表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

パーティのその後

 パーティはもうすぐ終わりを迎えようとしていた。

 主催団体は終わりの挨拶をしていった。

 招かれた者たちは、次々と帰り支度を始めている。


「あれ、ミキの姿が見当たらない」


 ミナはふと、パーティ会場にミキがいないことに気付いた。

 ミキは一体どこに行ったのだろうか。


「まだ終わりの挨拶もしていないのに…」


 会場の全体を見回して、探してみる。

 ジーっと見てみたが、やはりミキはいなかった。

 視線の先に、先ほどの紳士カオルを見つけたので私は声をかけた。


「すみませんカオルさん、私の友人なんですが久保ミキっていう人知りませんか?」


「ああ、ミキって人なら先ほど体調を崩して帰ったと聞いたが」

 カオルは怪訝そうな顔をして答えた。


「そうなんですか、ありがとうございます」


 ミキは体調を崩して帰ったのか。

 スマホに一言の連絡すらないし、本当に体調悪いのかな……。

 ミキはあれからどうしたんだろう、友人と話があると言っていたが。

 もう少しいろいろ話がしたかったな。


 どこか体の具合でも悪かったのだろうか。

 思えば思うほど心配になってしまう。

 でも無事に帰れたのなら良かったのかな。自分も家に帰るか。


***


 テラスはオレンジに染まり、夕暮れを告げていた。


「でもな、お前は殺人犯っておふれが出てるんだよ」


「どうしてもやるっていうんなら、仕方がないな」


 カオルは殴りかかってくる若い男たちを、次々となぎ倒していく。

 相手の攻撃をうまく避けて、自分の攻撃を確実に当てていく。

 その戦いぶりからは、とてつもない気迫が感じられた。

 そして相手は最後の一人となった……。


「これで終わりか」


「お前は絶対逃げられない、このブールからは」


「ブール?」


「お前がブールの標的になっている」


「なに?」


「お前は殺人犯だ」


 そう言い残して、その最後の若い男はその場から走り去っていった。


***


 私は仕事終わりの街中で、椅子に座って休憩を取っていた。

 歩き疲れた今の自分には少しの休息が必要だ。

 ……もうパーティから数日が経っていた。

 パーティの事をなんとなく思い出していたら、ミキから連絡がきた。


「こないだはごめんね、急に体調崩しちゃって先に一人で帰っちゃって。

今度この埋め合わせは必ずするから。

旦那の紹介もしたいし、今度みんなで一緒に食事にでも行きましょ」


 とりあえず連絡が来てほっとした。

 数日も連絡くれないなんて、今までなかったのに。本当に大丈夫なんだろうか。

 あの時何があったんだろうな……。


 パーティのことを思い出していたら、私はミキが言っていたプレゼントの服の話を思い出した。

 プレゼントの約束……。ミキはまさか忘れてるんじゃないよね。

 そう思うと高そうな洋服が私の脳内にぐるぐると住み着いた。

 だめだ……何を考えてるんだ私は。


「私は金には屈しない……私は金には屈しない……」


 ミナが頭の中で必死に呪文を唱えていると、黒いスーツ姿の男性が声をかけてきた。


「あのー、すいません。私、こういうものですが」


「はぁ…」


 男性から名刺を渡された。名刺を見ると調査委員田島、と書かれていた。


「最近この近くのビルで爆破事件がありましてね」


「そうなんですか」


「こういう人を見かけませんでしたか?」


 そういうと田島はミナに一枚の写真を見せてきた。

 それを見たミナは一瞬、形相を変えた。

 カオル!!


「えーっと、この写真の方がどなたかわかりますか?」


「し、知りませんね」


 なんだか関わりあうと、めんどくさそうな気がしたのでミキはそう答えた。


「そうですか?嘘をつくと自分の為にもなりませんよ?」


 この人、さっきの私の表情を見てたのかな……。


「ちょっと知り合いに似ていたもので……。たぶん人違いでした」


「本当に違いますかね?」


「……。ちなみに何をしたんですか、その人は」


「ビルを爆破した張本人で……指名手配中の殺人犯です」


「へぇ、そうなんですね」


 えええええええええええええ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ