絶望の希望〜プロローグ〜
「…カチッ、カチッ。」
今日もパソコンの前にへばりつく。
最終的に辿り着いたのは[ニート]という道だった。
決して後悔なんてしていない。
今でも正しい選択だと思っている。
人は少なからず他人に迷惑をかけるものだ。
「なら、思いっきり甘えさせてもらおう。」
そう叫んだきり、この家から何ヶ月も出ていない。
「お、これイイな…よし、買おうか。」
値段をみて少し迷ったが、思い切って買う事にした。
カートに保存して、買い物を続けていると
「つーくん!小包届いてるわよ」
下の階から、母親の声が聞こえた。
「分かった、今行くよ。」
買い物を中断して、パソコンを落とす。
「…今日はどうしようかな。」
絶望の淵に立たされた俺は、希望を求め始める…
絶望と希望との境を彷徨う少年の物語…
「母さん、おはよう。」
歳のわりに若い容姿の母に挨拶をする。
「あんた、もうお昼よ」
笑いながら小包を渡してくる母親。
ご近所さんからも仲良し家族と言われるほど、他人からみると仲良く見えるらしい。
受け取った小包には[宛先:大沢 捏(おおざわ つくね)]と書いてあった。
「確かに僕の荷物です!いただきましたっ!」
「うむっ。」
仰々しく頭を下げ、両手で荷物を受け取る僕。
仰々しく荷物を両方で渡す母。
一体二人で何をやっているだ、と笑いが起きる。
「ご飯はどうする?母さんはこれから出かけないといけないんだけど…」
「うーん…冷蔵庫の物を適当に食べとく。」
「わかった、それじゃあね。」
「はいはーい。」
出掛ける母を見送ったあと、とりあえず腹ごしらえのために冷蔵庫へ向かう事にした。
中には恐ろしいほど何も無かった。
あまりの物のなさに鳥肌が立つほどだった。
いや、本当に何もない。
「驚いて、冷蔵庫より俺の体温の方が冷えてる。」
なんて誰もいない部屋で冗談を言っても、虚しくなるだけだ。
「身体を温めるためにラーメン作ろっと」
レンジで3分で作れるタップラーメンを食べるとこにした。
ぬるま湯入れて、蓋をして、レンジに入れて、チーン。
あっという間に出来上がった最高傑作!
「いただきます。」
一口目から豪快に三分の一を口の中に流し込む。
「ぐべっぐぼっ」
その三分の二を吐き戻し、自らの愚かな行為を悔いた。
咳が落ち着くと同時に水を流し込み、ため息を一つつく。
折角のご飯がまずまずになると嫌なのでゆっくり食べることにした。
食べ始めて二時間。
因果関係は突っ込まない。
「うまっ、うまっ、ラーメンうまっ。」
因果関係は突っ込まない。
「これなら毎日食べれるね!」
うまし、ウドンうまし。
ウドンうましうまし。
ゆっくりご飯をいただき、ご馳走様をした後に小包を開けるべくカッター片手に階段へと向かった。