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異世界にはもう慣れました サウザンド!  作者: 八七月
第二章 魔人スーツ研究所
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まどろみのひと時

※今回は短めです

さてさて前に俺はこの世界では魔法は使えないと言ったことがあった、それに嘘偽りは一切ない。

ではなんの特殊能力も使えないのかと聞かれるとそれに俺は否と答えさせて貰おう。

魔法は使えないがスキルは使えるんだぜ?

っと俺は誰もいない寝室の暖かい空気を一定の間隔で送り続ける電気製品(電気ストーブとも言う)を設置されたベットの上で思ふ。

では魔法他術式とスキルの違いとはなんだろう?と皆そんな疑問が上がることだろう。

それはズバリどれだけ理論的に頭で考えてやるのかという所に焦点が当たる。

簡単に例を用いて表すとなると魔法他術式は13×5×0という計算をする際に一々13が五回分あってそれを0でかけるとーーーー答えは0というような論理的な考え方をする。

一方スキルは計算の時になんとなくの当てずっぽうで0と答えてそれが見事当たってしまうという奇跡とも呼ぶべき閃きを大事にするやり方なのである。

だから魔術他術式が『魔力』『用いられる方式』『イメージ力』が必要であるのに対し、スキルは『才能』のみで人の力を超えた能力を発揮させることができるのだ。

勿論誰でも強力なスキルが備わっているわけではなく、例え筋力が人よりあろうが足が速かろうがそこにスキルに昇華するほどの才能がなければいくらやってもスキルは発動できやしない。

しかもスキルの強さには凄まじいほどの個人差が生じ、同じスキルであっても極端に強かったり弱かったりする事案が発生している扱い辛い能力群。

だが一方で魔法は努力次第である程度の力はつけることが出来るのが魅力だ。

その代り世界に『用いられる方式』で使用する基礎となるもの(数式でいえば+-などの繋ぐ記号のこと)がなければ発動することすらままならない。


この主に二つの偉大なる人智を超えた能力により世界は動いていて、大多数の人はそれを知ることもなく生きているわけが俺にとっては死活問題である。

世界を救うというそんな大それたことを転移されるたび毎回こなさなければならない身として、魔法があるのかスキルは使えるのかというのは大変重要な課題。

しかも現在俺は絶頂期であった14歳と比べてかなりのパワーダウンが懸念されている。

理由は14歳の時自分のすべての力と引き換えに何とかこの魂に刻みつけ、封印した人々の負の感情の塊とも呼ぶべき知念体『じゃしん』が原因だろう。

こいつ、俺の自然回復した魔力や筋力まで『吸収』してしまうとんだ穀つぶし野郎なのだ。

精神回路にも当時は頻繁に侵入してきて、俺は毎日『じゃしん』が語る胸糞悪い話を聞きながら、時には追体験しながら鬱屈とした日々を過ごしていた。(15歳の時訪れた異世界でこれは克服し、完全に俺のコントロール下に置くことに成功している。)

今でも『じゃしん』は俺と嫌味を言い合うレベルで意思疎通をする程度の知能は残しているが、彼は俺の核となる所持している14歳以降に所得した戦闘スキル全てを管理する存在まで肥大してしまい

時折魔力を急激に『吸収』させてやらないとすぐ機嫌を悪くして、戦闘スキルのすべてを使えなくしてしまうというとんだじゃじゃ馬野郎だ。

それはもうとてもとても厄介な奴で、だから、あれは俺が悪いわけじゃないんだぜ?

モルナにキスをしたのはそれが現段階で最も魔力を急激に吸収するのに丁度よい行為であったから。(舌を絡めあったのは強引にキスをするという行為に俺が罪悪感を感じ、相手の望むままに行為を促したのが原因と言える。)

明日にも作戦は迫ってきているのにこのまま戦闘スキルを一切使えない状態で戦場へと赴くのは心許なかったのだ。

せめてここが空気中に『魔素』がたっぷりある世界であったら誰かに迷惑かけることもなく急激な魔力回収でスキル回復も出来たわけが、生憎ここの魔素は現代日本よりも3倍濃ゆいくらい。

濃ゆさはせめて日本の100倍はないと足りないので、今日明日では無理な話だったわけだ。

だから、だからさ。明日の救助作戦の為にも仕方のないことだった。それでキスの件は許してくれるよね?ねモルナ?





「…なんて一人でブツブツ口実を言っても仕方のないことだが。」




俺は一人でペラペラと言い訳を一通り壁に向かい言って、ため息をつく。

天井には先程のランプのようなか細いあかりとは違い、真昼間のように感じさせるLEDライトを設置したことでとても部屋中は明るくなった。

しかしどうやら俺の心に残る靄までLEDライトは明るくはしてくれないみたいだ。




「…明日会ってから詫び入れないとな。モルナには」




元仲間とはいえかなり大胆なことをしてしまった(まあモルナも大概だったがあれは俺を励ますための悪い冗談であったと解釈している)。

理由も言わずに強引に接吻するなんてあまり褒められたことではないし、仕方がないこととはいえ彼女には俺の無礼を謝罪する必要があるだろう。

魔力の殆どを吸ってしまったようで、彼女は気絶して多分朝まで起きることはない。

ならばと何も言わず部屋に置いてきてしまったが、不味かっただろうか…





「…まあいい。俺も明日は早い。もう、寝るとしよう。」





冷静に思えば今日は異世界転移一日目であるし、体が『異世界酔い』しているようで上手く力のコントロールもできずにいたようだ。

冷静な判断も、これぐらいなら大丈夫だろうという慢心も修学旅行のバスの中の陽気な雰囲気に絆され、どこかで生まれてしまっていた。

ここにいる三人以外は彼方に囚われてしまっているこの現状はとても悔やむべきことだし、何百年と戦いに暮れている俺としては不甲斐ないと思わずにはいられない。

だからこそ今は寝よう。そう俺は結論づけた。

だって今更後悔した処でみなが帰ってくるわけではないだろう?

だったらすべてを忘れてゆるりと寝るのが一番ではないか。

俺は明日必ずみなを助けることを心に強く刻んで、深い深い眠りに身を落としていった。






























モルナ=リズィフィードは夢を見た。

久しく見ていなかった前世の記憶をモチーフにした夢であった。

前世の私は今と同じ紫髮だったりそれとは違う赤髪だったり茶髪だったり青髪だったり、美しかったり醜かったり手足のないあられもない姿だったり、男勝りだったり女々しかったり様々な姿をしていたものだが、そんな私にも変わらぬものが一つだけある。

それは遠くで見つめた君ーーーーーーシュバルツと名乗る黒髪のとても美しい少年の姿がそこには常にあったことだ。

彼はいつもいつも私の目の前に現れては優しく微笑みかけた。

前世の私達は恋焦がれた。一人の少年にいつでもいつまでも時や場所、姿形や記憶さえなくし、変わってしまったとしても私は必ず彼一人と恋に落ちてしまう。

それはまるで予め決められたひとつの縄のように私を締め付けるけど、息苦しさや痛みは全くない。

むしろ愛おしい、暖かなぬくもりで、私はそれにいつまでもいつまでもこうしていたいと甘えてしまいたいという衝動に駆られてしまう。

でもーーーーー




(だからといっていつまでもこうしているわけにはいかぬだろう?なあ我が前世様達よ?)




私はそれらを強引に振り切り、夢の中の小さな彼の隣につく。

前世の私ではどうしても彼と一生を共にするパートナーという一歩が踏み出せなかった。

せいぜい友達どまりの仲間どまり。それ以上の関係になどなれなかったし、またなる必要もないと考えていたようだ。

だが私は違う。前世の私の記憶を一心に背負った私には友達や仲間などという関係ではもはや満たされぬ。

私と彼は一つになる、それが運命であるかのように宿命づけられているかのように私は今まで努力を重ねてきた。

いずれ必要になるだろうと前世の記憶を活用して家事、一般知識、武芸と様々なことに着手したものだ。

また私は自ら彼を探すことにした。

彼に報いるために、今まで危ない時は助けてくれたように今回は私が彼の何か手助けになればと思い、大地を駆け山に登り街では聞き込みを念を入れて行う。

黒聖警軍の特殊部隊に入ったのも単純に人の情報がより集めやすい機関であった、ただそれだけの理由。



(まあその結果、あの醜い男に見初められることになるのは怒りを通り越してもはや悪い冗談にしか思えないわけだが)



今まで私は彼に対して受け身の姿勢、攻めず拒まずを業にしていた。

だがそれはただ彼に甘えているだけで、きっと私がピンチになったら助けにきてくれるんだとか本気で思っていた夢見がちな勘違い娘。

彼の隣にずっと居たいのであればそれではダメだ。

強くなくてはならない、前世の知識を活かして一歩一歩彼のもとへ前に進まなくては、な。



(待っていろよバルツァ。今は外見が前世の記憶で最も強い『バイオレット=ジ=トレスティ』ということもあり、生前のような仲間意識しかもたれていないだろうが、絶対お主から『好き』だと『愛している』だと心の底から言わせてみせるからなあ!)




私はなおも続く夢の中の前世の記憶を前にそう改めて決意をするのだった。



魔力とかの説明と何故あのようなことに至ったのかという説明回でしたね。

彼女の言った『前世』については後後明かしていくつもりですのでよろしくお願いします!




次回予告

敵側のお話。

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