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俺の不幸スキルが爆発している件

 俺は今ゴブリン退治をしています。そう、これは退治です。決して、ゴブリンを痛ぶって、嬲って、遊んでいるわけでは......もう嫌だ。


 「見てください一成さん! ×××を××××したら白目剥いて××するんですよ! 」


 目の前の美少女もとい悪魔マリファは、花畑を駆け回る聖女のような足取りでゴブリン畑を作り上げる。俺はこの美少女のことを血濡れのマリファと呼んでいます。俺ってセンスあるわ。いや、マジで。


 大丈夫これ? コンプライアンスとか引っかかってない?


 俺は目の前で楽しそうにはしゃぐマリファを見ながらそんな事を考えていた。いや、そんな事しか考えられない。こんな歩く18禁 (ハードタイプ) を連れ歩いているのだ。仕方ないだろ。


 ただ、ひとつだけ良かったこともある。それはマリファの戦闘能力の高さだ。いや、本当にヤバいよこの子? この辺だとゴブリンが1番人型で殺しがいがあるとかいう理由でゴブリン退治しかしてないけど、この前遭遇したオークとかいう豚の化け物瞬殺してたもん。まあその時も、「あーあ、もうちょっと時間をかければ良かったぁ...テヘペロ♡」みたいな感じだったから、ほんとプラマイゼロ。むしろマーイ。


 ただ本当にマリファの強さには助けられている。1日500円しか稼げていなかった数日前と比べ、今では1日5000円ほど稼げている。毎日平均して2人でゴブリンを約20匹ほど退治している計算だ。そのうち2,3匹が俺の手柄なのだが、マリファは折半でいいと言うのだ。マリファはこの頭おかしいサイコパス状態の時以外はとても可愛らしい聡明な女の子なのだ。だから余計怖いのだが。


 「ふぅ...今日も楽しかったですね一成さん!」


 「そ、そうだな!」


 マリファはゴブリンの赤黒い返り血のべっとりと付着した顔で笑っている。

 はぁ...。慣れてきたんだよなぁ、この光景。絶対ダメだよな、慣れちゃ。戻れなくなるよね。これ。


 


 ギルドに着いた俺達は受付に向かう。マリファは自分のヤバい趣味は周りに隠しているようでギルドに入る前に血のべっとりと付いた服を着替えている。そして、普段のマリファは本当に可愛いエルフのお嬢さんなので、冒険者からの人気が凄い。軽くアイドル扱いされてる。そんなマリファを連れているからだろう。俺に対する視線に殺意を感じる。


 ...お前らマリファの本性知らないからそんな態度取れるんだ! いっそ教えて...いや、辞めとこう。普通に死ぬ未来しか見えない。


 今日俺達はここでステータスを測ることにした。ステータスを測るには5000ゴールドも必要な為、今まで測ることができなかったのだ。まあ、俺にチート能力がないのはあのクソ天使の態度を見たらわかる。そこは当てにしていないが、ゴブリンを素手で何匹か殴り殺しているんだ。それなりに強くなった気はする。まあ、それと、チート能力は期待していないが、他の能力があるような気はする。それが本当にあるのか無いのか、そこだけハッキリさせておきたかった。


 「それではステータスの方、測らさせていただきますね。ではここに血を垂らしてください」


 そう言うと受付のお姉さんは不思議な形をした石版を差し出してきた。というか、やっぱ血垂らさないとダメなのか...。なんか嫌だなぁ。


 そんな事を思いながらふと横を見ると、軽くイッちゃってる目をしたマリファがいた。


 えッ!? この子もしかして自分でもイけるタイプなの!? なにその変態ハイブリッド...。


 まあ、マリファの事はもういい。俺は思考を切り替えると、指をナイフで切りつけた。痛くはないが、あまり気分の良いものでは無い。


 すると、受付のお姉さんが


 「血が少ないですね。もうちょっといきましょうか。もうちょい」


 とか言いだした。


 いや、石版光ってるし。絶対足りてるし。なんなの? こいつもそう言う奴なの? 俺の周りヤバすぎワロタ。


 そんなこんなで俺達はステータスの測定を終えた。


 「こちらが結果になりますねー」


 しばらくしてお姉さんが2つの羊皮紙を持ってきた。そこに書かれていたのは、


--------------------------------------------------------------------


 カズキ・タカヤマ

 レベル 5

 スキル 運命の駄天使(新人バイト)の加護Lv99

  フラグ建築Lv99

  フラグ回収Lv99

  変処理Lv99


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 マリファ・ブリュンヒルデ

 レベル56

 スキル 生殺与奪Lv69

  解体Lv69

  特殊快感Lv69


--------------------------------------------------------------------


 というものだった。


 このステータス測定は安い方なのでレベルとスキルだけしか測定できない。ギルドの商売根性マジぱねぇっす!


 そして、俺はその羊皮紙を見て脂汗を額に滲ました。


 嫌な予感はしてた。あの時。そう、マリファと出会ったあの時。マリファに「私の独り言聞いたりしてない?」と尋ねられた時。俺は確かに「聞いてないです」と答えるはずだった。なのに口から漏れた言葉はそれとは全く逆の言葉。これでは俺がマリファとの接点をわざと作りに行ったようなものだ。


 しかし、このスキルなら納得できる。運命の駄天使(新人バイト)の加護。...何が運命じゃいッ! これのどこが運命なんじゃいッ! こんな運命認められるかいッ! ってか、駄天使て! 新人バイトて! なんなの!? やっぱりコンビニなの!?


 嫌な予感が当たったせいで謎のハイテンションになっている俺。もう、あのクソ天使マジで殺す...。


 そして、マリファのステータスはと言うと、バカ強い。レベル56とか多分相当強い部類に入ると思われた。だって動きからしてレベル5の俺とは雲泥の差だった。身体能力からして違いすぎるのだ。まあそれより目を引くのは...間違いなくスキルだろう。全部ヤバい。特に生殺与奪とかヤバい。生かすも殺すも、与えるも奪うも思いのままとか...天はなんて化け物を創り出してんだよ!


 しかし、マリファはあまりスキルのことは分かっていないようで


 「なんだか難しいスキルが書いてありますね?」


 とか言ってる。知らぬが仏。...俺は時すでに遅しだがな。


 とにかく今回の収穫は、俺がどちゃクソ厄介なスキル沢山持ってる! って言うことと、マリファが凄く強くてやっぱりヤバい奴だということが再確認出来たという事だ。


 俺の異世界生活はまだ始まったばかりだが、もう終わりに近い。そんな気さえする。


 誰か助けて!

 

 


 

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