つながる想い(3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
それから一夜明けた午前7時頃。仕事の疲れから気を失うように眠っていた龍が目を覚ますと、一緒に宿泊しているはずの柚がいない。
代わりに『ホテルの裏庭で待ってる』という主旨の置き手紙が置かれており、自分より早く起きて待っていると思った龍は、急いで彼女の元へと向かった。
到着した裏庭には、制服姿の柚が朝日を浴びて待っていた。
「あ、柚……さん。おはよう」
昨夜のこともあってか名字で呼ぶのをやめた龍だったが、どうにも照れくさい。
「おはよう。待ってたよ。龍君」
「それで話って?」
早速本題に移ろうとする龍にそう尋ねられた柚は、彼の方を見ずに謝罪の言葉を口にした。
「その……ごめんね」
「ごめんって……昨夜心配かけたこと?」
「それもだけど……今まで散々命を奪おうとしたことを、ね」
その予想外の謝罪内容に、龍は喫驚した。当然である。復讐者である彼女からまさかそんな言葉が出てくるなど思っていなかったのだから。
「え!? そんな、柚さんが謝る必要ないよ! 悪いのは全部……」
「ううん。私の方が全面的に悪い。龍君。本当にごめんなさい」
突然の心変わりなだけに、疑問を感じずにはいられない。訳を聞くと、柚はその理由を述べ始めた。
7年前のあの日、闇達が死んだのは特捜5課のせいであり、その死に龍は全くと言っていいほど関与していない。
黒龍や鴉を殺したのも、いわゆる自己防衛と未来を殺されたからで、彼に悪気があったわけではない。
それで理解したのだ。龍は本当に他人第一の優しい奴で、自分の復讐は盲目的な逆恨みだということを。
そのことにようやく気付き恨みが氷解したのは、ひとえに今回の一件における龍の言動のおかげである。
「……なのに私は、そのことに気付かずに、龍君を恨んで、罵って、殺そうとして……いっぱい傷付けちゃった。だから、ごめん……」
そう言って柚は龍の方を向き直して頭を下げた。
「……それで、その……こんなこと言ったら虫が良すぎって思うかもしれないけど……私とその、友達同士になってくれる?」
やったことがやったことだけに快諾してくれるとは思えない。その後ろめたさから柚は、はっきりと『友達になりたい』とは言えなかった。
長く続いた柚の復讐劇がいよいよ終わろうとしています。
この場に黒蛇や両親の霊がいたら、おそらく心から安心することでしょう。




