君がいて、初めて四人の思い出は完成する
妹の”それ”は、ひとつの才能だと思う。
「……」
テーブルに広がった写真の中の一枚を見れば、クリスが映ってる。その中にいる彼女は遠くを見ていて、視線は合わず。
「……」
二枚目。
正面からのアングルなのに顔はリアスの方を向いていてこっちを見ていない。
「……」
三枚目、四枚目も。
いつだってクリスの写真は、基本的にこっちを向いていない。
「お前はどうやって撮ってんのこれ」
「普通に撮ってますが」
「それでこんな視線合わないの??」
すごくね、ほんとに盗撮レベル。もともとこいつの写真は盗撮に足踏み入れてたけども。
現像された写真を見て少し引いていれば、カリナはその中の一枚を持って言う。
「ほめてくれるんですよ、クリスが」
「お前の盗撮を??」
「一応ちゃんと構えてるんですけどね??」
逆に普通に構えてこれか。
もちろんカリナの写真はうまいけど、こう、視線云々で言ったら視線が合わないことはマイナスじゃないのだろうか。
そう思うけれど、小さな親友の言葉は違うらしい。
「自然体を撮るのがうまいねって」
「自然体」
「”カリナの撮ってくれる写真、どれもお気に入り”って言うんです」
これとこれと、と。
きっとその小さな親友が”お気に入り”と言ったのであろう写真の中の俺たちは、カメラにポーズを決めていない、自然な姿で。まるで本当に時間を切り取ったかのように見える一枚たちだった。
まぁそう言われてみれば。
「……こっちの方がいいね」
手に取った一枚は、リアスとクリスの写真。
何かを見つけたらしくどこかを指さすクリスにリアスは微笑んでいて。思わず笑みがこぼれた。
「俺も好きだわ」
「ふふっ、そう言ってもらえると嬉しいですわ」
クスクス笑うカリナに寄り添い。
ただ、と。
彼女の手にある一枚の写真を取り上げた。
そこにはリアスの隣で寝てる俺の写真。
「こういうほんとの隠し撮りはいただけないな?」
「そんなご無体な!!」
「はい没収」
「クリスと堂々カメラを構えていましたから隠し撮りではありません!!」
「本人が知らなきゃ”隠し撮り”って言うんだよ」
悲しんでいるカリナをよそに、その写真は一度胸ポケットにしまって。
「ま、隠し撮りすんなら本人にばれないようにしなよ」
「次からそうしますわ」
悔しそうな妹に笑い。
さて、俺も一つの隠し事は秘めておこかと。
現像した写真の中、たった一枚だけある妹の写真を、そっとまたポケットにしまった。
『君がいて、初めて四人の思い出は完成する』/レグナ




