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腹黒淫乱うさぎの乱

 「ねぇ一成さんっ! ×××を××××したら、××でも××なんですよ! 凄くないですか!?」


 朝から頭に鳴り響くピー音。もう勘弁してクレメンス...。


 今この残念系伏字美少女は俺の部屋にいる。普通ならこんな美少女とお家にふたりきりなんて、どんなギャルゲーイベントだって話だが、ことマリファに関して言えば軽い拷問である。


 何も無い部屋の壁に寄りかかり、時折笑顔を向けるマリファ。その姿は彼氏の家に初めて来た女の子の様で可愛らしい。


 まあ、口から漏れる言葉は一瞬で俺を現実に引き戻さしてくれるのだが。


 「...というか、一成さん。気づいてないんですか?」


 急にマリファはそんな事を口にする。


 気づいてないんですか? ...まさか、マリファお前俺の事好きだったのか!? いやいや、やめてくれ! いくら顔が良くてもこんな地雷女無理だ!


 そんな事を一瞬で考えていた俺だったが、マリファの言葉はやはりすぐに現実を突きつけてきた。


 「お隣さんに覗かれてますよ? 本当に気づいてないんですか?」


 ......は?


 「えっ、それってどういう...」


 マリファが寄っかかっていた壁から離れる。すると、その壁には人の眼球の様な間隔で穴が2つあった。というか、眼球があった。


 ......ヒィイイイイイイイィィィィィイイッ!?


 なにこれ? なんで穴が......それも2つッ! 2つってなんだよ! なんで両目で見ようとしてんだよ! 普通は片目で覗くだろ! ......普通ってなんだよ! そんな普通ねーよ!

 俺は恐怖のあまり心の中で凄まじいツッコミを連発していた。


 俺は恐る恐る眼球の持ち主に話しかける。


 「...あのぉ、もしもし......? どうして俺の部屋を覗いていらっしゃるのですか?」


 「......」


 眼球の持ち主から返事はない。というか、この状況でよくまだ覗き続けれるな!


 うんともすんとも言わない眼球に痺れを切らした俺は、自分の部屋を出て隣の部屋の扉を叩いた。


 「すみませーん! 隣の部屋のものなんですが!」


 こんなので出てくるはずはない。あんだけ話しかけてもガン無視決め込んでた奴だ。これで出てきたら変なやつ確定だ。まあ変なやつはもう確定しているが。


 するとすぐに扉は開いた。


 どゆことっ!?


 「...あのぅ、何か御用ですか?」


 そう言いながら現れたのは、うさ耳の生えた美少女だった。


 何か御用ですか? とかよく言えたな。と、内心思いつつも俺は優しい声音で話を続ける。


 「いやぁ、俺の部屋覗いてましたよね? 何でかなーって思って」


 「...覗き? そんな事してませんけど...」


 うさ耳美少女は心底理解ができないというふうな表情を浮かべる。


 いや演技エグいッ! 堤真一かよ!


 「してたよね!? バリバリ両目で覗いてたよね!? 」


 俺は辛抱たまらず問いかけた。相手を若干ビビらしてるけどこの際しょうがない。だって、相手加害者だよ? この世界の法とか知らないけど、元の世界だとプライバシーの侵害だぞ!


 すると、顔を俯いていたうさ耳美少女がこちらを見上げた。見上げたというのは言葉の通りで、この子の身長は本当に小さい。多分150cmないんじゃないかな?


 「だってぇ...」


 おっ? なんか言いそうだな。...って、あれ? 何だこの寒気は...。おいおい、嘘だろ......これマリファの時と同じだ。


 「だってぇ......毎晩毎晩あんな強い雄の匂い嗅いでたら私...気になっちゃいますよっ!」


 .........? 毎晩毎晩強い雄の匂い......?


 そこまで考えた俺の顔がみるみる熱を帯びて赤くなっていく。


 「ちょっ、ちょおおおおおいいいい!? それ以上は言うなっ!? なっ? 頼むぅうううう!?」


 俺の夜の仕事が毎回こいつに覗かれていたらしい。それなんて言う拷問?


 「...毎晩毎晩あんなに激し────────」


 「...ッ! だから言うなってッ!?」


 俺は慌ててうさ耳美少女の口を自身の手で塞いだ。こいつ声でかいんだよ! その身長と雰囲気のくせして、ラーメン屋の大将くらい声でかい。


 そんな時、隣の部屋のドアが開く。


 あっ、マリファだ! あいつが来たらこの地雷ロリ兎を一旦落ち着かせられる!


 はたしてマリファは現れたが、その表情は俺の想像していたものではなく。


 「一成さん...なにしてるん、ですか...」


 プルプルと体を震わせて、痴漢にでもあったような顔をしている。


 ん? おかしいぞ。なんでそんな顔して......って、まて!? こいつ、この状況しか見てないよな!?


 俺は慌てて下を向く。するとそこには目に涙を溜めてプルプルと震える子兎ちゃんの姿がある。


 へへっ、これじゃあ俺、痴漢と変わんねぇや...。


 「......衛兵さぁあああああああんッ!!」


 おいおいっ!? まずい!? このままでは俺の異世界生活牢屋編がスタートしちまう!


 ってか、こいつなんで異常者のくせにこういう所普通の感性してんだよ!? お前の方が俺より何倍もやばいならな!?


 俺は慌ててうさ耳美少女から離れて、マリファに事情を説明した。もちろん俺の夜のお仕事、リトル一成の手入れの話はしていない。出来るわけないだろ!


 そんなこんなで俺の部屋。


 部屋には俺とマリファ、そしてうさ耳美少女が座っている。もうほんと見た目だけならハーレムアニメみたい...泣


 「...ほんとごめんさいっ。 もう覗きませんからパーティーに入れてくださいっ...グスッ」


 「なんでだよッ!?」


 このうさ耳美少女もやっぱりおかしい。絶対俺のスキルのせいだ。運命の駄天使(新人バイト)の加護だよこれ。ちょっ、マジ、クソ天使一回出てこい! ボコボコにはできねーけど、目の前で悪口言ってやる!


 「わたしっ、引っ込み思案な性格のせいで誰もパーティー組んでくれないんです...」

 

 引っ込み思案なのに覗き魔なのね。


 「いや、それはわかったけど、なんで今パーティー入れてくれって話になんだよ?」


 「久しぶりに人と話したからぁ...。これはチャンスなのでは? って思ったからぁ...」


 図々しいッ! なんだこいつ! 泣いてて健気そうに見えるけど、話の内容親戚のおばちゃんぐらい図々しい!


 「......グスンッ...。可愛そうですぅ...グスッ」


 そんで横で何故か一緒に号泣しているマリファ。ああ、本当に厄介! もう俺わかってるからね!? 絶対「パーティーに入れてあげましょう一成さん」とか言い出すだろ?

そんなのお見通しだから!


 しばらく泣いた後マリファが口を開く。


 「パーティーに入れてあげましょう一成さんッ!」


 はい、一語一句予想通り。チョレイッ!!


 「いや、ダメだ! こんな素性のしれない奴お断りだ!」


 正直素性がしれない&ド変態のマリファをパーティーに入れてるだろって言われそうだが仕方ない。だって、これ以上変な奴増やしたくねーよ! これ芋づる式に増えてく奴だもん!


 すると、今まで泣いていたうさ耳美少女が俺の耳に口を添えてきた。


 おいおいっ! まさか俺を懐柔する気か!? クソッ! 顔だけはマジで可愛いから心揺らいじゃうよッ!


 「......夜のお仕事のこと言いますよ?ボソッ」


 「......。い、いやぁ、でもまあパーティーは多い方がい、良いよなやっぱ!」


 この腹黒兎めぇえええええ!! なんて非道なやり方を! それでもお前に人の心はあるのかッ!?


 そんな俺の心の叫びも届かず、うさ耳美少女の顔はお花が咲いたような笑顔になっている。


 「ありがとうございますっ! 私、精一杯頑張ります! あっ、自己紹介がまだでしたよね? 私の名前はラビビと申します! これからよろしくお願いしますっ!」


 こうして俺達のパーティーは新たな変態、ラビビを加えて3人パーティーとなった。


 みんな、淫乱腹黒兎に注意しろよなっ!


 

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