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主従関係

「……だったら、俺を主にしてみないか? 無理にとは言わない、ちゃんと給料も出すし、衣食住も約束する」


 半蔵自身、後先考えずに発言してしまった自覚はある。言い切った手前、撤回する気はない。そもそも、半蔵はこれが最善だと思った。誰でもない、自身にとって。


「っ! あなたが私の主に、ですか? い、いえ! 金子きんすのことは構いません! 主人には恩がありますゆえ! ……しかし、主人は私などを召し抱えてどうされるおつもりですか?」


 ユキヤにとってはこの提案はこれからの生活に大きくかかわってくることだ。それはもちろん半蔵にも同じことが言える。

 だが、どうして目の前で自分を見つめる半蔵が、このようなことを言うのかわからなかった。

 考えてみれば、別に自分にとって悪いことではない。寧ろ、恩を返さねばならないと決めていたユキヤにとっては好都合ともいえる。ユキヤは意を決めたように、しっかりとした目つきで半蔵を捉えた。


「……いえ、愚問でした。主人がそうおっしゃるようでしたら、御恩を返すまでは、あなたを主と認め仕えましょう。それでよろしいでしょうか?」


「あ、ありがとう、よろしく頼む」


「はい、今日よりこのユキヤ、あなたのために生き、そしていつでも死にます。主、この命いつでも好きなようにお使いください」


 ユキヤは合手礼ごうしゅれいをしながら、心を込めた言葉で静かに宣言する。これはユキヤにとって最大限の敬礼をあらわす座礼であり、自らが認めた主にする里での掟の儀でもあった。


 半蔵はこの日から、長い付き合いになる忍であるダークエルフのユキヤとの、奇妙な主従関係が始まった。





これでストックが尽きたので、これからは1話ずつの投稿になります。

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