絆は炎と共に(3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
と、その時、大きな影が青龍と凜華の前にフッと現れ、弾丸から2人を守った。その影とは……
「あいつ……」
「そんな……どうして? 王龍っ!」
先程まで朱雀と戦っていた王龍だった。
「ごふっ! 『どうして?』だって……? 決まってんだろ。凜姉ぇを守るためだ…………俺にとって、凜姉ぇは……たった1人の姉ちゃんで、恩人で……恋人だから………………」
そう言い残して王龍は前向きに倒れ、そのまま息絶えた。
「ひゃはははは! 自分から死にに行ってやんの! バッカじゃねぇの!?」
愛する実弟を失い、悲しみに沈む凜華の感情などお構いなしに、長里はそう言い抱腹絶倒した。
そんな彼に激怒した青龍は、同じく怒り心頭の黒猫と共に長里の手足を瞬時に切断して屋敷の中へと蹴飛ばし、彼ごと建物に火を放った。
「熱ぁー! た、助けてくれーっ!」
「助けるわけないでしょ? 人の大切なものを奪っておいて馬鹿笑いするなんて、本当に最っ低」
「そういうことです。わかったら外道は外道らしく、この炎と一緒に大人しく地獄に落ちてください」
そう言って青龍は屋敷に背を向け、凜華とペガサスと朱雀の元へと向かったが、彼が来たところで王龍は蘇らない。
自分達姉弟を想う青龍らの気持ちを感じ取った凜華は、これ以上彼らを巻き込むわけにはいかないと思い、警察と消防が来る前に帰るよう促した。
「じゃあ、凜華さんも……」
「私は……王龍と同じところに行く。王龍がいないと生きていけないし、1人にしたくないから……」
そう言うと、凜華は王龍の腕を肩にかけ、ゆっくりと屋敷の方へと向かいながら、
「……さようなら。あなた達が最後の相手で、よかった……青龍、あなたとのキスも、ね………………」
と、別れを告げて、弟と共に燃え盛る炎の中へと消えていった…………
絆と愛に結ばれた姉弟の悲しき結末。
分かり合えたかもしれなかっただけに、京士郎の時同様、青龍達にとって苦い経験となりました。