第12話 - 親友
第12話投下!
「ふぁ~あ。ねみぃ~」
俺は、結局あれから一睡もできなかった。胸騒ぎがするのだ。
アルスはまだ寝てるが、俺は一人で狩りに行くことにした。
「何がいいかなぁ・・・ん?」
ふと見ると、牛の群れがあった。
牛と言っても、この世界の牛は、緑と白のまだら模様だが。
「あれにするか」
俺は、その牛の群れを狙って狩りを始めた。
狩りの方法はいたって簡単。
上空へいって、牛たちから見えないようにして狙いを定める。そして、そのまま急降下して捕まえる。
かなりシンプルだ。
「・・・今日の収穫はこんなもんかな」
今日の狩りで捕まえたのは、牛を3頭程だ。
「とりあえずアルスのとこへ帰って、分けるか」
そう考え、俺は寝床へ帰った。
***
洞窟に帰った俺だったが、アルスはまだ寝てる・・・
「アルス~。おきて~。めし~」
『・・・』
起きない。なら尻尾で起こすまで。
「そりゃ!」
『ぎゃー!!!!!!』
「アルスおはよう。これ、今日の収穫」
『痛いじゃないか!』
「だって起きないんだもん」
『それは今日の狩りの収穫か。なかなかやるじゃないか』
すると、
アルスー起きてるかー
洞窟の外からアルスををよぶ声が聞こえた。
「誰だろう?」
『ふむ。我の家に尋ねてくるのは2、3匹だから、恐らくこの声はガルダだろう』
「ガルダ!?」
『うむ。我の唯一無二の親友だ』
「親友居たんだ」
『意外だったか?』
「うん。それよりアルス。早く出ないと」
『おぉ。忘れていた』
そう言ってアルスは洞窟の外へ歩いて行った。その間、俺はやることがないので、今日獲った牛を食べた。
1匹食べ終わる頃にアルスが帰ってきた。アルスの裏には2匹のドラゴンがついてきた。片方は、アルスとほぼ同じくらいの体長で赤いドラゴン。もう片方は、アルスより若干小さくて黄色いドラゴンだった。
『おぉ。ドラド。紹介する。こいつが・・・』
とアルスが言いかけていた時に赤いドラゴンが挨拶をした。
【俺はガルダだ。よろしくな】
「は、初めまして。俺はドラドです。こちらこそ」
【敬語はよしてくれ。堅苦しい】
「分かった。俺もそっちの方が良い」
すると、今度は黄色いドラゴンが挨拶をした。
「俺は、ザクです。よろしく。あ、後、俺も敬語はやめてください」
「分かった。じゃあ、俺も敬語じゃなくていいよ」
そう言って、握手をした。
『ところで、ガルダ。我に用ってなんだ?』
【あぁ。実は・・・俺、契約者を持った。契約者はザクだ】
「『え?』」
思わず二人そろって言ってしまった。
【お前は親友だから、話しておこうと思ってな】
『そういうことか。ならば我も嘘はつけんな。こいつは我の契約者だ』
「【えぇ!?】」
ガルダとザクもびっくりしていた。
『なんだ。そんなに意外か?』
【いや、なら、手間が省けたと思ってな】
『どういうことだ?』
【実はこいつの親友を探してる。しかも、元・人間のな】
俺はその時感じた。この黄色いドラゴンは・・・
そう思っていたら、ザクが口を開いた。
「俺の親友の名前は、龍人だ!そいつを探してる」
『何!?』
俺はやっぱりと思った。
「・・・ってことはザク、いや、お前は和真だろう」
「やっぱり、お前は龍人だったんだな」
「あぁ。」
俺達が話してると、アルスが話してきた。
『それにしてもなんで・・・』
すると、ガルダが話し出した。
【ザク・・・いや和真は、親友を探すために、親友ともう1度会うために人間を捨てたんだ】
『ところで、このことはアラッド・・・いや竜王には話したのか?』
【いや、まだだ。俺はこいつの力量を知らない。だからそれについても相談に来た】
『どういうことだ?』
【アルス、一生のお願いだ。和真を鍛えてくれ。頼む】
ガルダはそういってアルスに頭を下げた。
『・・・なんで我なのだ?』
【俺は、教えるとかそういうことがめっぽう弱いんだ。だから、うまく教えられない。なぁ。頼む】
『・・・ふむ。親友の頼みだ。断るわけにもいくまい』
【ありがとうな】
そう言ったガルダの目からは、一筋の涙が流れていた。