯誤した結果やっとそれらしきものが出来上がった。

 大きさはハガキ大のもの。それで十分な大きさだ。だがほかの用途もあるので1m四方の紙も作る。


 ここまで来てふと思った。


 俺が今迄使っていたのは元の身体の持ち主が日記を書くために使っていた羽ペンのようなもの。この自作和紙にはペン先が引っかかって書けないんじゃね? と。




 基本的な道具がないと、道具を作るための道具を作る連鎖が生まれ、止まらない、終わらない。


 和紙には筆ということで、筆作り。


 筆の軸は細い竹を使うとして、筆先はどうするか。


 筆は糸で出来てる? いや違うな。毛だな。毛筆っていうぐらいだからな。動物で試してみる。牛の毛は硬いし馬の毛は柔らかすぎるので上手くいかない。そうか、赤ちゃんが生まれて初めて切る髪を胎毛筆にするって聞くしな。髪の毛があるじゃないか。


 えっ?髪の毛?


 またか。またなのか。

 これは何かの陰謀なのか。



 ……俺の髪は何時になったら生えそろうのか。



 その話題は避けたい。


 次は墨。墨も意外と大変。

 墨といったら黒い。黒いと言ったら炭。

 でも木炭作りはしたことがない。作ってみたいけれども……

 他に黒いもの。煤や木の燃えカス。これを細かくして水に溶いてみる。滲んでしまって使い物にならない。


 そうそう。小学生の時に通った書道教室の先生に聞いたことがある。墨には(ニカワ)が使われているとな。



 こんどは膠作り。


 膠は動物のゼラチン質だと思った。ならば、皮や骨、角に含まれているゼラチン質を煮だしてやればいいんだな。

 牛皮や鹿皮、爪や角を水から沸騰しない程度に温める。


 まあ臭い。鼻がひん曲がりそうになる。ラーメン屋が豚骨を煮だしている様な臭い。


 数時間沸騰させないように煮込み、水の量が減り、色がアメ色になって、材料がクタァとしたら濾して乾かす。この時に少しミョウバンを入れておく。乾燥してカチカチになったら出来上がり。



 墨作りに戻る。


 出来上がった膠をお湯で戻し、煤や燃えカスで黒くなった水に少しづつ溶かし入れる。

 試し書きしてみると少し滲むような感じはあるが概ね成功と言っていいだろう。


 こうして俺の紙作りを終える。

日本銀行の云々について興味ある人は

『赤い盾』広瀬隆著を読んでみてください。

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