表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ギャグ、コメディ寄りの作品

【短編】エグゼクティブプロデューサーとはっ!?

作者: たみえ


「すみません」

「はい? どうしました?」


 公民館で声を掛けられ振り向くと、今度の開催行事の執行委員だった。


「今度の行事でこれを担当して欲しいんですけど、いいですか?」

「えっ、なんですかこれ。えぐぜくてぃぶぷろでゅーさー? ……うーん、何すれば良いのかよく分からない役職なので、ちょっと……」

「大丈夫大丈夫! あなたなら大丈夫ですよ! 肩書を担当するってだけですから! 難しいことは何もしなくて大丈夫ですよ!」

「はあ……そうなんですね。まあそれだけなら……」


 別にいいかな。と頷く前にババッ! と目の前で頭が下がる。


「はい! ではそういうことで、当日よろしくお願いしますね!」

「はあ……て、え! ちょっまっ……えー……何すればいいかとか、詳しいこと何も言わずに行っちゃった……どうしよ」


 少しだけ不安なまま迎えた当日。


「お集まり頂いた住民の皆様方、ボランティアとしてご参加いただいた方々、大変長らくお待たせ致しました。準備はよろしいでしょうか?」

「「「おおおおおおおおおお!!」」」

「おっ、元気がいいですねぇ! その調子で今日は皆で楽しく盛り上がっていきましょうねえええ!!」

「「「いええええええええい!!」」」

「――それではこれより、町内大掃除大作戦会を開始いたします!」

「「「わあああああああああ!!」」」

「元気なご歓声をありがとうございます! 静粛に!」

「「「…………」」」

「はい。ご協力ありがとうございます。それでは事前にお配り致しました案内用紙に書かれた内容に従って、担当地区へ早速ご移動下さい!」

「「「おおおおおおおおおお!!」」」


 それぞれの騒めきが各担当地区へ分散していくなか、取り残された。

 何をすれば良いのか、結局分からずしまいである。


「あのー……」

「はい。いかがしましたか。ご不明点はあちらの案内専用窓口でお伺い下さい」

「いえ。もう聞いてきたんですけど、どこの担当か全く分からないと言われてしまったので。運営側のお姉さんなら知ってるかなあって」

「えっ。そんなはずは……分かりました。私にも見せて頂けますか?」

「はい。これなんですけど……」

「……そ、うですね。これは……はい。少々お待ちいただけますか?」

「はい。お願いします」


 どこへ確認しているのか、電話をするお姉さんを眺めて暫く待つ。


「……すみません。今、上に確認してみたんですけど……ちょっと、よく分からないですね」

「ですよね。でも、何すればいいのかとかも全くですか?」

「はい……なので申し訳ないんですけど、お好きなところにお好きにご参加下さい。特別な許可は出てますので」

「何をすれば良いのか分からなかったので、助かります! では、早速行ってきますね!」

「はい。いってらっしゃいませ~!」


 行く宛もなく、とりあえず人気の地域へと向かう。

 地区の中が混みあってるせいで、入場の為に長い行列まで出来ていた。


「あ、ここ見ていこうかなあ」

「おい、きみ」

「列の最後尾はどこだろ……?」

「おい、そこのきみ! きみだよ、きみ!」

「えっ、私ですか!?」

「きみ以外に誰が居るというんだね」

「人ならそこらにいっぱいいますけど……」

「減らず口を叩くんじゃない。いいから退きなさい」

「は? いきなりなんなんですか?」

「きみ、ここの担当じゃないだろう」

「はあ……。まあそうですね。違いますけど、それが何か?」

「さっきからふらふらふらふらして、皆の邪魔になるから退きなさい」

「はい? え、いきなり邪魔とか退けって、なんでですか? どういう権限で言ってるんです? 運営の人?」


 待ってました、とばかりに皺の多い顔をしたおじさんが顎を尖らす。


「私は教授だよ。きみのような無知な者には私の凄さはさっぱり分からないだろうがね」

「えーっと。ここで教授だなんだと言われても……つまり、運営の人ではないってことですかね」

「まだ分からないのかね。最近の若者は良識というものが欠如している」

「さっきから意味が分からないですよ、おじさん」

「おじさんではなく、きちんと教授と呼びたまえ」

「あーそっすか。はぁーい、教授。教授は一体先程からどういう権限で私にちょっかい掛けてるんですかねー? てか教授ってこと関係ありますー?」


 敬わない態度にイラッときたのか、不愉快そうに眉根を寄せる教授。


「大いにある。きみには分からないだろうがね」

「へー、そうなんですか。あ、じゃあ丁度いいので教授。これに答えてくれたら速やかに退くので、これだけ答えて貰えますかね?」

「いいだろう。なんでも聞きたまえ」


 なんでもとはまた、なんて大盤振る舞い。なら。


「エグゼクティブプロディーサーって何か分かります?」

「……もちろんだとも」

「じゃあ何する人かとかも分かります? 実は私、今日はこれの担当なんですけど、何をすれば良いのか正直よく分からなくてー。それでちょっと道に迷ってしまってたんですよー。なので邪魔だったのは申し訳ないんですけど、本当に困ってて……あ! でもいやー、まさかここでこんなにご親切で凄い博識な教授に会えるとは私も幸運でしたね。是非ともエグゼクティブプロデューサーとは何かについて、無知な私にご教授頂きたいものです」


 ぴくり、と眉を顰めて黙る教授。おやおや。


「…………」

「あれ? どうしました教授? もしかして分からないとか――」

「そんなことはない」

「なら教えてください。私も困ってるんですよー」

「……きみの頭の出来では、説明しても到底理解出来ないと思うがね」

「んー? あれー? 私の認識違いなら申し訳ないんですけど、教授って人に教える先生と同じじゃないんですか?」

「ふむ。きみのような浅はかな考えの子には分からないだろうがね、もっと高度かつ専門的な教えを施すのが教授というものなのだよ。誰でも分かる簡単な知識だけを無為に与えるだけの者たちと一緒にしないでもらいたいものだ」


 涼しい秋の気温にハンカチを取り出し、急に汗を拭き出す教授。


「へー。そーなんですかー。まあでも細かい内容はともかく、一応どっちも教育者ということには変わりないってことですよね? でもそっか。頭が悪そうという理由でこんな簡単に教えることを諦めるのが教授なんですか。なるほどー。いやー想像よりかなりレベルが高いんですねー」

「きみ、さきほどから私を愚弄しているのかね」

「えーまっさかー。気のせいですよー。ただ、私は頭が悪いらしいので。私に説明出来るほど頭の良ろしい誰かしらに教えて貰わないと、どうすればいいか困ってずっとここらをウロウロ彷徨うしかないなーって」


 ぐむむ。と唸る教授。

 しかし、答えるための口は堅く閉ざされたまま。

 というところで新たな乱入者が。


「――さっさと退けよ! 邪魔だって言ってるだろ!」

「いや誰?」

「これ以上、教授に絡むな! 君みたいな低能に、教授が何かを教える価値なんかないんだよ!」

「はあ……で、誰?」


 怒りか何かなのか、顔が何故か真っ赤っかである。

 涼しい秋の気温で沸騰するなんて不思議だ。


「私は教授の生徒だ。分かったらさっさとどっか行け!」

「だからなんでぇー? 話聞いてましたかぁー、お兄さぁーん?」

「聞いてたが、それがなんだっていうんだ?」

「はーまったく。なんで伝わらないのかなー? おっかしーなー?」

「いいから早くどっか行けって!」

「うーん。分かった。なら、お兄さんでもいいや。お兄さんが教授の代わりに質問に答えてくれたらどっか行くよ、うん」

「ず、図々しいやつだな! 自分で調べろよ!」

「ソダネー、ウン。でもねでもね、お兄さん。調べてもよく分からないから凄い教授に聞いてるんだ。せっかく何でも答えてくれるすごーい人がここにいるんだから、簡単な質問の答えくらい教えてくれてもいいと思わない? じゃなきゃいつまでもこの問答終わらんのよー」


 私の言葉にぐっ、と押し黙る生徒くん。

 未だに沈黙を貫き通して汗を拭き続ける教授。

 どちらも目がぐるぐるぐるぐる回ってる。


「エグゼクティブプロデューサーとはっ!? はい、ではお答え下さいお兄さん?」

「…………………………ぷ、プロデュースだ」

「へー。なんの?」

「…………」

「えっ、終わり? まさかたったそれだけじゃないよね?」

「こ、このくらい、後は自分で考えれば分かるだろ!」

「――しょーもな」

「なッ!?」

「知らないなら素直に知らないって言いなよ、みっともない」

「――ッ」


 言い返せず、ぷるぷる震える生徒くん。


「意気揚々と出てきて、散々人様のこと見下した挙句のそれってあんた……だっさ。てか虎の威を借りるつもり満々で、怒声で脅して丸め込めれば何とかなるとでも思った? それともなに? 自分が問題解決出来れば教授への点数稼ぎになるとでも思ったとか? あーでも、私をあーんなに知能が低い低ーいと仰ってましたしさすがにそれは私の勘違いですかねー?」

「こ、この……!」

「――なーんて。こんな簡単なことも答えられないなんて……と思ってしまいましたけど、きっと私では到底理解に及ばないようなよほど高度で専門的な分野だけをまだ学ばれてる途中だから答えられないんでしょうねえ――ね、教授!」

「……!!」


 急に自分に矛先が向いたことに驚いてビクつく教授。


「もちろん。お兄さんはまだまだ学びの途中ですから答えられないのは仕方ないとしても。これほど慕われているような、とーってもすごーい教授ならきっと、正しい答えを知っておられるんですよね?」

「…………」

「そろそろ焦らさず答えを教えてくださーい。きょ、う、じゅっ!」


 不快、と隠すことの無い顔で、教授はやっとこさ答えた。


「……きみがここで出来ることは何もない。もう帰りなさい!」


 ――おおっ!! 流石は教授って威張るだけあって、すごい!


「なるほど! ここで出来ることはない。つまり、何もしなくて大丈夫だからもう帰っていい、と。――やっぱりそういうことなんですね!?」

「何を言って……」

「はぁ、良かったぁ! 私の勘違いとかじゃなくって。うんうん。何もしなくて大丈夫、と。答えてくれてありがとうございました、教授。ということで皆さんが頑張ってるところ申し訳ないですけど、私は帰ろうと思いますね。じゃ、お疲れ様でしたー!」


 問題解決、スッキリ爽快!


「「なんだったんだ……」」


 で、結局エグゼクティブプロデューサーとはっ!?

最後まで読んで頂きありがとうございます!


今回はツッコミどころ満載短編コメディ( ꒪⌓꒪)

意味が分かれば笑えるはず...。はず?

意味が分からなくてもとりあえず謎の爽快感を取得するかもしれない...。

作者も一周回って意味が分からなくなってきてるので誰か有識者、面白さを教えて(´;Д;`)丸投げポイ



演劇のちょっとした台本みたいに台詞過多な作品。

普通にショート劇としていけるのでは? とか思ったり

...とはいえ、許可無く勝手に使わないで下さいね?



この短編のネタ元は作者が見た夢からです。

夢の中ではもっとボロクソに生徒と教授をディスってスッキリしてました。

用語が低俗だったのでここでは変換しましたが。


その夢を見た原因はおそらく「悪魔の子」を聴きながら寝落ちしたからかと思われます。

風評被害ですかね...? ごめんなさい。

てかなんでそのチョイスであんな内容の夢がががが!?


というわけで、結局なんぞや?な終わり方になったので単語を調べる人もいるかと思うんですけど、おそらく調べても謎は謎のままになると思います。

深入りしないようにお気をつけを...。


ところで、夢の中で初めてエグゼクティブプロデューサーなんて言葉知ったんですけど、記憶の整理で何故そこがピックアップされてしまったのか...( ꒪⌓꒪)一番ナゾい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ