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まずは手を繋ぐことからはじめましょう 1

お気に入り登録、評価などありがとうございます!


短いので本日の夜にもう一話アップします!

 クリフにとっての最大の誤算は、アナスタージアが魅力的すぎることだった。


 いや、魅力的なのはいいことだ。

 だが、今の自分の状況では手放しで喜べることではなかった。


 一睡もできずに朝を迎えたクリフは、ちらりと隣を見たあとで両手で顔を覆った。

 アナスタージアはまだ夢の中だ。


 白くきめ細やかな肌に、ぷっくりとした小さくて美味しそうなサクランボ色の唇。

 長い睫毛に、緩やかに波打つ艶やかなストロベリーブロンド。

 華奢な肩が羽毛布団からはみ出していて、薄ピンク色のナイトドレスがちらりと見える。

 細い首に、浮き出た鎖骨。


(ああ……!)


 煩悩が! 煩悩がやばい‼


(隣に愛おしい妻がいるのに手が出せないこの苦痛……って待て、愛おしいってなんだ!)


 もう自分が自分でわからない。

 クリフは頭を抱えて懊悩とした。

 胸の中に初恋の女性がいるはずなのに、すでに隣の妻が愛おしい。自分はこんなに優柔不断な人間だっただろうか。もっと硬派だと思っていたのに。


「うぅ……ん」

「ひっ」


 ころんとアナスタージアが横に寝返りを打った。

 夢でも見ているのだろうか、サクランボ色の唇が緩やかに弧を描く。

 吸い寄せられるようにそーっとその唇に手を伸ばしそうになったクリフは、慌ててもう片方の手でその手を掴んだ。


(ダメだ。非常にまずい。ちょっと走ってこよう、それがいい!)


 クリフは急いでベッドから降りると自室で手早く着替えて部屋を飛び出した。

 ラザフォード公爵家の庭は広い。

 庭を二、三周ほど走れば頭の中のいろいろまずい思考回路も霧散するだろう。


「おや旦那様、おはようございます。お早いですな」

「ああ、おはよう。ちょっと走りたくてな!」


 まだ日が昇ったばかりの早朝。


 植木に水やりをしていた庭師にそう返して、クリフはアナスタージアの可愛い寝顔を脳の中から追い払うように、勢いよく走り出した。





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