絆は炎と共に(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
が、ただの思春期男子ならともかく、日頃から朱雀に精神安定剤代わりとしてキスをせがまれている青龍が、キス1つで硬直するなどありえない。
毒針に手を伸ばそうとする彼女の手を即座に掴み、唇と体を引き離した。
「な、何故?」
「なるほど。あなたも朱雀と同じ人種のようですね。相手が生きてるか死んでるかが違うくらいで」
「うるさい。あなたには関係ないことでしょう?」
「確かにそうですけど、そんなにツンケンしなくていいですよ。それはさておき、やられたからには、ちゃんとお返しをしないといけませんね。もちろん、あなたの流儀に従って、ね」
優しく微笑んでそう言うと、青龍は凜華を抱きしめ、彼女の唇を奪った。
ご存知の通り、彼のキスは朱雀の悪癖を封じ込めてしまうほど、攻撃的で本能と脳を揺さぶるような強烈なもの。それを受けて虜にならない女などいない。
それは凜華とて例外ではなく、彼女の拒絶反応を一切出させず、殺意と冷たさに満ちた彼女の目を見る見る内にトローンととろけさせた。
「はぁ……はぁ…………あなたのキス……媚薬と同じ成分を含んでいるとでもいうの?」
「あはは。よく言われます」
あどけない表情でそう言う彼に、敗北感を感じた凜華は呼吸を乱しながらも、充足感から彼に身を委ねてしまう。
これで凜華は無力化した。ということは、じきに王龍も停戦するはず。そう思い、黒猫とペガサスは勝利を確信していたが、追い詰められた小悪党はこの結果を素直に認められなかった。
「役立たずが……てめぇら、まとめて死にやがれーっ!」
そう言って、長里はどこからか機関銃を取り出し、苦し紛れに凜華諸共、青龍を撃ち殺そうと乱射した。
助けに行こうにも、勝ったと思っていた黒猫とペガサスは反応が遅れ、朱雀も王龍の体が邪魔ですぐには行けない。
命を狙う凶弾の嵐が、容赦なく2人に迫ってくる。
なんだかんだで青龍のキス最強説確立ですかね。
念のために言っておきますが、彼のキスに媚薬成分は入っていません。超絶的にキスが上手いだけです。