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第17話 - 休息

ちょっと長め。普段の1.5倍くらいかな・・・?


***


場所は変わり、ここはさっきのドラゴンの巣だ。

アルスがここまで来た事についてさっきのドラゴンに話している。


『・・・と、まぁ、こういう訳でして・・・』


〈むぅ・・・〉


話が終わってからさっきのドラゴンは何やら考え込んでいる。


〈デストラーの話を聞くのは何年振りかのう・・・。一時は収まって平和になったかと思うとったのに・・・〉


『全くです・・・。もう二度と、あのような犠牲は・・・』


しばらく沈黙が続く。


【なぁ・・・】


沈黙を破ったのはガルダだ。


【さっきから辛気くせぇ顔して何やら考えてるけど、爺さんいったい何者?】


そう言われればそうだ。まだ俺らは自己紹介をしてもらっていない。


『ガ・・・貴様師匠に・・・!』


無礼な発言により、眉間にしわを寄せるアルス


〈これこれ、そう怒るでない。〉


『ですが師匠・・・』


〈思えば、(わし)の名前も知らんのだ。爺さんと呼ばれても致し方なかろう。〉


『・・・』


黙りこむアルスと、それを見て勝ち誇った顔になるガルダ


『っ貴様・・・!』


【あ?】


〈いい加減にせんか!!〉


次の瞬間、2体とも両脇まで吹き飛ばされた。


【っ・・・てぇ・・・】


『うぅ・・・』


相当の衝撃だったのだろう、2体ともほぼ無口になっていた。


〈さて・・・あやつらは放っておくとして・・・〉


老竜がこちらへと向き直る。


〈儂の名前はスペティじゃ・・・呼びづらいじゃろうから爺さんでも一向に構わんぞ。〉


ほっほっと笑いながらの自己紹介。先ほどまでの雰囲気とは違い非常に温厚な竜みたいだ。


〈普段は、格闘や魔術の研究をしておる〉


「アルスが師匠というのは、そのためですか?」


〈そういうことになるかのぅ・・・師匠なんて堅苦しい呼び方をせんでもいいのにのぅ・・・〉


寂しそうな顔で、アルスを見つめる。スペティさんにとって、アルスは子供のようにかわいい存在なのかもしれない。


〈格闘・魔術研究家というのは表の顔でのぅ・・・裏ではデストラーの研究もしておる。〉


《ってことは・・・デストラーについていろいろ知っているということでいいのかしら?》


情報屋ラウが、食いつく


〈そうなるかのう・・・ほっほっほっ〉


「・・・その情報を得たところで、俺たちは弱い。竜王と言えど、あいつらには歯が立たなかった。それどころか大怪我だ・・・何ができる?」


アラッドが重い口を開いた。


〈そうじゃのう・・・力のすべてをうまく扱えてないおぬし達には、きつかろう・・・〉


「・・・」


再び俺達は黙り込んでしまった。


〈力のすべてを扱えないなら、扱えるようになればいい。じゃからここに来た。そうじゃろう?アルス。〉


アルスの方を見ると、痛む身体をゆっくりと起こし、何事もなかったかのような顔でこちらをみて口を開いた。


『お察しの通りです、師匠。』


〈じゃから、師匠と呼ばなくても良いと・・・。まぁよい。長旅で疲れたろう。今日はゆっくり休むとよい。詳しい話は明日じゃ。〉


スペティさんの言う通り、僕らは疲れ切っていることを今更思い出した。


【だな・・・体はギシギシ言ってるし、爺さんの言う通り今日は休んだ方が得策かもな。】


『貴様・・・っ!』


案の定これだ。


「やれやれ」


《そりが合わないってこういう事を言うのかしらね…》


「はぁ・・・」


また、揉め事が始まるのかと思った矢先


〈次に揉めたら水責めにするから覚悟せいっ!〉


スペティさんの強烈な一言。


【う、く・・・】


『むぅ・・・』


ふたりは数秒睨み合ったかと思うと、黙ったまま顔を逸らした。

こちらに振り返ったスペティさんは、先ほどと同じ、優しい顔をしていた。ある意味怖い。


〈全く・・・兎にも角にも、今日はゆっくり休みなされ。〉


「ありがとうございます。」


俺がそういうと


〈そんなにかしこまらなくてもよいぞ。ほっほっ〉


返答は短かったものの、スペティさんの優しさが伝わってくるかのようで、安心した。


〈ひとまず、寝床じゃのう・・・。鍵の空いておる部屋は好きに使ってよいぞ。ほれ、アルス。案内してやらんか。〉


『分かりました、す、スペティ・・・おじ・・・さん・・・。』


恥ずかしそうにスペティさんの名前を呼ぶアルス。


〈お主にその名前で呼ばれるのは、何十年ぶりかのう・・・ほっほっほっ・・・〉


スペティさんの口角が緩んでいる。きっと、うれしいのだろう。久々に呼ばれたその名前が。


その後僕らはアルスに部屋を案内してもらった。

アルスとガルダは依然顔を合わせるたびにそっぽを向き、口を聞こうともせずに、部屋の案内も乱雑でガルダのみひとり部屋だったのは言うまでもない。

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