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破壊神の姉をどうにかしてください
深夜の大通りで爆発が起こった。
それも複数の建物が完全に崩壊する規模で。
あたり一面は瓦礫の山な上、あちこちで火災も発生している。
逃げ遅れた人の悲鳴が聞こえ、阿鼻叫喚と化しているが、その原因を作った張本人は、その光景を眺めて高笑いをしていた。
「あーっははははは!全部燃えちまえばいいのよこんなん!」
背中の中ほどまで伸びていただろう赤い髪は毛先が焦げており、思いの外整っている顔は煤だらけ、あちこちから血も滲み出ているが、目だけはギラギラと輝いている。
「マジでここまでやるとは思わなかった…」
その人物の足元で黒い影が蹲っていた。同じ赤い髪だがこちらは短い。炎に照らされ胸元のロザリオが反射している。
「やる時きゃ徹底的にやらんとね」
邪悪とも思えるような笑みを浮かべたその人物は、くるりと踵をかえした。
「逃げるわよ」
「あーもう…」
2人は騒ぎに乗じて、その場から立ち去った。