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その子供の竜とは母竜の亡骸の横で出会った。
最初は世話をするつもりもなく去ろうとしたが、健気にいじらしく付いてくる姿に母性を刺激され生まれの欠陥にも哀れみを感じていた事もあって面倒を見ることにした。人間に母竜を殺されて解体までされたのに、それでも尚人間に助けを求めたこの小竜。
さては人間の血を嗅ぎ分けたのか?いやまさか、この体躯といいサイズ、人間はまだ食べないだろうから仲間だと思って着いてきた線はない。……筈だ。
愛玩動物としても小竜は人気が高いにも関わらず、何故放置されたのか。その訳を見た瞬間に悟った。野生で生きるには必須とも言える魔力の欠如、放置なのか探知に引っ掛からず気付かれなかったからなのかは知らないが、答えはそのどちらかなのだと分かっている。
「名前はありますか? ……って聞いてもわかる訳ないですよね」
うーんと顎に手を置き考えて、考えても思い浮かばず後回しにした。木の根元に腰掛けた体を持ち上げ一先ずの名前で呼ぶ。
「小竜、おいで」
呼び声に反応して上げた顔にキラキラとした輝く瞳、生まれたばかりにしても小さな体、野生では生き残れない魔力無し。見れば見るほど愛玩用の特徴で、もしかして逃げて来たのかと疑うほどである。
鈍い小竜の速度に付き合うのも良いが、この速度だと街まで来た時の三倍の時間が掛かってしまいそうで小脇に抱え山を下る事にした。楽しそうにキュウキュウ鳴くのも可愛らしい。
「おかえり!あれ、その小竜は?」
「ん、山の様子を見に行ったら大きなドラゴンの死骸横に居まして、帰ろうとしたら着いて来たから、ほら」
「……大きなドラゴンって、もしかして白色だった?」
「うん、そうですね。白でした」
「そっかぁ……。そっかそっか、でもその小竜はどっかからの迷い子なんだろうねぇ」
「この子他所の子なんですか?てっきりあのドラゴンの子だとばかり」
「いんや、地竜様はお年もいってたからもう妊娠できない筈だし、妊娠してる素振りも見られなかったよ」
「そうですか」
色味は似てるのにと思うが、地元民がそう言うならそうなんだろう。前で抱き締めればいつの間にか眠りについた小竜の後頭部を眺めて、街に預けようかと考えていたが新たな選択肢が出て来た事に気付いた。そして思いを馳せる。
行き先のない旅に誰か、人は気が引けるがドラゴンなら連れて行っても良いだろうか。誰にも止める権利はないだろう。そんな旅も良い。と、その前に報告をしに行かなければ。森に入るきっかけの依頼、その結果は散々だろうが聞かなければならない。そして私は話さなければいけない。
「ええ、残念ながら既に遅く白竜の亡骸は解体されていました。しかし腕の悪い解体士だったのでしょう、一部鱗と腹全ての部分がそのままでしたね。尻尾と頭部は手付かず、ただし人の手以外であれば肉は欠片も残っていません。魔力は辺りを漂っていて生きていればどれほど豊満な魔力をその身に宿していたのか気になる具合で……、え?場所だけ教えてくれたら十分ですか?はぁ、そうですか」
見せられた地図と脳内の地図を照らし合わせ大まかな場所を指し示す。見せられた地図にこれと言った情報もなく、気になる箇所もない。引っ込められる地図にどこか名残惜しさを感じつつも腕の中の小竜について何も問われない事をいい事に、取っている宿へと帰った。
洗ってそのまま寝るようなら寝かしつけて、起きているなら何かを食べさせよう。
明日は街を出て大移動するのだから、元気でいて貰わなくては。
練習として書いていこうと思っています。何かあればメッセージなどでお伝え下さい。