パーティのその後
パーティはもうすぐ終わりを迎えようとしていた。
主催団体は終わりの挨拶をしていった。
招かれた者たちは、次々と帰り支度を始めている。
「あれ、ミキの姿が見当たらない」
ミナはふと、パーティ会場にミキがいないことに気付いた。
ミキは一体どこに行ったのだろうか。
「まだ終わりの挨拶もしていないのに…」
会場の全体を見回して、探してみる。
ジーっと見てみたが、やはりミキはいなかった。
視線の先に、先ほどの紳士カオルを見つけたので私は声をかけた。
「すみませんカオルさん、私の友人なんですが久保ミキっていう人知りませんか?」
「ああ、ミキって人なら先ほど体調を崩して帰ったと聞いたが」
カオルは怪訝そうな顔をして答えた。
「そうなんですか、ありがとうございます」
ミキは体調を崩して帰ったのか。
スマホに一言の連絡すらないし、本当に体調悪いのかな……。
ミキはあれからどうしたんだろう、友人と話があると言っていたが。
もう少しいろいろ話がしたかったな。
どこか体の具合でも悪かったのだろうか。
思えば思うほど心配になってしまう。
でも無事に帰れたのなら良かったのかな。自分も家に帰るか。
***
テラスはオレンジに染まり、夕暮れを告げていた。
「でもな、お前は殺人犯っておふれが出てるんだよ」
「どうしてもやるっていうんなら、仕方がないな」
カオルは殴りかかってくる若い男たちを、次々となぎ倒していく。
相手の攻撃をうまく避けて、自分の攻撃を確実に当てていく。
その戦いぶりからは、とてつもない気迫が感じられた。
そして相手は最後の一人となった……。
「これで終わりか」
「お前は絶対逃げられない、このブールからは」
「ブール?」
「お前がブールの標的になっている」
「なに?」
「お前は殺人犯だ」
そう言い残して、その最後の若い男はその場から走り去っていった。
***
私は仕事終わりの街中で、椅子に座って休憩を取っていた。
歩き疲れた今の自分には少しの休息が必要だ。
……もうパーティから数日が経っていた。
パーティの事をなんとなく思い出していたら、ミキから連絡がきた。
「こないだはごめんね、急に体調崩しちゃって先に一人で帰っちゃって。
今度この埋め合わせは必ずするから。
旦那の紹介もしたいし、今度みんなで一緒に食事にでも行きましょ」
とりあえず連絡が来てほっとした。
数日も連絡くれないなんて、今までなかったのに。本当に大丈夫なんだろうか。
あの時何があったんだろうな……。
パーティのことを思い出していたら、私はミキが言っていたプレゼントの服の話を思い出した。
プレゼントの約束……。ミキはまさか忘れてるんじゃないよね。
そう思うと高そうな洋服が私の脳内にぐるぐると住み着いた。
だめだ……何を考えてるんだ私は。
「私は金には屈しない……私は金には屈しない……」
ミナが頭の中で必死に呪文を唱えていると、黒いスーツ姿の男性が声をかけてきた。
「あのー、すいません。私、こういうものですが」
「はぁ…」
男性から名刺を渡された。名刺を見ると調査委員田島、と書かれていた。
「最近この近くのビルで爆破事件がありましてね」
「そうなんですか」
「こういう人を見かけませんでしたか?」
そういうと田島はミナに一枚の写真を見せてきた。
それを見たミナは一瞬、形相を変えた。
カオル!!
「えーっと、この写真の方がどなたかわかりますか?」
「し、知りませんね」
なんだか関わりあうと、めんどくさそうな気がしたのでミキはそう答えた。
「そうですか?嘘をつくと自分の為にもなりませんよ?」
この人、さっきの私の表情を見てたのかな……。
「ちょっと知り合いに似ていたもので……。たぶん人違いでした」
「本当に違いますかね?」
「……。ちなみに何をしたんですか、その人は」
「ビルを爆破した張本人で……指名手配中の殺人犯です」
「へぇ、そうなんですね」
えええええええええええええ!






