『梶井基次郎問題』
『梶井基次郎問題』
㈠
梶井基次郎問題と言えば、『檸檬』で有名なあの写真の人、くらいしか知らないという問題である。無論、『檸檬』は一読したし、並々ならぬ芸術性を感じたものだが、それだけの小説家であった、自分にとっては。
㈡
しかし、家の本棚には、梶井基次郎の全集があるのであって、もっと関心を持つべきだったかと思うが、それはもう、遅いのである。芥川龍之介、太宰治、埴谷雄高、に触れてしまった今、梶井基次郎は蚊帳の外なのである。
㈢
梶井基次郎ファン、或いは、梶井基次郎研究者がいたら、実に申し訳ないのであるが、結句、梶井基次郎問題とは、『檸檬』で有名なあの写真の人、くらいしか知らないという問題、という、云わば、自分に問題があると言ってよい。