表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君を愛せないと言われたので、夫が忘れた初恋令嬢を探します  作者: 狭山ひびき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/40

記憶と真実 1

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

 ……わたしの記憶が、戻る?


 わたしの胸に、ふわりと期待が広がるのと同時に、記憶の中に残っているコニーリアス様の言葉が浮かんで来た。


 ――思い出させる方法がまったくないわけではありません。けれど、魔法省の長官としてそれは許可できません。その方法は、夫人、あなたにも負荷が……あなたの記憶が傷つく可能性がある。あなたは罪人ではない。そんなあなたに、この方法は勧められないし、してはならない。ご理解ください


 わたしは以前、クリフ様が忘れている初恋の女性の記憶を思い出す方法はないかとコニーリアス様に相談した。

 あの時コニーリアス様は方法はあるけれど許可できないと言った。

 許可できない、ということは、忘却の魔法で忘れた記憶を戻す魔法もまた、禁忌魔法に該当するのではなかろうか。


 わたしの記憶を戻すために禁忌魔法を使えば、クリフ様は今度こそ罪人になってしまう。

 忘却の魔法は許可なく他人に使用した場合罪に問われるが、クリフ様の場合は自分自身に使用したので、前回はお咎めなしとなった。

 しかし、コニーリアス様が許可できないとおっしゃった魔法をわたしに使用することは、法律で禁止されていることに抵触するかもしれない。


 忘れたことは思い出したいが、わたしはクリフ様を罪人にしたいわけじゃない。

 ふるふると強張った顔で首を横に振ると、クリフ様がわたしが何を懸念しているのかわかったようだった。


「アナスタージア、君の記憶を戻すために魔法を使う許可を出したのは陛下とコニーリアス長官だ。明日、コニーリアス長官がこちらに来て君にも説明してくれることになっている。その説明を聞いてからもう一度考えてくれないか? もちろん、説明を聞いた後で君が嫌だと判断したのであれば、無理にとは言わない」

「陛下とコニーリアス様が許可を出したんですか?」

「ああ。今回、君は完全なる被害者だ。そのため、陛下とコニーリアス長官が話し合い、君が望むのなら魔法を使用することを許可してくださった」

「そうですか……」


 その方法がどんなものかはわからないけれど、危険はないのだろうか。

 クリフ様の記憶を戻す方法にはわたしに負荷がかかるとコニーリアス様はおっしゃった。

 わたしの記憶を戻す場合、それとは逆――すなわち、クリフ様に負荷がかかるということはないのだろうか。

 どんな方法で記憶を戻すのかは定かではないが、このあたりはコニーリアス様に詳しく確認する必要がありそうだ。

 わたしは、クリフ様が危険にさらされてまで、記憶を戻そうとは思わない。


「わかりました。コニーリアス様の説明を聞いて判断します」


 期待はしないでおこう。

 わたしは、思い出の中のクリフ様の顔を忘れてしまったけれど、生活に支障があるわけではない。

 思い出したくないと言えば嘘になるが、過度な期待をすれば、そのあとの絶望も大きくなるだろう。


 ……大丈夫よ。もし思い出せなくても、きっと。


 目の前にいる「クリフ様」はとても優しい。

 いつか、改めて彼を好きになることもあるかもしれないから……だから、わたしは、大丈夫。




ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ