スキンウォーカー
これは孤高の戦士アーロンの物語。
「座ってもいいか? アーロン」
酒場の喧騒の中、俺に声をかけたのは衛兵のスタンだった。「もちろんだ。座れよ。スタン」
ここいらのモンスター駆除を生業としている俺と、警備に従事する衛兵のスタンは職業は違えど、街の治安を護る同胞と言える。
「で?」スタンが席に座ると、俺はスタンに問うた。相談があると察したからだ。
「話が早いな。スキンウォーカーだ。この街にスキンウォーカーのグループが紛れているらしい。人の姿に化けて人を襲う。被害が出る前に始末したい。何か見破る方法が無いだろうか。耳が少しとがっているとか、特有のクセがあるとか」
俺は、苦笑いしてスタンに話かける。
「看板娘のエミー」
「エミーがどうした?まさか?」
「違う。違う。スタンはこの店に入った時、エミーの胸元を見ただろ?」
「は?馬鹿にしてるのか、スタン。俺は真面目に…」
憤るスタンを、手で制して俺は話を続ける。
「まあ、聞け。男なら自然にエミーの胸元に目が行く。人間のオスの習性だからだ。だが、あそこでエールを飲んでいる青年はチラリとも見ない」
「あっちの女は、高貴そうで品がある。だが、テーブルの下では大股開きだ」
「向こうの母親と子供のテーブル、料理が届いた途端に母親から料理に手をつけた」
スタンは驚いた顔で、俺の指した人物達を確認する。
「見分けは難しくないだろ?、あいつらに気づかれる前に、さっさと仲間を呼んで捕まえると良い」
スタンは俺の声に応えずに、身を翻して酒場を後にした。
程なくして、スタンが衛兵仲間を引き連れて俺の指した者たちを捕らえた。
俺の目では9割方スキンウォーカーである確信があるし、素人目でも7割程度わかれば良い。奴らに見破られると警戒されるだけでも、牽制になるものだ。
「流石だな。アーロン。助かったよ。あれなら多少でも俺達で見破れる。お前のように一瞬とはいかないだろうが」
俺はちょっと笑って言った。
「ああ、俺にはもっと簡単な方法があるからな。あいつら程度の魔物は、俺と目を合わせられない」




