負けヒロインと連絡先を交換する
毎日投稿じゃーーーー!
穏やかな時間を過ごした俺たちはそろそろ帰ろうかとお互い思い、保健室を出た。
「水瀬はさ、クラス会行くのか?」
俺は何となくだけど気になり彼女が参加するのかを聞いた。
「う〜ん、本当はなっちゃんやゆうくんに会いそうだから行く気無かったんだけど、湊川君が行くなら行こうかな」
「そっか、あいつのクラスらもその日同じ場所でやるんだっけクラス会。って!冗談でもこの雰囲気で俺が居るからとかいうなよ!勘違いするだろ!?」
「えぇ〜、こんなので勘違いしちゃうの湊川君?意外と初心なんだね。私の頭を撫でるからてっきり女慣れしてるのかと思ったんだけど」
水瀬は俺が顔を真っ赤にしてそっぽを向いたのを見て、ニマニマと顔を緩ませ俺を弄ってくる。
「そ、それは勢いで水瀬が何か悲しそうにしてたから、どうにかしようと思ってついやっただけで、今まで他の女子にやったことなんてない」
「ふーん、じゃあ私は湊川君の初めてを貰っちゃたんだ」
「おい、マジで辞めろ!誰かに聞かれてたら勘違いされるだろ!」
「ふふっ、ごめんごめん少し調子に乗っちゃった♪湊川君って何か話しやすくって思わず、ね?」
そう言った彼女は片目を瞑り上目遣いで謝罪の気持ちなど全く籠もっていない謝罪をしてきた。
俺はマンガでも、こちらの世界でも見たことのない彼女の表情にドキッとさせられる。
俺は以前と顔を真っ赤に染めたまま、少しばかりの反撃としてこう言った。
「………水瀬みたいな美少女にそういうことされたら本当に勘違いしそうだ」
「…………えっ////………」
彼女は俺の言葉が聞こえた同時にボフッと音を立てて、煙を出したかと思うと俺以上に顔を真っ赤に染めた。まるで、完熟のリンゴのように、いやそれ以上に熟れている。
(水瀬は昔から人に直接褒められたことがないからな、こうすれば初心な反応が返ってくる。マンガの世界と言えどこのレベルの美少女が言われることがないってのはあり得ないよな)
湊川は前世読んだマンガの設定やストーリーを思い出し、心ばかしの反撃をした。が、弄る上で言ったとはいえかなり恥ずかしい。なので、暫くの間二人の間に妙な静寂が流れる。
「「あの『さ』」」
二人はお互いこの沈黙に耐えられず、同時に声を上げた。
「湊川君、先どうぞ!私のは全然大したことないから。気にせずに」
「いや、俺のも別に大したことじゃないんだ。だから先水瀬から言えよ」
「お先に」
「いや、そちらこそ」
「いやいや、そっちだって」
「いやいやいや、先いいって」
と二人はお互いに譲り合い、やがてまた同時に吹き出した。
「ハハハッ、なんだよさっきから!お互い譲ってばっかで全く話進まねぇじゃん、くッ、アハハ」
「ふふっ、しかも吹き出すタイミングも一緒なんて」
「案外俺たち早くに知り合えていれば、いい友人になれたかもな。これは」
「確かに、湊川君がこんなに話しやすいなら、もっと沢山話せばよかったよ」
そう言うとお互いまた笑みを浮かべる。
「あのさ、湊川君が良いならさ今からでも……」
「友達になろう。水瀬」
奏は、彼女の言いたいことを先読みして答える。水瀬は奏の言葉を聞くとますます笑みを深め鞄からスマホを取り出した。
「じゃあ、連絡先交換しよ?linfしてるかな?」
「ああ、してるしてる。水瀬はQRコード映してくれ、俺はそれカメラで読み込むから」
奏は自分の内ポケットに忍ばせていたスマホを取り出し、彼女がスマホに映しているQRコードを読み込み、莉亜と書かれた小さなくまのぬいぐるみがアイコンのアカウントを友達登録する。
そして確認のため、よろしくと打った後スタンプを追加で送っておく。
「あっ来た。こちらこそ……っと。てか湊川君そのスタンプなんなの?私初めてみたよこんなの」
水瀬は俺から送られてきたメッセージを元に俺を見つけて登録すると言葉に出しながら遅いフリック入力で返事を書く。花の女子高校生がこんなにスマホの入力が遅いなんて、有り得ないだろと思いつつも奏は、前世読んだマンガの設定で彼女が機械音痴だったことを思い出し勝手に納得した。そうして水瀬が奏が送ったスタンプに興味が湧いたそうなので、奏はそれに応える。
「これは、ネットで今も流行ってる。白い猫?のスタンプだ意味不明で面白いだろ」
「確かに、猫同士が手握ったら急に手から新しい猫が出てくるのは意味不明だね」
しばらく二人でスタンプの話について盛り上がっていると、お互いのスマホに親達からのメッセージが送られてきた。その内容は
『『彼氏(彼女)さんに邪魔しちゃ悪いから先に帰るね(わ)』』
と言うもので、お互いに苦笑いを浮かべて、こりゃ家に帰ったら誤解を解くのが大変だと二人とも小さく溜息を吐くのだった。
前書きに書いた通り、これからこちらの方を毎日投稿しますので、よろしくお願いします。