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メーキングオブレジェンド

作者: 佐藤太郎

この世には、世の人々が知ってはいけない事がたくさんある。

そして、それれを知ることで命を危険に晒されたりする場合だってある。

今回、彼はそんな秘密の共有者としてある伝説に携わることになった。

彼の名前はヒダンと言い、おとなしい少年だった。

そんな彼が十二歳になった日に、伝承者として高名なパナシアに弟子入りをする。

そして入門からまだ一カ月と経っていなかった頃。

グ-フィ王国からパナシアに筆記伝承の依頼が入って来る。

彼は行為伝承、口頭伝承も行うことができたため伝承指導なども望まれていた。

ヒダンが伝承者として一流であるパナシアの弟子になれたのは奇跡に近い幸運だったと言える。

ともあれ、見習いとして最初の仕事という事でヒダンは随分と興奮しているようだった。

しかしそれも城に着くまでで、城到着してからは集められた関係者の多さに圧倒され

師匠の後ろに隠れて様子を伺うしかできなかった。

城に集まった関係者が中庭に集められ次々に受付を済ませると

順次、講堂へと案内されて行く。

二人もそれに倣い受付の順番を待っていると、声をかけてくる女性がいた。

「お久しぶりですパナシアさん。

ネーバー山、邪竜退治第二章以来ですね。

今回はどの部分を担当されるのかしら?」

にこやかな笑顔にパナシアも笑顔で答える。

「今回の筆記は最終章だけなんですが、伝承指導もありますし、初めから話の流れを見ていないと

伝承の雰囲気になじめなくて、最後につまずくと台無しになってしまいますから。

後は、彼の勉強も兼ねて」

パナシアの視線がヒダンに落ちる。

それを見て女性は

「あら、小さなお弟子さんね。

私はエマ、よろしくね」

と手を差し出した。

ヒダンが照れながらその手を握ると、じゃあね

と言って講堂に入って行ってしまった。

残された二人も、ようやく受付を済ませると講堂へと向かった。

講堂に入ると席は八割がた埋まっていて、二人が空いている席に着くと

しばらくしてファンファーレが鳴り響いた。

音が鳴り止むと壇上に男性が現れる。

彼は講堂全体に響き渡るような声で

「ようこそ皆さん、この度はグーフィ王国討魔伝の作成に集まって頂き

感謝いたします。

私は総責任者のアプロプリアトです。

では、今回の伝承に登場していただく方々をご紹介いたします」

その言葉が終わると数人の男女が壇上に上がる。

それぞれが自己紹介をしたあと袖に下がると。

最後に再び総責任者が締めの挨拶をして、解散となった。

その後、城の大ホールで立食パーティーが行われる。

何もかもが初めての体験にヒダンは師匠に聞かずにはおれなかった

「師匠、伝承とはいつもこのように大勢で行うのですか?」

少年の純粋な問いかけに笑いながら

「こう言う場合はあまり多くはないよ。

伝承者の多くは実際に自分が認めた勇者達と共に冒険し

その詳細を記録し、口伝や筆記による伝承を行ったりする

ただこの場合は、旅の途中で命を落とす危険があるので熟練者で無ければ

その勤めを全うできないだろう。

また、村に伝わる伝統行事や儀式などを後世に伝えるために

その行為を自らが体得して伝承する行為伝承もある。

君がこれから進もうとしている伝承者という職業は危険も多い。

その事に注意して頑張ってください」

師匠の温かい言葉に感激し、明日からの伝説伝承に胸を踊らせながら

今まで食べた事のないデザートを口の中いっぱいにほおばる。

ヒダン少年の伝承者としての物語はここからが始まった。

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