バイクでアホみたいな速度出して転けるとマジで走馬灯が見えたので、楽しい思い出増やしてみた!
※海回は今回で終わります。次回からアイアンヘルム単独奇行。
※シリアスパートぽいところですが安定のシュール。
「オッスオッス、俺アイアンヘルム、起きたらさあ、見たことない小僧に滅多刺しにされてるんだけどこれなんかくせになる気持ちよさがあるな?なんか肩こりとれたし、水虫も治った気がするんだけど?遠くでキャサリンの叫び声が聞こえるんだけど、走馬灯?つーか昔の思い出がフラッシュバックしたからどんなもの見たかまた死ぬ前に語らせてくれ」
その【思い出】は暑い夏の昼下がりのことだった。
乾きともまた違う感覚、久しく感じたことの無い欲望が何だかも分からず、ただ口の中に広がるかつて感じたアレが欲しかった。
新雪に土足で踏み込むが如く、思うままに硬い物を突き立て、抉り、深々と差し込む。その後、吸い付くように粘りすら感じるソレを引き抜き、絡みつくアレを下卑た舌先でもってすくい上げるように舐め上げる。
俺が感じたアレの名は
【トルコアイス】
詳しくは知らないが水飴だか増粘剤だかのおかげで練る程にそれは伸びる。そして柔らかな感触と共に舌先に絡みつくと優しく溶けていく魅惑のスイーツ。大事な思い出と共に夏になると蘇るその欲求は、俺の理性を飛ばす。
腕時計に付いた気温計は38度を示している。時刻はまだ10:30だ。正午にはもう2度上がって報復に雇われたヒットマンより先に太陽が俺を殺しにくるだろう。
俺は【関東公安会】の元若頭、安藤勇、所謂とこの広域指定暴力団の幹部やってた男だ。
まさか昼間っからアイス、それもガキの好きそうな色モノを好んで寂れた田舎道を大型バイクで駆け抜けているとは誰が思うだろうか?しかも足を洗う直前の抗争で肋骨三本、右足首を骨折しているせいでどう見てもただの可哀想な優男にしか見えないことだろう。
傷に障るってぇのと、ここまでの抗争に次ぐ抗争で、年配の幹部を軒並み亡くした組長からは、お前まで死んだら辛え、もう組は解散するからどこか安全そうな場所で体治すのにのんびりして、治ったら顔見せにこい。って言われてるのとで結局俺が選んだ場所は、子供の頃に住んでいた土地だった。今はここであまり繁盛しない組の系列のフロント企業がチェーン店として展開している焼肉屋の店長をやっているが、あれは半分趣味だ。真面目にカタギになったのではなく楽しいことだけして余生を過ごすダメ人間になろうとしているのは組長には内緒だ。
愛車のプラチナイーグルV1500のアクセルを回す。上り坂を大排気量のトルクを感じながらあえて低速で進むバイクで楽しむ。それに合わせて風景も変わっていく。足首と胸に鈍い痛みが走る。
母親の前で調子こいて走ってドブ板踏み抜いて落っこちた道は小綺麗に舗装され、伊藤の野郎が住んでたボロ家は道路になっている。高橋と遊んだ川はフェンスで囲まれてもう入れねえ。あの子と別れた公園なんか空き地に変わってやがった。
俺は今年30歳になる。たった15年離れただけで家族も、友も、あの子との思い出もまるで無かった事になっちまったみたいだ。
気がつくとアイスのことはどうでも良くなって、あの子の住んでいた家が気になって俺はギアを6速まで上げていた。それが良くなかった。
普段オールバックにしていた髪は下ろしている。ヘルメットのせいで直射日光は、防げてるがそういう問題じゃないくらいの暑さでかいた汗が髪を伝って目に入る。その刺激に咄嗟に目を閉じて俺のバイクはバランスを崩していた。炎天下の中で熱中症気味だったのかもしれない。そのまま光に飛び込むと、派手に転び俺は意識を失っていた。
「私のこと忘れないでネ、ユウ君」
焼けたアスファルトの匂いと草の匂いが混じる夏の日に、俺はあの子と別れを告げた。
学生時代に両親が仕事先の海外で事故に巻き込まれて急逝した俺は親戚の家に引き取られることになったため、生まれ育ったこの街を出ることになったのだ。
そして、それは俺のことが好きだと言ってくれたシェリーとの永遠の別れでもあった。
シェリー・スローネは難病の療養のため、空気がきれいな田舎で過ごす必要があった。話をする切っ掛けがどんなことだったのかは覚えていないが、気がついたら俺は他の奴らよりシェリーと過ごす時間が大事になっていた。本当に大事だったことに気がついたのはもっと後だったかもしれない。
シェリーは難病のせいか15歳にしては背が高い割に華奢だった上、プラチナブロンドに青白い肌が儚げな印象の子だった。先の大戦でいくつかの国が重度の環境汚染に見舞われたせいでシェリーのような被害者が出ていることは聞いていたが、実物は他に見た事がなかった。
俺が町を出て程なくしてシェリーの病状が悪化してそのまま亡くなったことを悪友の高橋から貰った手紙で知った。
生きていれば遠くの町でもそのうち会えるさ、なんて、馬鹿な言葉を悲しげなシェリーに投げかけていた自分の滑稽さに虚しくなったことは、今でもハッキリ思い出せる。
俺は荒れた。昼間から酒を飲んで酔っ払ってはケンカして回っていた俺は数回の補導の末、親族から見捨てられた。そんな俺の面倒を見てくれたのは遠縁の極道をやっていた組長だった。
結局俺はガキだったってことなんだろう。極道者がカタギの仲間と走る訳にもいかず、盃貰った後も走るのは止められず、バイクに乗る時は1人で走っていた。寂しさを誤魔化すために始めたモトブログもネットの中の誰だかわからない1人になっちまえば何やってるクズでも良いじゃねえか、アホなことやってりゃ辛いこと忘れられるだろ?と思って始めたのだった・・・・・・。
・・・・・・そして俺は事故った時の光にプラチナさんと一緒に飛ばされて、この異世界【クラリオン】に来て、リアルにアホだと気づいて今に至ったのだった。
走馬灯が終わり、光のトンネルをくぐり抜けると暗い暗い闇が俺を待っていた。
右腕に白い手がかかり、闇に引っ張られる俺を引き止める。振り返ると最近夢によく出てくる銀髪の綺麗なおねーさんがいた。そこから先に行ってはいけないとばかりに首を振る。俺は踏みとどまっているうちに意識を取り戻したのだった。
「て言うか俺はマジでアホだー!!見たことないと思ってたけど最近夢に出てくる好みのおねーさん、シェリーにそっくりじゃねえか!?」
俺が覚醒したせいか半狂乱で剣を振り回していた小僧の手が止まる。
「い、生き返った!良かった・・・・・・はは」
腰でも抜けたのか、へたりこんだ小僧。
「ちょっと、貴方無事なの!?」
取り乱していたキャサリンも俺に飛びつかんばかりの勢いで突っ込んできた。馬乗りになって変な角度になっていた俺の首を戻す。ボリュッて、俺の首からしたらいけない音がしたぞおい!?そして顔が近い近い。
「おう、ピンピンしてるからとりあえず降りてくれ。なんか死んだと思ったけど走馬灯見て帰ってきたわ!」
「貴方さっきまでどう見ても死んでいたのよ!?」
「それよりもこの小僧誰?」
「知らないわ。こいつが貴方を滅多刺しにして止めさそうとしてたのよ!」
「違うんです、違うんです!僕はあの落とし穴を掘っただけで、あなた達を殺す気はなかったんです!!」
「お前のせいか!?」
「なんてことをするの!!私がハマっていたら木っ端微塵になってたかもしれないじゃないの!?」
うわ、それ考えたらハマったの俺でセーフじゃん。
「しかもその剣俺の武器じゃねえか!?返せ!ってだあああ!?装備できなくなってんじゃねえかクソが!」
「ごめんなさいごめんなさい、これ使わないと助けられなかったんですぅぅぅ!!!」
ごぎゅるるる、ぐーーー
なんかわちゃわちゃしてると小僧の腹から間抜けな音がした。
「腹、減ってるのか?」
「あ、はい。今日はまだ何も食べてなくて・・・・・・この依頼が成功するまで食べないって願掛けしてたんですけど」
なんてアホなヤツなんだこの小僧、とこいつの顔をよく見てそこで俺はようやく気づいた。黒髪黒目、こいつどう見ても日本人である。黄色人種はクラリオンにも少数居るが、地球で言うとインドネシアやフィリピンの人に近い顔立ちの者のため、あまり日本人とは間違えようがない。
「小僧、もしかしてお前も日本人か?」
「も?ってことはあの、貴方もですか?」
俺はアイアンヘルムを脱いで顔を見せてやる。
「うわぁ・・・・・・ヤクザだあ」
小僧、それ俺でなかったらぶっ飛ばされてるぞ。
潰れてはいないが俺の左目には刀傷がある。ヘルメット被ってると不審がられるけど素顔でもいやーな目で見られるんだよ!!
「まあいいや、経緯とかめんどくせえから聞く気はねえけど同郷のよしみだ、うまいもの食わせてやるから飯にしようぜ?」
ここから俺とキャサリンはようやく本題に入るのだった。
「見てみてこれ、でっけータコ捕まえたぜ!!お、なんだこれ!?サザエみたいのもとれたぜ!!」
俺は道具屋で買ってきた投網を投げまくって浜遊びを堪能中だ。世界が違うせいか黒い海は不気味に見えたが入れ食い状態で何かととれるので、闇鍋みたいで面白い。日本なら高級そうな海産物がガンガン取れるとかなんでこの海には人がいねえんだ!?
「ちょっと、ゲテモノばっかりじゃない!普通の魚採ってよ!!」
「あ、タコは美味しいですよ?外国の人はあまり食べないみたいですけど、僕とあの人の故郷だと割とよく食べられてました」
「小僧、タコの内臓とって〆たから適当に切って焼くんだ!あ、俺の分も焼い手残しておいてくれよ!」
ちなみに俺は現在動画を取りながら海に投網をぶちこんでは引きずり出し、を繰り返している。冷静に今の俺の行動を振り返る。これ幼児がやりたい放題系のおもちゃで遊んでるのと構図はほとんど変わらねえんだよなあ。
投網ぶん投げて海産物ガチャして開封してゲラゲラ笑ってる鉄仮面が自分のとこで育てて使ってた若頭だったとか日本の組長が今のアホな俺をみたら卒倒しそうだ。
でも、たんのしいいい!!バカ最高!!開き直るときんもちいいい!!!
「うーん、砂浜の貝類は特にマナの影響もないし、海で取れる海産物にも影響ないけどこれだけ海水の色が変わってるならきっとなにかしら影響があるのよ・・・・・・アイアンヘルム!食事が終わったらでいいから新装備の実験に付き合ってちょうだい?」
ああ、そういえばなんか海の中見てこいとか言われてたんだけど、その装備かな?どうでもいいけどさっきまで割と洒落た可愛い感じの魔術師ルックな服を来ていたキャサリンがいない。モビ〇スーツみたいなヤベー奴からキャサリンの声がする。
「OK、ところでキャサリン、その格好なんの仮装?」
「潜水服よ?モトゴーレムの変形機能で着用型の1人用潜水艇として使えるようにしたのよ」
この女、正気か!?
嘘だろ?
ビーチに来たら水着だろ!?
ビキニは恥ずかしい?ワンピースタイプだっていいじゃないか!露出が増えることに変わりはない!!お前、それをなんで俺の鎧よりごついアーマーみたいの着込んじゃってるの!?もう、カッコイイ!!!
「で、小僧はなんで赤面してるの?」
「その、おじさんが投網を投げまくってる間にキャサリンさんがいきなり着替え始めたので・・・・・・違うんです、見るつもりはなかったんです、僕はタコを焼いていただけなんです」
いや、あのモビ〇スーツを着込んでるところを見て赤面するってこいつある意味すげーな。
俺は焼けた魚介類を適当につまむ。
「とれたてはうまいなー!ビールが欲しい!!が、飲酒運転ダメ絶対!」
バイクに乗るなら飲んだらダメなのだ。
ん??テントあるし泊まるならありか??プラチナさんのサイドケースに格納されている秘蔵のスパークリング酒を取り出す。街で買っておいたのだ。氷の精霊さんに冷やして貰って飲むとこれがまたやばい美味さ。
「ちょっと、お酒飲んじゃだめよ!貴方これから入る魔海の海底舐めてると死ぬわよ!?」
く、お預けだと!?
「わーったよ!さっさと終わらせて俺は魚介類をあてに飲む!!」
「はは、いってらっしゃい」
小僧がタコを食いながら俺とアーマードキャサリンに手を振る。
「じゃあこれ!背中に取り付けるわよ」
追加の装甲板のようなものを貼り付けられる。
「お?おお!?ヒレが生えた!!?」
全身鎧の手足、両腕、背中に鰭のようなパーツが生える。
「そのヒレには風の魔術を増幅する彫金がしてあるのよ!風の精霊に頼んでご覧なさい?」
言われた通りに風の精霊さんに頼むとフルプレートの中を風が駆け巡る。そしてヒレからすごい勢いで空気が生成されて出る。あ、これで水中をジェット移動できるのか。
「これだけ空気あるなら水中でも呼吸出来そうだな、すげーぞこれ!」
「さあ、実験開始よ!」
俺とキャサリンは海に潜った。
が、5分かそこらで出てきた。
「いや、なんも見えん。マジで何も」
「光魔法を使ったんだけど関係なかったわね・・・・・・」
しかも、このヒレの位置が微妙に使いにくくてほぼ直進しか出来なかった。
話し合いの結果実験はここまでにして結局海産物のサンプルを持ち帰って研究室で実験することで落ち着いた。終われば飲んで食って寝れるぜヒャッハー!
俺は再び投網で獲物をとりまくる。何回やっても飽きねえわー。
「おーい、こんなもんでどうだ!?」
結構な量のサンプルを取ってきた俺はとんでもないものを見てしまった。
キャサリンがモトゴーレムをバイク形態に変形させている所だったのだが、するとモビ〇スーツ形態は解除されるわけで、中から黒いビキニ姿のキャサリンが現れたところだった。バイクの新車お披露目会に居るレースクィーンにしか見えん!いかん、小僧の赤面はこれが原因か!?小僧にはまだ早い!!このままでは道を踏み外すぞ小僧!?
しかし、小僧は予想外にもいきなり走り出すとキャサリンに飛びかかり抱きついた。
「小僧、死ぬ気か!?」
あんなことをすれば石を投げられるでは済まされんぞ!?
と思った直後、砂浜から突如として飛び出した巨大なサメ男がキャサリンの立っていたところ目掛けてダイブした!その両腕にはヒレのような長大な刃が生えている。
「人間がこんな所で何をしている?」
「サメが喋った!?」
小僧が驚いている。
「フン、拙者はこの魔海を守護する魔軍四天王直下、死の砂浜を任されたサメ型魔人の鰐と申す。名乗られよ!」
「魔王の手下の手下のくせに生意気な魚男ね!お尻擦りむいちゃったじゃない!」
キャサリンが涙目で怒るがそういう問題でもねーだろ。ていうかこいつ、人類なの?魔物なの?微妙に特撮の怪人とアメコミヒーローの間の子のような見た目をしていて判別に困る。
「たわけ、拙者の仕える魔軍は魔王がごとき青二才の配下ではないわ。この魔海の先にある暗黒大陸を統べる暗黒魔神に仕えるのが拙者を含む魔軍48万騎士よ!」
なんかどこかのアイドルグループみたいだなーとか、思いながら俺はこいつが喋っている隙にちゃっかり上陸してプラチナさんに跨っている。
「この海に来る人間は1人残らず皆殺しにするよう言われているのでな、あの世で己の愚を恨め!」
ギュララララ!!キィイイイッ!!
ズゴガシャーーーーン!!
とりあえず鰐にプラチナさんで突っ込んでみた。え?って顔でこっち見てたけど瞬間的に時速650キロまで出てたからね。俺が飛んだ時より遥かに鋭角で砂浜に叩きつけられて、あの落とし穴にホールインワンした。
テレテレッテレー
間抜けなファンファーレが小僧から聞こえる。
『アシストボーナスが入ります。ゴトウダイキの作った罠が魔人にトドメを刺したためレベルが65まで上がります』
小僧の罠どんだけ経験値稼いでんだよ!?ていうかレベルたっか!?俺レベル上がんねえぞ!?
「むー、報告する案件が増えすぎよ。ちょっとゴトウ?貴方私と一緒に報告に来てくれない?」
「あ・・・・・・はい、ただこの魔人、多分僕のクエストの討伐対象なんでギルドにも報告したいんですがいいですか?」
「冒険者ギルドへの報告ね?いいわ、ギルド長にも話す案件だしそちらから先に行きましょうか」
なんかでっけえ話になってきたな。気ままに旅するはずが俺も魔軍と人類の戦いに協力することになるのか?
「なあ、俺は?」
「え?」
「貴方は別に来なくていいわよ。私たちはグレイシティに戻るから次のところに行ってきなさい。王様も秘境の動画楽しみにしてるそうよ。今度は飛龍の山でもどうかしら?」
なんか、いきなりハブられたんだけど。
え?俺魔人倒したんだけど・・・・・・。
キャサリンと小僧は仲良くタンデムで鰐を引きずりながらグレイシティに帰った。
「え、俺?俺はテント広げて砂浜で潮風と魚介類を堪能しながら極上のスパークリング酒を煽っているよ?
海は広いな、大きいなー。なんか、疲れたから寝るわ。おやすみ」
その日、グレイシティに最年少記録のAランク冒険者が出たとか、そのAランク冒険者と魔術学院の才媛が熱愛発覚だとか色々ゴシップが飛び交ったらしい。
ちなみに魔人倒した動画はヘルムについている記録水晶を海藻が覆っていたせいで撮れていなかった。俺、コンブ被ったまま魔人倒したんだぜ・・・・・・。
今回の感想は・・・・・・なし!?だと!?
え?キャサリンはヒロインじゃないんですかって?何時から錯覚していた?ネタバレの設定を設置しておくので暇な方はどうぞ。
キャラクター紹介
ゴトウダイキ (15)
春から高校1年生になる少年。笑い方がキモかったりテンパると凄いことする陰キャ。
見た目はかわいい系男子なので女子にはモテるが、キレるとやばいため男子からは密かにキモがられている。
魔剣士の職と、主人公補正のチート能力を持つ異世界召喚された日本人。
この後彼は凄腕の冒険者【癒しの閃光】として有名になっていく。アイアンヘルムも後に風の噂でその二つ名を耳にするが、【いやらしい先公】という凄い変態がいると思われている。
キャサリン(14歳)
飛び級で魔術学院の首席を獲得している天才少女。好奇心の塊なため変わった乗り物に乗った異世界人のアイアンヘルムに興味津々だが、それは異性としてではなく実験動物としての興味である。何気に王様の43番目の子供であり、王位継承権こそないものの実は王族である。同級生のグレイはグレイシティの領主、灰色の魔術師こと魔術学院長の息子で幼なじみである。着痩せするタイプで、小さい割には実はスタイルは良い。アイアンヘルムもそこは見誤っていた。小僧を悩殺し、結構命懸けでダイブさせる程度の破壊力がある。
安藤勇(30)
アイアンヘルムの中の人。もう誰も彼をそうは呼ばない。
割と不幸な人生を送って来た反動でヤケクソでバカをやることを決めた。
やってみたら楽しかったのでそのままヤケクソの惰性でアイアンヘルムになった。過去や未来なんかより今が大事な刹那の男である。辛いこと多すぎて頭おかしいことになっている人なので常識とか倫理とかを筆者がオブラートに包んでも隠せないほど平気で逸脱する。
ちなみに好みの女性のタイプはキレイなおねーさんタイプだが、亡くなった母親と、初恋の相手がそのタイプなのでだいぶ、こじらせている。
すんごい先まで彼としての登場は予定がない。
鰐(354)
和風なサメ型魔人。まともに戦闘していたら仮面〇イダーで言うとア〇トに出てきたギル〇よりちょい弱いくらいの強さ。
生身の人間ではほぼ勝ち目なしだがレベルの高い冒険者ならなんとかならなくもない微妙な強敵。この小説はライトかつ、ポップな雰囲気のファタジーを目指しているが、裏には割とまともなファンタジー世界と、こいつらのような特撮世界の住人がひょこひょこ見え隠れするのは仕様です。
カレン(25)
冒険者ギルドの受付嬢にして上述のキャサリンの友人グレイの姉。
魔術師としての才能は皆無のため家督は弟に任せて領主の娘の地位はさっさと捨てた。ただ、頭は弟のグレイよりもよく、剣の腕はグレイシティ最強の一角。家を出る際には父親の禁呪魔法を剣撃だけで破っている。元Sランク冒険者だったが、そろそろ結婚したいと思いギルド長を脅して受付嬢に収まっている街に紛れ込んでいるジョーカー。仕事自体は優秀。最近は出世頭の新人ゴトウダイキにご執心。