表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

296/350

後日談.結婚式編 白無垢の花嫁

「あ、兄貴、こ、この時間ってかなり緊張するな」


 俺の隣でガチガチに緊張しているロイ。昨日はシエラさんたちのいる協会に泊まり、今まで話したかった事を色々話す事が出来たようだ。


 ロイとメイが結婚する事とランウォーカー領で貴族になる事を伝えると、シエラさんにかなり驚かれたそうだが、笑顔で祝福してくれたそうだ。


 他にも沢山話したい事はあったらしいのだが、もう時間だという事で朝には帰って来た。まあ、俺がいたらいつでも連れて来られるから大丈夫なんだけど。


 そして、今は今までの結婚式と同じように女性陣が衣装に着替えるのを待っている時間だ。


 今日は、キャロ、プリシア、香奈、麻里、アステル、ハクと行う日で、ロイはメイちゃんとミクルーアちゃんとだ。みんなは、かつてはキャロの侍女で、今はクリフォード君の侍女をしているメリーさんに連れていかれた。


 それからずっとこの部屋で待っているのだが、ロイが緊張し過ぎて、物凄く落ち着きが無い。緊張するのはわかるがもう少し落ち着いたらどうなんだよ。


 そんな風に待っていると、扉がノックされ開かれた。入って来たのは物凄く笑顔な教皇だった。


「やあ、気分はどうだい、2人とも?」


「俺は大丈夫ですよ」


「おおお、俺、俺も、だだ、大丈夫です!」


「はは、ロイ君は微妙だけど、まあいいや。いやー、キャロの晴れ着姿楽しみだね。私はワクワクし過ぎて昨日も寝られる無かったよ。そしたら、クリスが『寂しいから温めて欲しい』って言って来たから、今日の朝まで熱い夜になってしまったよ」


 ……部屋に入って来て早々何を言ってんだよ、この人は。なんで義親の夜の事なんて聞かないといけないんだよ。でも、このおかげかはわからないが、緊張していたロイが落ち着いて来た。


 そんな風にたわいのない話をしていると、再び扉がノックされた。今度は直ぐに開けられず、外から侍女の声がする。教皇が返事をすると、侍女は礼儀正しく入って来た。そして、伝えられたのが、キャロたちの準備が出来たとの事だった。


「さあ、行こうか」


 にこやかに言う教皇の後に続く俺たち。外もワーベストやナノール程ではないが街でも国民たちが盛り上がっている。アルカディアでの結婚式は、他の国みたいに大々的にはしないそうだ。


 国民たちには結婚式を挙げる事と、誰がするかを伝えて国から祝いのために食料やお酒が出るようだ。この辺は他の国と同じだな。


 俺たち結婚する人たちは、協会の大司教に祝福をもらい女神アステルに感謝を捧げて、それから身内だけで祝うらしい。


 まあ、今回は感謝する相手であるアステルが参加しているのだが。それに初めは教皇が俺たちに祝福を捧げたいと言っていたのだが、自分の娘に対してするのもおかしいだろう、といつも通りの大司教になった。


 さっき大司教に出会ったが、白ひげをたくわえた好好爺とした方だった。なんでも、教皇が生まれる前からアルカディアに仕えているそうだ。教皇やキャロも当然頭が上がらない相手らしい。


「こちらになります」


 侍女に案内された場所には朱雀騎士団の人たちと思われる赤い鎧を着た女性騎士たちが立っていた。朱雀騎士団は魔法主体の騎士団なので、他の騎士団に比べると女性比率が多いとキャロが言っていたのを思い出す。


 そんな女性騎士たちに見られながらも部屋の中に入ると、中には満足そうな顔をするクリスティーナ様とメリーさんが立っていた。


「やっと来たわね、みんないい感じに出来ているわよ」


 クリスティーナ様が楽しそうにそう言う。ここもナノールの時みたいにカーテンで仕切りがされているので、このカーテンの向こうにみんながいるのだろう。


「さあ、メリー」


「はい、クリスティーナ様」


 2人はそのままカーテンの元まで行き、メリーさんにカーテンを引かせる。そして現れたのは、


「どうかしら?」


 白無垢のような姿をしたキャロたちだった。白無垢でも真っ白ってわけではなく、その中でも花柄の模様が描かれていたりと、物凄く綺麗だ。


「あ〜、普通すぎるんだけど、みんな物凄く綺麗だ」


 俺の言葉に微笑むみんな。語彙力の無い俺を許して欲しい。


「ふふ、レイ君のその言葉だけで十分ですよ」


「私、白無垢に少し憧れていたんだぁ」


 俺の横に香奈と麻里がそんな事を言ってくる。普段ふざけているアステルもこの時は神々しく見える。黙っているからかな?


「……おにぃ、どう?」


「ハク、もちろんハクもよく似合っているぞ。みんなにも負けていない」


 俺が頭を撫でようとすると、香奈に止められたが、ハクは俺の言葉に喜んでくれた。俺たちの横では


「ねぇねぇ、どうかな、ロイ?」


「ど、どうでしょうか、ロイ様?」


 キャロたちと同じように白無垢を着たメイとミクルーアに自分の姿はどうかと、聞かれているロイは


「……やばい、2人とも可愛すぎて鼻血出そう……」


 上を向いて鼻を押さえていた。何してんだよ。それからは、ようやく落ち着いたロイを連れて、王宮内にある神殿へ。ここは身内だけの参加になる。


 そこで、大司教から祝福の言葉を頂く……信仰しているアステルにアステルの言葉と言って祝福を与える姿はなんかあれだな。


 祝福が終わると、みんなで王宮の会場へ向かう。そこには色とりどりの食べ物が置かれていた。左右には侍女が立ち並び、シェフたちがこの場で料理をしている。どうやらビュッフェ形式のようだ。


 そこからは、ワーベストでの結婚式とあまり変わらなかった。白無垢姿から着替えてきたキャロたちと親たちに挨拶をしに行き、そこからはみんなで楽しく食事をする。


 当然、シエラさんたちも呼ばれている。子供たちは昨日と比べても豪華な食事に、喉を詰まらせで食べている。それを楽しそうに世話をするプリシアたち。


 これで、各国での結婚式も終わったな。後はランウォーカーでの結婚式を残すのみか。みんな人生で1番になるような結婚式にしたいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ