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そして、僕等は永遠を生きる。

作者: 亜ヰ上夫




どこからか聞こえる小鳥の囀りと


ベッドの上から朝を知らせる、


目覚まし時計の音で、僕は目を覚ました。



「・・・・・・ねっむ」


上半身に毛布を被ったまま時計を見る。


──7時12分。


どうやら、今日は少し早く起きれたようだ。



ベッドから重い体を引きずるようにして起き上がった僕は、


窓の側まで行くと、カーテンを勢いよく開けた。


窓ガラスは、この時期特有の結露で濡れている。


まだ日はあまり昇っていないのか、辺りは薄暗かった。


そのせいか、道路を照らす街灯がやけに明るく感じられる。


そんなことを思っている間にも、時間は確実に過ぎていて・・・・・・


僕はその後、手早く着替えを済ませて、朝食の待つ一階へと急いだ。



一階に下りると、すでに僕以外の家族は全員揃っていた。


「お。 おはよう、透真」


「おはよう、透真」


父さんと母さんが順番にそう言ってきた。


「おはようございます」


僕もそう返した。



何故か朝の挨拶だけは、誰に対しても敬語みたいになってしまう。


家族でも、それは変わらなかった。



「今日は随分と早起きね。何かあるの?」


母さんはトーストとレモンティーを僕に渡しながら聞いた。



「・・・・・・別に。たまたま目が覚めただけ」


「あらそう。でも、毎朝このくらいに起きれたらいいのにね」


最後はどう聞いても皮肉にしか聞こえないようなことを言いながら


母さんは台所に戻って行った。



「いただきます」


そう言って、パンを一切れかじる。


最近は寒いせいか、焼きたてのパンは普段の何倍も美味しく感じた。



「透真。今日は病院か?」


父さんが新聞記事に目を通しながら僕に尋ねた。


「ううん。今日は部活かな。大会近いし」


「そうか。身体の調子はどうだ? 変わりないか?」


「大丈夫だよ」


パンを置いて、マグカップに入っているレモンティーを


飲みながら、僕は答えた。



「・・・・・・そうか。気をつけろよ」


「分かってる。ごちそうさま、母さん」


皿をテーブルに残したまま、僕は二階の自分の部屋へと戻った。




部屋に戻って身支度を始めた僕は、ふとある物に目が止まった。


・・・・・・幼い頃の写真。


一緒に映っているのは、自分の幼馴染の女の子だった。



「ベッドの下から出てきたのかよ。ったく、こんなとこにあったとはな」


一人そんなことを言いながら、少しの間その写真をずっと見ていた。



「・・・・・・行くか」


そう言って、机の上にその写真を置くと、僕は学校へと向かった。



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