断崖と祈り
明けましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いします。
そう、この場所は中学校の林間学校で来ていたんだ。
すっかり記憶の片隅に追いやられていたが全部思い出した。
当時、西ノ覗に到着した者から先生が誘導して
「はい!並んで〜順番に行ぎょうをするから」
何のことやらわからずに並ばされ待っていると終わった者が次々と横を通り、ギャン泣きしている者や焦燥しきった顔の者、まだ青い顔してる者はマシな方で何をしているのかと聞いても首を振るだけでまともな返事が無い。
その中に笑いながら戻って来る者がいて不気味ながらも聞いてみると
「まぁ、やったらわかるわ(笑)」
と益々不安にさせる言葉が返ってきた、並ぶこと10分体感30分全貌が見えてきた時に先生が
「無理やったら止めとけよ〜」
と言いつつ挑戦的な顔付きで聞いてくる、その時はなんちゅうムカつく言い方だと逆に闘志に火がついて同意し、気がつけば肩にロープを掛け断崖に寝そべっていた。
行者さん2人と先生が足を持っての3人体制のよう
「もっと前へ!!」
素直に身体を断崖の下へ覗きこむように滑らすと
「ロープが抜けんようしっかり手を合わせて!!」
と拝むような体制を言うが早いか更に下へ落とされる、もう意識は飛びそうだ。
「親に孝行するか!」
「はい!」「はい!」
聞こえてないかもと思い返事を繰り返すと
「返事は一回でいい!!」
「はい!」
そこから更に身体を落とされ、死が脳裏をよぎる中
「はい!」
を何回繰り返したのか何を言われたのかわからないまま終了し、断崖から引き上げられてこれが魂が抜けるという状況かと思えた。
その後は同志達と生きてて良かったとか大地の有り難さを感じたなとか、話したことも無い同級生とも妙な連帯感ができる。
思い出すと体がブルッと震え変な汗がでた。
その当時は賑やかだった行場も今は静か、鳶が舞いながら空を飛んでいた。
いろいろ考えてました。
ゆっくりですが進めればと思います。