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失敗続きの俺
さて、窯らしきものができた。
不格好ながら粘土で皿やカップを形作ってみた。日陰干しをして乾燥させた。
良く分からないなりに、中に皿を中に並べ、釜の入口からガンガン薪を燃やす。
釜が温まったら、入口を塞ぎ自然に冷ます。
「よし、できたかな」
数日後、釜の入口を開けて中を覗き込む。
「・・・・・」
言葉なくバリバリに砕けている陶器のようなものを取り出していく。
「…全滅だな」
端から期待を期待をしていなかったが、それでも少しは期待してしまうのが人ってもんですよ。
ゴミと化した粘土を釜から引っ張り出し何が悪かったかを検証してみる。
泡だったような割れ口をしていたりものがあったり、隅においてあったものは割れが少なかったりしていた。
「粘土はもっとこねて空気を追い出してやらんといかんな。それと温度調整か。これは何度もやってみないとわからないな」
試行錯誤すること余度。
季節は夏から冬に差し掛かかり。乾季が訪れた頃。
「…やった…」
小さい素焼きの皿が男の手に残っていた。




