キモオタレンジャー
地球に危機が迫っていた。
母星を追われたオグリー星人のイケメ・シュン(19)はとある目的を持って地球にやってきた。
それは、自分を追い出した他の星人に復讐する足場を築くためである。
彼は彼の星の優れたテクノロジーを駆使し、ひそかに地球を乗っ取る計画を遂行していた。
地球は彼の支配下に下るかのように見えた。
しかし地球には彼の星にはないすごい力があった。
それがキモオタと呼ばれる人々が発する驚異のパワーである。
これは地球をかけて戦うイケメとキモオタの聖戦の伝承である。
松島敏夫は普通のサラリーマンである。
若干さえないかもしれない。
今年で30になるが、結婚どころか浮いた話も聞かない。
松島敏夫は趣味に生きる男である。
人によってはオタクと思うかもしれない。
彼の愛する多種多様な物体や概念は人に理解され難い。
松島敏夫はのめり込む習性がある。
それは趣味だけでなく仕事に対しても一定の成果に貢献しているかもしれない。
しかし同僚にしてみれば心地よい存在であるわけがない。
松島敏夫は限界を感じている。
何に対してなのかよくわからない。わかっているような気がしなくもない。
ただただ、窮屈な感じは日に日に強くなるばかりであった。