あーちゃーな俺
そう、俺は気付いてしまったのだ。
俺の畑はそう大きくない。
大きくないどころではなく小さい。
昼夜なく耕せば3日で終わる。
深く掘り起こしても終わる。
広げようにも木々が生い茂り思うように広げられない。
そこで次なる目標、樵人形の制作だ。
人間が木を切ることは簡単だが作ることは難しい。
まず斧で中心部まで届く様にくの字に切り掻き、反対側をくの字の頂点に向けて斧の刃を入れていく。そうするとくの字に切り掻いた方向に向けて倒れるのだが、倒す方向が家の方向だと困るわけだ。切っただけでなく枝打ちして、適度な長さにし、所定の場所に運ばなければいけない。
もっと言うと、畑にするには木の根っこを掘り出さなくてはいけないのだがこれは後回しに。
樵人形は三体にすることにした。
一つは水平方向に斧を振るう人形。二体目は枝を鉈で払う人形。三体目は4m程度の丸太に長さに切り分ける人形。
運搬は難しいだろう。重量物を動かすには同等以上の重量物の人形が必要だろう。また、それに耐えられるだけの細工は持っている道具だけではどうにもならない。伐採して放置しておけば含有している水分も抜けて軽くなるかもしれないし。
あと、樵人形は夜の稼働をさせないことにした。これは寝ている時はうるさいだろうし、万が一、倒れこんできたら永遠の眠りについてしまうかもしれないからだ。
制作は気長にやることにした。
食糧事情があまり良くないし、材料も必要だし、斧ももう一つ必要だ。
石斧でも良いと思うが、それにしても見合うだけの石を見つけてこないといけない。
―――
ここ最近の進歩は、漆の発見と、弓を作ったことだ。
弓は乾燥した木を軸にして、竹を張り合わせ、和弓もどきのようなものを作った。
張り合わせるものはナイフで削って作った木釘と木の皮を漆で貼り付けた。
問題となったのは弦。弦の材料に適したものが周囲になかった。
麻っぽい植物はあったがどうやれば、繊維だけ取り出せるかよくわからなかったのだ。追々研究してみるつもりだが…
そんなこんなで一番手近なもので代用してみた。髪の毛である。もともと肩より長い髪の毛が散髪などと文化的なもの等ないので、かなりの長さになってしまった。それを利用し、髪を縒ってみた。それを漆でコーティングするとかなり頑丈な弦が出来た。
いま、頭髪のことを触れるのはよしてくれ。
水面に映る自分を見たくはない。
矢は鏃なんてもんはないし、黒曜石もないので石鏃もできない。他に利用してできるのかもしれないが…
なのでなるべくまっすぐな枝や木を縦に割り裂いて、火であぶり真直ぐに矯正して、先を削ったものでしかない。
矢羽は落ちている羽を利用しつつ、二枚羽にしている。刺突、貫通性能や直進性などは200~300mぐらいかね。正直、矢にばらつきがあって何とも言えない。
初期に植えたじゃが芋も収穫できるようになったのでお弁当にしてちょっと遠出してみますか。