表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/33

負けヒロインは報われない


 俺と水瀬は親に誤解であることをメッセージで送り、今日のところは解散して、今度のクラス会で会おうと言って別れた。


俺は家に帰り、親に散々弄られた後水瀬との関係をきちんと伝えて誤解を解いた。そして親と外食をしに行き寿司をたらふくになるまで堪能(トロサーモンは至高)し、家に再び帰った。


「さて、……と……っつても今から書いても確認程度だからやる意味あんまないけど」


そう言って俺は自室の勉強机に向き合いノートに、俺が知っている限りの前世の知識を書いていく。そうしていると自分が本当にマンガの世界にいるんだなぁ〜と再認識させられる。主人公が水瀬ともう一人のヒロインである星川 夏海と一緒に下校している姿を見た記憶があるし、なんなら修学旅行で主人公が星川をチンピラから守ろうとして、やられそうになったタイミングで先生を呼んだモブはマンガやアニメだと分かっていなかったが、実はそれ俺だってことが分かったり、文化祭の後夜祭で主人公と水瀬がフォークダンスをするのを嫉妬して見ている星川と踊ったの実は俺だったり、結構物語に俺が絡んでいるのだ。


「だから、何だって話だけどな。……強いて言うならマンガの裏事情が知れて良かったくらいだ。しかも、肝心のこれからの内容は殆ど分からないし」


そう、マンガでは最終回まできちんと物語は進んだがその内容は高校までのものしか書かれていない。アニメはあれ?第1期は見た記憶があるんだが、第2期は決定して………ズキンッ!


「っツ!やっぱりか。前世の記憶は社会人になるまでの記憶はハッキリしてるがその先の記憶が朧げだな。ということは俺は前世社会人になってすぐに死んだのか?」


俺は前世の俺がどのように生涯を終えたのかは分からない。思い出せないというのならそれはかなりのショックなことがあったのだろう。それなら無理に思い出す必要はない。死んだときの感覚を思い出すなんて怖くてしたくない。過ぎたことを考えても仕方ないのでこれからのことを考えようとしたタイミングでスマホが鳴った。


ブー、ブー


「ん?メッセージか。誰からだろ」


俺はスマホをとり、画面に表示された名前を見るそこには友人からの心配のメッセージと水瀬から今暇なら少し愚痴を聞いてくれないかというお誘いのメッセージだった。


俺は取り敢えず友人には、今は家で安静にしてるから問題ないことを伝え、水瀬には少しくらいならと送っておいた。

水瀬にメッセージを送った瞬間、既読がつきすぐに着信が来た。まさか、メッセージ書くの怠いから電話してくるとか。なんていうか、男子が持っている女子と電話をすることの憧れ、特別さは現実だとないんだと突きつけられた気分だ。

俺は会話が親に聞かれても面倒なので、部屋のドアを閉めてドアから離れた位置にあるベットに腰掛け電話に出る。


「もしもし」


「あっ、出た。急にこんなことしてごめんね」


「別に飯を食べ終えた後で暇だったから気にするな。それより愚痴って何だよ?俺と別れた後に何かあったのか」


「うん、家に帰ったらさ。なっちゃんとゆうくんが私の家に来てね。『私達付き合いました』って報告に来たの」


うへぇ、漫画だとそんな描写無かったが主人公達そんな無神経なことしてるのか。まぁ、彼らなりのケジメなのだろう。この三人の恋がどのうような終わりを迎えたのかを、彼女は知る権利があるから伝えにいったのだろうと考えた。


「私は凄いビックリしてさ、まさかわざわざ家に来て幸せ報告されるなんて思ってなくて」


「それは、なんて言うか災難だったな」


「ううん、ビックリはしたんだけど別に湊川君に連絡するほど困ったわけじゃないんだ。問題はその後なんだけどお母さんとお父さんもそれを聞いてたんだ。そしてお母さんが言ったんだ『なら、今度ダブルデートして来たらって』」


俺は水瀬から発せられた言葉を聞き、唖然とする。そういえばお互い家族に誤解されていただが、これは余りにもタイミングが悪過ぎる。


「それでね、それを聞いた二人がお母さんにどう言うことなのか聞いちゃって……………うぐっ……湊川君が私の彼氏だってお母さんが伝えたの……」


俺はあまりにも予想通りすぎて言葉が出なかった。そして、水瀬が泣き出したということは俺はこの先に何が起こったのか分かった。


「そしたら………私二人に非難されたの。『僕に今日言ってくれたあの言葉はそんなに軽いものだったのか』……『私はこんな尻軽と戦ってたんなて信じられない』って。………当然私は弁解したよ……でも、二人は聞いてくれなくって……そのまま家から出て行っちゃって」


俺はその言葉を聞いた瞬間、ドアを乱雑に開け階段を降り、靴を履いて外に出る。


ふざけるな、ふざけるな


「ふざけるなーーーーーー!」


俺はそう叫びながら、とある場所に向かって全速力で走り出した。













ここから、一番書きたかったシーンになります。正直クライマックスに持って来てもいい内容なのですが、この後物語の展開的にこうしないといけないのでね。仕方ないね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ