閑話 レイを愛する会
レイたちが、反抗する貴族たちを捉えている頃。元レガリア帝国領、現王領の屋敷のとある一室に集まる人影があった。
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「それでは、準備の方もひと段落したから、前々から話していた『レイを愛してる会』を始めるわね」
「わあああー」
まず初めに話したのは従兄さんと一番初めに婚約した女性、アレクシア・ナノールさん。ナノール王国の王女らしくて、従兄さんの婚約者の中で一番胸が大きい人だ。私も少しは自信があったんだけど、アレクシアさんには勝てない。
その次に声を上げたのがハクちゃん。婚約者じゃ無いけど従兄さんの事を「おにい」と慕っている白髪の女の子。
見た目は無表情ながらも可愛らしい女の子なんだけど、実はかなりの実力を持つ子らしい……婚約者の皆さんが言うには今後次第ではどうなるかわからないとか。
「アレクシア様。その会名はちょっとへんな気が……」
アレクシアさんの名付けた会名に苦笑いをしながらも言う女性はヘレンディーネ・ラルクルスさん。アレクシアさんと同じナノール王国の人で、茶髪のボブカットでメガネがあったら似合いそうな人だ。
ナノール王国の宰相を父親に持っていて、ヘレンさんもかなりの天才らしい。従兄さんたちがいない間の王領を治めていたんだって。私が彼女に勝っているとしたら……胸かな。ヘレンさんのは物を置いてもそのまま落ちそうな大きさだ。
「そうよ、アレクシア。もう少しマシなのは無かったの?」
ヘレンさんの発言に追加で言うのは勝気な女性は、エアリス・ランウォーカーさん。赤髪のポニーテールをしている女性で、従兄さんのこの世界での腹違いの姉になるらしい。
「う〜ん、私は良いと思うけどな〜」
逆にアレクシアさんのつけた会名が良いと言う女性は、フェリス・ワーベストさん。獣人国ワーベストの王女様で狼の獣人。他の人には無い狼耳と尻尾が付いている。フワフワしている尻尾をモフモフしたい。
「会の名前なんてなんでも良いでしょ? それより始めましょう?」
会の名前は何でもよくて早く始めようと言うのは、アルカディア教皇国の王女、キャロライン・アルカディアさん。従兄さんと同い年で、聖女と呼ばれている。
今は仮面を外しているので、左右の目の色が違うのがわかる。日本でもオッドアイはいたので私は全く気にしないけど、この世界では呪いの象徴らしい。綺麗なんだけどなぁ。彼女もヘレンさんと同じぐらいのサイズだ。物を置いたらすとーんと落ちるほど。
その隣で沈黙を保っているのが、プリシアさんとクロナちゃん。プリシアさんはアルカディア教皇国で孤児院にいたときに、闇金から従兄さんに助けてもらったらしい。その時の姿で惚れてしまったとか……不謹慎かもしれないけど羨ましい。
クロナちゃんは、クロナちゃんのお母さんが従兄さんのお母さんの侍女をしているみたいで、生まれた時から従兄さんと一緒に過ごしてきたんだって。
小さい時から従兄さんの事が好きって顔を赤くして言っていた。思わず抱き締めてしまった程可愛かった。あれは可愛いクロナちゃんが悪い。
「キュールー」
机の上でくわぁーとあくびをしながら鳴くのはエクラちゃん。私もこの前初めて見たんだけど、竜族の王を両親に持つ子竜で、彼女も従兄さんの婚約者みたい。今は人化の訓練中でもう少しで出来るって、エクラちゃんのお母さんのヒルデさんが言っていた。
「ほら、エクラちゃん。寝ちゃダメだよ!」
そう言ってエクラちゃんを起こすのはメイちゃん。彼女は婚約者じゃ無いんだけど、動物の言葉がわかるので、エクラちゃんの通訳役にこの場に呼ばれた。
それから、まだ婚約者では無いけど、私が呼ばれていて、なぜ呼ばれたかわかってなくてオロオロとしている麻里がいる。
それからハクちゃんとメイちゃんの間にこの世界で従兄さんと本当の兄妹になるフィーリアちゃんが座っている。これが今日の会のメンバーになる。
「それもそうね。それじゃあ、私がみんなを呼んだのはもうわかっていると思うけど、レイの婚約者(候補)が増えた事よ」
そしてアレクシアさんは、いきなり本題に入る。アレクシアさんの言葉に同意する様にみんなが私たちの方を見る。隣の麻里はビクッと震える。
「前に紹介したけどもう一度紹介するわね。勇者として召喚されたカナ・カツラギとマリ・ニカイドウよ」
アレクシアさんの紹介に私たちはぺこりと頭を下げる。すると机の上をトコトコとエクラちゃんが歩いて私をジッと見てくる。何だろう。
「キュルルンルン?」
そして首を傾げてくるのだけど、どうしたのかしら?
「エクラちゃんがお兄ちゃんとおんなじ雰囲気がするって言っているよ〜?」
メイちゃんがエクラちゃんの言葉を代わりに話してくれる。その事に驚いているのがエアリスさんだ。
「それはどう言うことかしら? 今までエクラちゃんがそんな事を言った相手は家族であるフィーリアと私だけなんだけど?」
ううっ、エアリスさん少し怖いです。
「落ち着きなさい、エアリス。その事も今から話すわ。レイから許可は貰っているし、後で改めて自分から話すとは言っていたから」
そしてアレクシアさんが従兄さんの前世の事を話す。みんな全く想像していなかった話にかなり驚く。それから私は婚約者の皆さんに質問責めにされた。
前世の従兄さんはどんなんだったのかとか、どういうのが好きだったのかとか、恋人はいたのかとか、従兄さんの事を根掘り葉掘り聞かれた。
私は当然全部答えられるので、皆さんの質問にしっかりと答えて言った。隣に座る麻里が「どうしてそんな事まで知っているのよ……」と疲れた顔で呟いていたけど、こんなの普通だと思うけどなぁ。従兄さんがHな本を隠していた場所とか、初恋の相手とかも。
「……ふう。レイの事を知りたすぎて質問し過ぎたわ。ごめんなさい。でも、その話を聞いたら、レイが昔から大人びて見えたのも納得だわ。あの時から前世の記憶があったのね」
と、従兄さんがこの世界に生まれた時から知っているエアリスさんが言う。うぅー、羨ましい。皆さんが前世の事従兄さんの事が知りたい様に、私もこの世界での従兄さんの事が知りたい。
「まあ、レイの話はおいおいするとしましょう。今はどうなりたいか話をするんでしょ?」
脱線しそうになったところをキャロラインさんが言う。そして再びみんなの視線が私たちの方へ。
「私は従兄さんの事が大好きです。この気持ちは変わりません。前の世界では、離れ離れになってしまいましたが、この世界では絶対に離れたくありません!」
私が真剣な表情で言うと、周りの皆さんは一様に頷く。
「カナの事をどうするかはレイ次第だけど、私たちは認めるわ。あなたの気持ちからはレイの事が好きなのが伝わってくるから」
「でも、負けないからね!」
アレクシアさんが代表でそう言って、フェリスさんがグルルゥと威嚇してくる。でも、顔は笑っているので怒ってはいないのだろう。
「それであなたはどうなの?」
エアリスさんが麻里に尋ねる。麻里はもじもじしながら
「正直に言うと……よくわからないんです。今まで誰かを好きになった事がなくて。レイさんに対する思いがその……好きかどうかは……」
麻里は顔を赤くしながら俯く。いや、そこまでなったら好きでしょう。でも、まさかとは思ったけど、麻里まで好きになるなんて……。
「あなたは確定ね。でも、レイに認められないと駄目だから。それからハクちゃんはどうなの?」
「私は……おにいの側に……いれたら……何でもいい。おにい……恩返し……出来たら……いいから」
け、健気すぎる……。なんて可愛らしい子なんでしょう! 周りのみんなも目に涙を浮かべている。
そんなハクちゃんを愛でながら、話は他に従兄さんの事が好きな人の話になっていた。
みんなの予想では今はランウォーカー領にいるマーリンさんって方とラビさんって言う冒険者ギルドの受付嬢の方が怪しいらしい。
マーリンさんは昔従兄さんから助けてもらったみたいで、ラビさんはこの王領まで付いてくるほどだとか。
いざとなれば面談もしなければならないと、皆さん鼻息を荒くして話していた……みなさん、従兄さんには見せられない顔になっていますよ。
「フィーリアちゃんやメイちゃんはどうなの? レイの事をどう思っているの?」
そこにキャロラインさんが一緒に参加している2人に尋ねます。2人は首を傾げて
「うーん、確かにお兄様は好きですが、それが恋愛かと言われると難しいです。多分家族としてですね。でもお兄様の事が大好きだとははっきりと言えますよ」
「私もお兄ちゃんが好きだけど、それは恋愛としてじゃなくて家族としてかな」
なるほど。フィーリアちゃんもメイちゃんも家族としてなら大好きだと。まあ、この世界では家族の異性との婚約は認められているみたいだし。実際にエアリスさんがそうだから。今後どうなるかはわからないって事ですね。
他には、従兄さんののカッコいいところとか、可愛いところをみんなで話し合ったり、私やクロナちゃんにアレクシアさんが、帝都で従兄さんと添い寝した事を話したら怒られたりと。
逆に今まで従兄さんと一緒にお風呂に入ったと言われた時は、イラってしたけど。地球にいた時は、恥ずかしがって一緒に入ってくれなかったくせに! 従兄さんのバカ! 今度お風呂に乱入するんだから!
それからは、従兄さんが襲って来てくれないって話になって、従兄さんのヘタレ疑惑が浮上し、今度みんなで夜這いしてやるって話になったりと、婚約者だけど、女友達みたいにみんなで仲良く話す事が出来た。
みんなが心の底から従兄さんの事が好きなのがわかって何だか嬉しかった。でも、従兄さんを思う気持ちは誰にも負けないんだから!
ノリと勢いで書きました。




