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月下の一群

待機児童

作者: 濱野乱

いってらっしゃい、お母さん。

お仕事頑張ってね、僕は保育園で砂遊びをしてるから。


お友達はいないのかって?

いないことはないけどね、ミホちゃん。

ディズニー大好きミホちゃん。

ミホちゃんのお母さんもディズニーが好きなんだって。


可哀想。


これからミホちゃんをレイプしようかと思っていたけれど、やめておくよ。

ミホちゃんのオナラはとっても臭いから。


ねえ、知ってる?

キリン組のユカリせんせいと、タケシくんのお父さんは不倫をしているんだよ。


どうしてそんな嘘をつくのって?

嘘じゃないよ、タケシくんがそう言ってた。


可哀想。


ねえ、知ってる?

今度の運動会、組み体操やるんだけど、ピラミッドを十段にするんだよ。

僕は真ん中当たりかな。上からも下からも力が集中する重要なポジション。


危険じゃないのって?

危険なのは、僕より下にいる子たち。

押しつぶされた彼らが日の目を見ることはないだろう。

てっぺんにいる子だけが、太陽を見るんだ。


可哀想。


ねえ、知ってる?

僕、うんちが一人でできるようになったんだ。

見せてあげたいけど、お母さん、仕事に遅れるといけないから、もう行って。


僕は砂遊びを続けるよ。


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