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同窓会

作者: おとのみ

 久しぶりにみんなと話した。みんなそれなりに年を取っていた。秋山は太りすぎているし、りっちーは随分と綺麗になった。岡野は起業して、上手くいっているらしい。僕はと言うと、相応に年を取っただけだ。こうしていると、自分だけ高校生のままのような気がする。手元のビールがやけにまずく感じる。あるいは、そういうものなのかもしれない。みんな、自分は高校生のままだと思っているのかもしれない。僕は28で、みんなも28で、かつては18だった。それだけだ。


 家に帰ると、居間は真っ暗だった。妻はもう眠ってしまったらしい。台所に立って、ウォーターサーバーから水を注いで飲んだ。水はグラスの中でぬらりと揺れていた。残りを一気に飲み干すと、途端にお腹がすいてきた。冷凍庫にチャーハンがあったので、フライパンで炒めて食べた。何事もなく終わる一日。


 随分と大人になったと思う。色々なことが変わった。川に沈められた岩になった気分だ。周りの水はどんどん流れていくし、泳ぐ魚も変わっていく。自分だけは何も動けない。自分が転がっているのかも分からない。あるいは、きちんと転がっているのかもしれない。わからない。


 正しい方向に転がっていることだけを、祈るしかない。今のところ。

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