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冒険者ギルド

 「伝え忘れてたわ……」


 ため息を吐きながら湯浴み中のクレアはマリーにお世話をされていた。


 「いかがいたしました?」

 「マリー。次からは自分で湯浴みしたいわ」

 「かしこまりました」


 起きてからそのまま浴室に連れて行かれたクレアは寝ぼけていたため、マリーにあれよあれよと服を剥がれ湯船に浸かっていた。本質はお嬢様が抜けていなかった。


 いつもより少し寝坊してしまったクレアが起きた頃には、エストレミオンもその家族も皆が食事を終えて外出していた。

 昨日の旅はクレアが思っていた以上に疲労を強いていたようだ。


 「旦那様は正午を過ぎてからのお戻りになられるようですよ」

 「わかったわ。ここの者はみな早いのね」

 「クレア様も十分お早いと思いますよ」


 クスクスと笑いながらクレアのカップにお茶を注げば、マリーはてきぱきと朝食を用意する。

 その頃シュウワンは部屋でクレアの指示を受けて外出の準備を行っていた。

 クレアがさっさと食事を済ませると、マリーが馬車を呼ぶのを断り、道だけ確認して子爵邸をあとにした。


 マリーのいうとおり、子爵邸の前は中央城がそびえ立つ。

 中央城の中に兵団の本部が入っているため、この街で迷子になったら大門に向かうか中央城を目指せというのが子どもでも知っている常識だ。そしてたいてい中央城に向かえばどのあたりにいるのかわかるように区画整理がなされている。

 クレアはマリーの言いつけを守り、子爵邸を出て中央城を正面に右回りで反対のエリアまで歩いていた。


 「ここかな?」


 全部で四階まであろう高さの建物。二階と三階あたりに刻まれた大きな紋章は中央に剣、剣の柄を挟んで鎧、その上には妖精が杖を持って立っている。剣の先の左に火、水を、右に風、土の四大属性が描かれる。

 

 「冒険者ギルドへようこそ!」


 クレアを迎え入れてくれたのは冒険者ギルドのお姉さんとまばらにいる冒険者たちだった。

ここはクレアが街に入ったら絶対に最初に訪れるつもりだった場所。


 「はじめましてよね?ご要件は?」


 真っ直ぐギルドのお姉さんのもとへきたクレアは「登録にきました」と伝える。


 「あら、じゃあ文字はかけるかしら?」

 「はい」


 じゃあこれね、と言ってお姉さんがクレアに二枚の紙とペンとクレアの前に出した。


 「二枚重ねて書いてね。あ、そこで座って書いていいわよ。終わったら声をかけてちょうだい」


 お姉さんが示したのは受付横に用意された登録者用ブースだった。個人情報などを記載しなければならないため二ブース用意されている。

 クレアが記入している間にお姉さんは他の冒険者の依頼受注をさばいていく。

 記入し終わったことを伝えるとお姉さんは他の従業員と入れ替わると、クレアが使用しているブースの従業員側に座った。


 「はい、ありがとうございます。……不備はないわね。確認だけど、名前、年齢、血液型はこれで間違いはない?」

 「はい、大丈夫です」


 確認が終わると、スタンプタイプの魔道具で承認印を二枚それぞれに押すと「ここに血をつけて」と針を用意した。

 クレアはその針で小指を突き、ぷっくりとしてきた血を承認印の上につける。

 インクの色が赤から黒に変わると基本的個人情報の変更は不可となる。

 書き込んだ一枚目の紙を平べったい本のような魔道具ではさみ、その上に四角い箱を置く。転写された二枚目の紙をその四角い箱に入れ、その上に銀色の丸い金属を置いた。

 「“レイジ”」

 銀色の金属はぐにゃんと手のひらサイズの長方形に形をかえる。


 「はい、ギルドカードの出来上がり。説明は義務だから聞いててね」


 お姉さんはそういうと冒険者ギルドの説明をひと通り始めた。

 ランクは全部で八つ。最初がGランク、最高がSランク。Gランクは登録されても消されることはないがF以上は一定の期間活動がない場合はGランクに落とされる。

 また、その国の規則を破った場合で犯罪奴隷となった場合、各奴隷に落ちた場合は登録抹消となり、その活動記録などの個人情報はすべて国に移譲となる。再登録する場合、個人情報登録抹消と登録分の費用がかかるため金貨一枚を必要とする。尚、犯罪歴などは残る。

 要は各国の規則の下、良識のある行動をしましょう、ということである。


 依頼のランクはどこまでも受けられるが、一つ上まで受けることを推奨している。失敗した場合は受け取る報酬の四割をギルドに支払わなければならない上に、記録として残るため自己責任とされている。

 指名依頼はギルド側で判断するためランク表記はでないが、達成した場合はランクに見合って記録がつけられる。失敗した場合の負担もない。

 自分の記録は各ギルドの端末により確認が可能だ。


 「質問はあるかしら?」

 「名前が変わった場合はどうすればいいですか?」

 「登録時の名前は変えられないけど、追加や削除はできるわ。その場合はギルドで申請してちょうだい。他は?」

 「失敗した場合、逃げる人はいないんですか?」

 「ほとんどないわね。逃げられてもちゃんと捕まえられるようにシステムが作られているし、詳細はお話できないけど、皆さんが登録するときに使用する血はその対策用よ」


 クレアは思わず自分の小指を見てしまう。


 「だから良識的な範囲で活動してちょうだいね」

 「はい」


 なにかあれば困る前にギルドスタッフに聞くようにと強く念を押される。

 新人は困ってから聞くため、問題を抱えていることは少なくない。そのため、スタッフの方から何度も確認をするのだ。ギルドにとって問題を起こした冒険者を放置することは信用に関わる。


 クレアは説明してくれたお姉さんにお礼を行って、ギルド内を探索することにした。


 受付から離れるとまずは入ってすぐ左にある依頼掲示板を確認すると、昼を目前にした今の時間帯は冒険者自体が少ないようで、掲示板の前には二人しかいない。

 クレアは二人の邪魔にならない程度に右から順に依頼書を確認していた。

 どうやら入ってすぐに当たる一番左の掲示板はFランク、次にD、Eと上がって行き、一番受付に近い右はGランクとなっていた。

 依頼掲示板のうしろ側、入って右の方は雑貨が置いてある。簡易食や必須品が主に置いてあるようだった。

 奥の階段に向かうと空いている壁のスペースには情報掲示板が用意されており、受付に沿ってさきほどクレアが使用していた二つのブース、説明で聞いたギルドカードの個人情報確認端末が二台並ぶ。

 階段を上がると二階は食堂になっており、入口から受付までの天井が吹き抜けているため、二階から下を見下ろせる。


 「嬢ちゃん、食堂は昼から深夜までなんだ。もうちっと待っててくれ」


 クレアに声をかけたのはガタイの良い小奇麗な男である。

 クレアは探索だからまた後日来ることを伝えるととてもいい笑顔で「待ってるぜ!」と返してくれる。

 三階に上がると個室がいくつも並んでおり、宿になっているようだ。


 魔物の解体や支払いなどはどこでしているのだろうかと思ったがギルド内を探索するだけでは知り得なかった。

 二階に降りると食堂が開きそうなのか、さっきまで見なかった冒険者がちらほらと席についていた。

 そろそろエストレミオンが帰ってくるかもしれないと思ったクレアは、聞きたいことは後日聞くことにした。次来るときは食堂も利用しようと心に決めて。


 「クレアちゃん」


 一階への階段を降りているクレアに、すれ違いざま声がかかった。


クレアちゃんの目的が叶いました。

良かった良かった。


実は昨日まで書き方に色々悩んでおりました。

しかし私の作品は転生者や転移者の話は出てきますが、それがメインではない。

ということで文章はどんどん削ぎ落としました。

転生もしくは転移ものを読んでいたために色々説明しなきゃという気持ちが文章の中に現れてしまってた気がしますが徐々に消えていくと思います。

書ききる。

まずはそこを目標にこの作品を書いてまいります。

お付き合い、よろしくお願いします。

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