表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

第1話:決戦前夜B

 俺と相方の所業は向こうとしても泣きの一声を上げたいほどなんだろう。楷書体で嘆願書をしたためるラスボスなんて生まれて初めてだ。あちらさんも予算的にぎりぎりなんだろうか。


 「斬新。新しいプロポーズね」

 「その発想こそが斬新だ。どう見ても果たし状だろ」


 言葉通りなら敵軍が弱っていることは紛れもなく真実なんだろう。もちろん罠かもしれない。どっちの方向性で考えるか、という迷いは長く彼女と一緒にいてもはや不要になった。


 「受けて立とうじゃない!攻めるよ!邪魔なものは全部焼き払う!」


 彼女の意気込みに、いよいよどっちが悪者なのかわからなくなってしまいそうだ。口をあんぐりする俺の様子を見たのか握りこぶしを下ろしたルカは「あ、そうだ」と話を切った。


 「ねえ、カノー」

 「なんだよ」

 「ちょっと中指と薬指、開いて」

 「なんでだよ」と言いつつ指を広げる俺に、ルカは小ぶりのレモンを挟み込む。

 「このレモンなんだけどさ、食べれそうにないんだけど、いらない?」

 「いらない。つか、それ、お前の魔力の源だろ」


 恐ろしいことに目の前の女性は魔術がスランプに陥るとレモンを食べて調子を取り戻す変態である。しかしそれはルカに限っての話であって俺がレモンを食べても泣きそうな顔をしてビタミンCを摂取するだけだ。


 「じゃあさ」


 言うなりルカはおれのショルダーバッグに手を突っ込む。


 「預かっといて。ほら、魔王とドンパチやってるときにスランプとかシャレになんないし」


 そいつは本気でシャレにならない。持っておきます、勝つまでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ