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死獣神~腸の書~  作者: 天馬光
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絆は炎と共に(4)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。

 翌日の昼休み。大牙と愛花以外の死獣神メンバーは、屋上で昼食を食べながら、海姉弟昨日の一件について話していた。

 その中で武文は、青龍らの帰還後、愛花が調べてわかったことを語り始めた。


 それによると、海姉弟は14年前に放火によって、目の前で上海にある家ごと両親を亡くしており、愛する姉弟以外全てを失った彼女達は、自分達を拾ってくれた裏組織への恩返しと子供ながらに逞しく生きていくために、7歳と5歳という若さで殺しに手を染め、今に至ったらしい。

 ちなみに、凜華の焼け爛れたあの手は、燃え盛る家に取り残されてしまった幼い王龍を救出する際に負ったものだそうだ。


 己を顧みず手を焦がし、助けた弟と共にその手を返り血で染め上げる。そうやって手を取り合って助け合い、暗い過去を乗り越えて生きてきたからこそ、海姉弟の絆や愛はあそこまで強いものとなったのだろう。


「納得ね。彼女達には見習うべきところがある」


「うん。それだけに、せめて凜華さんだけでも生きていてほしい。自分から焼かれに行ったから、万に一つの可能性もないだろうけど、彼女みたいないい人は……」

 そう願う龍の様子を見た翔馬は思い出したように、今朝、例の屋敷を通り過ぎた時の話をした。


 あれだけのことがあったためか、警察はもちろんマスコミも殺到しており、口々に喋っていたため、よく聞き取れなかったそうだが、事件を捜査していた刑事いわく、遺体が2人分足りないらしい。

 なので、おそらく……


「凜華さんが生きてるかもしれないってこと!?」


「多分な。もしそうなら今頃、人里離れたところに王龍の墓でも作って、手を合わせてる頃だろう」

 翔馬の話を聞いた龍と黒猫は、彼女と直接対峙し、その心に共感したためか嬉しく思い、凜華が生きてる可能性を信じて、そうなってることを祈った。


 それは、他の仲間達も彼らほどではないとはいえ同じだったが、1人だけ全く違う者がいた。生存してるかもしれないと言い出した翔馬である。

 彼だけは凜華の生死どうこうよりも、命を取り合いをしていた相手を過度に案じる龍の姿勢に、強い違和感を感じていた………………

 今までターゲットを殺すことを中心に考えていた龍の変化。

 翔馬が違和感に思うのも当然かもしれませんが、その感覚とそれによって齎される結果は、徐々に大きくなっていきます。

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