表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

2話……誰だ!僕の可愛いお嫁さんを泣かせている奴は!

これより残り全話、前半一人称で★★★から三人称視点に切り替わります

 結婚してから相手の親に挨拶って、順番が逆なような気がする


 木須田星羅さん─今は木令星羅(きれいせいら)─のお母さんにポーションを投与してから二日経った

その間僕と叔父さんは、結婚とポーション譲渡の正統性を役人に訴える仕事をしていた

本当は数時間で済むはずだったんだけど、僕が一目惚れした木須田さんをどうしても手に入れたくて、ポーションを条件に無理矢理結婚したと説明したら、役人が汚物を見るような目になって長引いたんだ

「男のロマンでしょ?」と言ったら、「そんな外道な発想はロマンじゃない!」と怒られた……どうやら役人さんとは趣味が合わないみたいだ


 木須田さんの方は、その日の夜にはお母さんが目覚めたんだけど、念のために精密検査をする事になって、今日退院した

そして今、僕の目の前に親子三人で座っている


 ここは木須田さんのお家、ホームドラマに出てきそうな庭付き一戸建てだ、真っ白い大型犬も飼っているらしい

そのリビングで、僕だけソファーとテーブルの間の床に正座させられている……叔父さんが背後のソファーに座っているのに、なんで僕だけ



 さて、木須田家の方だけど、星羅(妻なので呼び捨て)は無表情、父親は苦し気な顔で、母親は冷たい目でニコニコと微笑んでいる……因みに叔父さんは一見真面目な顔をしているけど、僕と目が合うとニヤニヤしてくる


くそっ、なんだこのアウェー感!味方が一人もいないじゃないか!



 最初に口を開いたのはお義父さんだった、まるで絞り出すような声だ


「今回は妻を助けて頂きありがとうございます……しかし、結婚は反対です、娘はまだ十六歳なんですよ……それも好きでもない相手と結婚だなんて……」


 ズキッと心が痛み顔をしかめた……ごめんね、好きでもないどころか、嫌いな相手と結婚させて……でも仕方なかったんだ


前もって星羅には、「今回の結婚は偽装結婚で、星羅には一切手を出さないと叔父さんの前で約束している」と両親に説明するように言っておいたんだけど

……初対面の人間との口約束だから、全く信じてもらってないみたいだ


その後もお義父さんは、ポーションの代金は倍額払うからどうにか出来ないかとか、自分が無理矢理盗んだ事にならないかとか、色々と提案してきたんだけど

僕にとっては、心に突き刺さるナイフみたいで、聞くのが辛かった……


 叔父さんは一通りお義父さんの話をばつが悪そうな顔をして聞くと、その顔のまま


「娘さんを思う気持ちは分かりますが、結論から言うとリスクが高過ぎます。偽装結婚だとバレただけでも、私はポーションの不正譲渡の罪に、娘さんは詐欺罪等に……そして、奥さんはポーションの不正使用の罪で実刑は(まぬが)れないでしょう」


 現実を淡々と伝えた

あー、やっぱり星羅も罪に問われるんだ、でもお義母さんまで罪になるのは知らなかっなー

でも、これはいい事を聞いた、お義母さんまで罪に問われるなら、星羅も下手な真似は出来ないだろう

俺を嫌うあまり変な行動を取られたら洒落にならないからね………………もっとも、偽装結婚なのはバラすつもりなんだけど(笑)


 母親まで罪に問われるのは星羅にとっても初耳だったらしく、今までの無表情が嘘のように焦りだして立ち上がった


「待って下さい!何でお母さんまで!」


「そういう法が無いと、我が身を(もしくは誰かを)犠牲にしてもポーションを手に入れようとする人間が多いからだ…………お嬢ちゃん、キミのようにな」



 叔父さんの言葉に力なく座る星羅

その背中を抱き締めるお義母さん……この人だけずっと僕を見ながらニコニコしてるんだけど、娘さんが心配じゃないのかな?

星羅の態度でわかるでしょ?はっきり言って僕の行為は外道だよ、誉められる所が一つもないよ


 もしかして、これでも怒ってるのかな?だって僕を正座させたのはお義母さんなんだよね

リビングに案内されてソファーに座ろうとしたら、「あなたはこっち」と床を指されて、「え?」っと驚いたら、「床に座ってね」と有無を言わさぬ笑顔で言われたんだ

つい「あっハイ」と従っちゃったよ



 そんな笑顔なのに怖いお義母さんは

星羅を安心させるかのように抱き締めながら、僕の方を見て微笑んだ


「大丈夫よ星羅、この子はあなたが思っているよりずっと優しい子だから、何も心配する必要はないわ」


「や、優しいですか?」


 怪訝な表情で言い淀まないで!

そこは嘘でも肯定してよ、疑われたら面倒だろ!

そして優しい子だと思うならソファーに座らせて下さい、もう足が限界なんです!


 ───それにしても星羅、僕を見くびらないで欲しいな、僕は好きな女の子を傷付ける趣味はないよ!仮とはいえ家族になるのに、それを傷付けるなんて絶対にしない!

もっとも、恥ずかしい命令はするけどね!それはそれで約束だからね!とっても楽しみにしてるからね!


「星羅もこれから(わか)るわよ、この子のように自分を犠牲にしてでも他人を助けるのは、本当の勇気と優しさがないと出来ないんだから」


 持ち上げすぎー!

なにこのお義母さん、僕なにかこの人の琴線に触れるような事した?床に座らせた態度と180度違うんですけど!


(クックックッ、良かったな空、お前は勇気に溢れる優しい人なんだとよ)


 叔父さんもうるさい!小声でからかわないで!

星羅も(こんな人に勇気と優しさがあるわけない)みたいな表情で見ないで!僕だって傷付くんだよ!



 お義母さんの言葉が決め手になったのか、その後はお義父さんも渋々折れて、お話し合いという名の顔見せは終わった

明日学園から帰ってから、星羅は僕の家に住むことになる……ただし、毎週土曜日は実家に帰らせるのを譲歩させられたけど


 そのくらいなら良いだろう

僕はもともと拘束するつもりは無いのだから………………というか、早く帰らせて下さい、足の感覚が失くなって本気で辛いです




───

──



 翌日教室へ入ると、女子に取り囲まれた……男子もその外で様子を(うかが)っている───モテモテである、でも、こんな嬉しくないハーレムは遠慮したい

思わずカバンを盾に身構えていると、気の強そうなボブカットの女子がノシノシと僕の前に進み出た

どうやら怒っているみたいだ、恰幅の良い身体から怒りのオーラが立ち上っている幻が見える


「ちょっと、木令くんと言ったわよね?星羅と結婚したってどういう事なの!?」

 

「そんなの愛し合ってるからに決まってるだろ?」


 さも当然のように言ってやる

その質問は想定内なのだよ、あれだけ注目を浴びて二日も休んだんだ、絶対に星羅を心配する友人が連絡を取っていると思っていたよ

ていうか、それ以外に言えないよ、「ポーションの為に偽装結婚したんだよ」とか言ったら、みんなまとめて警察のお世話になっちゃうよ


 でもその返答は彼女の怒りに油を注いだみたいだった


「ふざけないでちょうだい!星羅泣いてたのよ!」


 そりゃ泣くだろう…………でも、その言葉をキミには言って欲しくないな───自分は無意味な同情しかしなかったくせに

胸の奥が熱くなり、ふつっと怒りが込み上げてきた


「あのさ、じゃあなんでキミは助けてあげなかったんだよ」


「はあ゛ぁ゛?」


 言葉の意味が分からず、語気を荒くする彼女

僕はクラスメートを見渡してから、冷たい声を出してあげた


「ここは冒険者を育成する学園だよね?ならこのクラスにもポーションを待ってる冒険者の親や親戚に居る人が絶対にいるよね?」


「っ!」


 目の前の彼女と数人の生徒が顔を反らした

少しは心苦しく感じてたのかな?だけどもう止められないよ


「口では可哀想といいながら、誰も助けなかったよね?バレたら実刑確実だけど、親が保管してるポーションを盗むなり偽装結婚してポーション渡せる人、絶対にいるよね?」


「……」


「でも僕は違う!僕は自分を犠牲にしてまで彼女と結婚してあげて、お袋さんを助けたのだから!!逆に聞くけど、それ以外でポーションを渡せる方法あるの!ないよね!!」


「そ、そういわれると……」


 僕の力説に言いくるめられる彼女……チョロいぞお前

そんな簡単に流されるとか、将来詐欺に騙されそうでお父さん心配になってくる


「僕の出した条件はただひとつ!僕の命令には絶対服従である事!いっぱい恥ずかし命令をするから、それを実行しろってだけだ!!」


「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」


「おおーじゃないわよ男子!やっぱり最低じゃない!そんなの私だって泣くわよ!」


 沸き立った男子をキッと睨み付けて黙らせると、再度僕に向かって怒りだした

この子はこの子でからかうと面白いな、もう少し遊びたいけど……

星羅の名誉の為にも、押さえる所はちゃんと説明しとかないとね


「でも残念な事がひとつあってね……」


「残念なのはあなたよ!星羅に酷いことしたら絶対に許さないんだからね!」


 酷いこと?僕が家族にするはずないよ……むしろ守る!


「叔父さんと住んでるんだけど、エッチな事は二十歳(はたち)になるまで禁止されちゃったんだよ……因みにこれが組長、もとい冒険者やってる叔父さんの写真ね」


「あなたの叔父さんが誰かなんて知らなぃ…………え?なにこのマフィアのドンみたいな人」


 スマホの待ち受け画面には、叔父さんの凄んだ顔が設定されていて、下には【渡すぞ引導!】と大文字で書かれている…………うん、叔父さんに無理矢理設定された

勝手に変えたら折檻な!と言われたから絶対に変えられない


「これが一緒に住んでる叔父さんだよ…………凶悪犯みたいだろ?これでも堅気の冒険者なんだぜ」


 消沈した僕に、叔父さんの写真を見てドン引きする彼女

ついでに周りにも見えるように掲げたら、クラスメート達が「うわっ」と声を漏らした

……叔父さん、あなたの顔は「うわっ」みたいですよ


「えーと……で、でも、見てない所で無理矢理…」

「出来るかー!告げ口されたら終わりだよ!渡されちゃうよ引導!折角三年間は離婚出来ないから一杯エッチな事しようと思ってたのに!あの大きな胸であんなことやこんなこと出来ると思ってたのに!生殺しだよ!」


 絶望したように地団駄を踏みながら、遠回しにこれが偽装結婚で星羅には手を出さないと言ってやる

そう、僕は二十歳になるまで手を出さないという設定、そして離婚出来るようになるのは三年後の十九歳

これだけヒントを与えれば、余程察しが悪くない限り分かるだろう


 僕を取り囲んでる人達も、あーそういう事、と安心した顔をしだした

でも、例外は何処にでもいるもので


「二十歳になったらやる気じゃない!!」


 ……彼女は、その余程察しが悪い子みたいだった


 さて、どう説明しよう?ハッキリと偽装結婚だと言うのは流石に不味いし……

と悩んでいたら、ガラっと教室の扉が開いて一人の女生徒が入って来た……星羅だ!

職員室へ結婚の報告に行って、遅くなったのだろう


「みなさんおはようございます、どうかなされたのですか?そんな所に集まって……あっ」


 ニコやかな挨拶は、僕の顔を見るなり曇った

嫌われてるねー、でも負けない、男の子だもん


「星羅大丈夫だった?こいつに変な事され…」

「おはよう星羅、約束の物は持って来てくれた?」


 ボブカットに割り込み、星羅に手を伸ばす

こういうのは最初のインパクトが大事だからね、悪いけどボブカットさんの相手はここまでだ…………痛いから、「あんたはあっち行きなさいよ」と言いながら頬をグイグイ押さないで


「……おはようございます木令くん……はい、作って来ました」


「やだなー、ダーリンと呼んでと命令しただろ?」


「っ!……すみませんでした……だ、ダーリン」


「あんたねー!」


 屈辱的な顔でカバンから巾着袋を取り出して、僕に渡してくれた

これなんだと思う?ミキプルーンの苗木じゃないんだぜ



 僕はクルリと背後に集まっていたクラスメートを見ると、袋を片手で高々と持ち上げて、宣言する


「みなのもーー見るがよい!これが新妻(にいずま)星羅による…………」


 掲げた巾着袋にクラスの視線が集まる

星羅はあたふたしだしたけど、僕は無視してスーと大きく息を吸い込み


「愛情たっぷりの 愛っ 妻っ 弁っ 当っ だぁぁぁぁぁ!!」


 大声で見せびらかした!


「「「「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」


 喝采を浴びて星羅の顔が真っ赤になる、かわいい


「違います!愛情なんか詰まってません!」


「あははははは、星羅は照れ屋だなー、愛情が詰まってないはずないだろー?だって僕たちは偽装結婚ではなく、恋愛結婚をしたんだから…………それとも、本当はポーション目当ての偽装結婚だったのかな?」


 否定する星羅に、僕は意地悪な顔をして痛い所を突いてやる


「いいのー?否定したらお義母さんが犯罪者になっちゃうよー」


「そ、それは……」


「なら愛情たっぷりだよね?」


「……はい、愛するダーリンの事を思って作りました」


 僕は下卑た顔をすると、恥ずかしそうに落ち込む星羅を見下して、周りに聞こえるように言ってやった


「ぐへへへへ、お袋さんを犯罪者にしたくなかったら、僕に毎週一回は愛妻弁当を作るんだな」


「ゲスい!でも毎日と言わない所に微妙な優しさを感じる!」


 僕の言葉に男子生徒Aのツッコミが入った

そして星羅は、恥ずかしさのリミットが振り切れて泣き出してしまった


「なんで私はこんな人に頼ってしまったのでしょうか」


「誰だ!僕の可愛いお嫁さんを泣かせている奴は!」


「あなたよあなたっ!星羅行きましょう、こんなやつ相手にする必要はないわ!」


「ありがとうございます花園さん」



 星羅が泣き出したせいで、僕を見るクラスメートの目が冷たい……うん、計画は大成功みたいだね

これだけやれば、僕が悪役で星羅は被害者と思ってもらえるだろう


 ポーション目当てに結婚したのと、母親の命を人質に無理矢理結婚させられたのじゃ、受ける印象がまったく違うからね


───

──


 冒険者試験では、卓越したな武術の腕と強靭な精神が試される

その為、ここ冒険者を育成する学園では、厳しい武術の授業が毎日あるみたいだ

今日は学園にある道場で剣術の授業、短髪の武術教師の前で、僕らは体育座りで並んでいる


「次っ木令空、実力を見るから本気で打ち込んで来い!」


 指名されたから立ち上がると、教師が木刀を差し出した

木刀でも当たれば骨折くらいするのに、本気でやれとか凄い自信だ

正直こんなものでチャンバラとか怖くてしたくない……でも


 チラリと星羅を見る

本気でやったら少しは見直してくれるかな、これでも剣術には自信があるんだ


 僕は木刀を斜めにして正面に構えた、叔父さんに稽古を付けてもらって教え込まれた構えだ

出来立てのダンジョンとはいえ、魔物相手に圧倒出来た構えだ


「……行きます」


 呟いて先生の木刀をぶら下げている右手側へ駆ける


「はやっ!」


 誰かが呟いた……そう、今の僕は人を越えている

魔力の濃いダンジョンに入った事により、僕の体には魔石が生成されているのだから

魔石は生き物を強化し凶暴化させる、それは人間も例外ではない

知能が低い動物と違い、人間は訓練次第で破壊衝動を押さえる事が出来るので、魔石のメリットだけを使える…………もっとも、叔父さんの訓練を受けていなかったら、僕も凶暴化……魔物化してたかも知れないけど



 一瞬で詰め寄る僕に先生の木刀が下から迫るが……遅い……寸前で見切りを付けて逆側へ駆け抜けながら、がら空きの胴に寸止めするつもりで切り付けた


 道場に、ガキッと木刀と木刀の当たる音が響く

先生は木刀を振り上げてたのに間に合ったの!ヤバいな、叔父さんよりは弱そうだけど、僕よりは強そうだ


「良い目だ、しかしそんな気の抜けた剣では一本はやれんぞ」


「あー、人間相手に本気でやったら殺しちゃうと思ってたんですけど……先生なら大丈夫そうですね」


 完全に入ったと思った一撃を受け止められて焦っていたけど、上から目線に思わず軽口を叩いてしまった

この先生も魔石持ちかな?あり得ない剣速だから


「安心しろ、まだまだお前のような青二才には負けんからな」


「それを聞いて安心しました……よっと!!」


 ビキッ!

交差した二本の木刀がひび割れた

喋りながら振り下ろしたけど、先生に防がれてしまったのだ

───ちっ、油断はしてくれないか


「ふむ、ここまででいいだろう……太刀筋も悪くない、どこかで武術を習ってたのか?」


 ひび割れた木刀を回収しながら聞いて来た


「冒険者の叔父さんから習ってました」


 庭で模擬刀を振るうのが日課だった

あの日も、僕だけ庭で素振りをしていたから……ダンジョンに飲み込まれた時に家の下敷きにならずに済んだんだ


「技術的には及第点だな、これなら補習はメンタルトレーニングだけでいいだろう」


「メンタルトレーニングですか?一応そっちもやっていたんで大丈夫だと思いますけど」


 冒険者試験に合格したら、魔石をその身に宿す為にダンジョンへ潜る事になる

だから魔石を宿しても大丈夫な者にしか冒険者資格は発行されない……猟銃免許の取得の際に行う、聞き取り調査を数倍厳しくしたようなものだ

心理テストや犯罪歴の有無は勿論、不特定多数からの聞き込み調査を行い、場合によってはスマホの履歴とかも調べられ、精神的に少しでも危険を感じられたら、試験は通らない


 だから僕は叔父さんから教えて貰ったメンタルトレーニングを毎日行っていた

普段の素行はもちろん、スマホやパソコンの履歴やコメント履歴なんかも調べられる可能性があるから、本当に質実剛健な生活を過ごしていたんだ

本当だよ、前の学校では人気者だったんだ!



「駄目だ、役所からもお前は情緒不安定だと報告が来ている」


「あの役人、趣味が合わないからってチクったなー!」


 丸一日拘束した上にチクるとか、それが大人のやることかー!


「大人しくセラピーとメンタルトレーニングの補習を受けとけ」


「はい……」


 しくしく

只でさえ、魔石を宿したから週一回はカウンセリングに行かなければならないのに、更に自由時間が減るのか

……どうせもう冒険者になる気はないから、どうでもいいのに



 元居た場所に座ると、何人かが話し掛けて来た

魔石持ちがバレたのもそうだけど、あの先生とあそこまで張り合えたのに感心されてるみたいだ


 もっとも、一番感心して欲しい星羅には、何故か青い顔で見られてたんだけど……あれ、もしかして怖がられてる?



───

──

─ 



 お昼休みはウキウキだね!

チャイムが鳴ると同時に僕はお弁当を掲げた


「よっしゃーご飯だー!愛妻弁当を見たいやつは来い!」


 僕の言葉にワラワラと群がるクラスメート

休み時間中に仲良くなった右京くんと前田くんの机を合わせて、小さな小島を作る

もちろん星羅を呼ぶのも忘れない、早くも恥ずかしそうにうつ向いているけど……もう、この顔だけでお茶碗二杯は食べれそうだ


 周りを見渡すとクラスメートの大半が集まったみたいだ

僕はみんなが見易いように机の真ん中に置くと、パカッとお弁当を開けた

よしっ!命令した通りの図柄だ!

ずっとワクワクしながら見ていた前田くんが、大袈裟に喜んでいる


「おー、桜澱粉でハートマークとは、ベタだけどベネッ!」


「ふっ、これを見て僕と星羅が偽装結婚だと疑う奴はいないだろう」


「ああ、これは愛し合っているな」


「間違いない、俺もこんな結婚がしたい」


 右京くんと前田くんの誉め言葉に有頂天になった僕は、スマホを取り出してお弁当を撮影した


「よし撮った、食べる前にフェ◯スブックとツ◯ッターにアップしよう!タイトルは愛妻星羅のラブラブ弁当だ!」


 この為だけに、昨日登録しといたんだ


「止めてください!」


 真っ赤になった星羅が、アワアワと慌てて止める

かわいい、この顔も写真に納めたい


「いーや、もう限界だね……ポチっとな」


「酷い、この人本当に酷い」


「ああ^~、星羅の泣き顔が可愛いんじゃ~」


 恥ずかしがって泣き始めた星羅を見ながら、僕はお弁当をかっ食らった

うめー、好きな子が恥ずかしがる姿を見ながら食べるお弁当はうめー!


「あなた絶対に魔石に毒されてるわよね」


 何を言ってるのかな花園さん

僕みたいな善良な人間に向かって失礼だよ



───

──


「迎えに来ました」


 放課後になると、二人の黒服さんが教室へ迎えに来た……美女とゴリラだ

ポーション狙いで誘拐される可能性があるから、冒険者の家族は護衛を雇っている人が多いらしい

あと僕は勘違いしてたけど、黒服さん達はハウスキーパーではなく、叔父さんの弟子みたいだ

冒険者試験に通らなかった人達を集めて鍛えてるそうで、ハウスキーパーぽい事をさせてるのは、叔父さんが彼らに給料を払う口実らしい……本当にお人好しだね


「これからは、毎日黒服さんと一緒に帰ってね」


 星羅を迎えに来た黒服のお姉さん、南さんは冒険者に成り立ての二十歳で綺麗な人だ……胸部装甲は絶望的だけど


「はい……あの、きれ……ダーリンは帰らないんですか?」


「うん?僕?僕は転校初日だから、ちょっと校舎を見てから帰るよ」


「……私で良ければ案内しますけど」


「マジで!なら早速女子更衣室に…」

「お疲れ様でした!」


 星羅は速攻で背を向けると、そのままスタスタと教室を出て行った

やれやれ……これから先はあまり見せたくないんだよね


 教室の窓から外を眺めながら、星羅が校庭へ出るのを確認すると、俺はその後を付け始めた

そう、ストーキングである!……といっても、ストーキングするのは星羅ではないんだけどね───星羅の後ろを歩く三人組の男子生徒だ


 これからあの三人には退学になってもらう……僕が適当に喧嘩を売ってボコられるだけの、簡単なお仕事だ

素行が最悪なのに頭が回るらしく、学園でも被害者が出ているのに、証拠が残らないようにしているから、退学に出来ないらしい


 どうして僕がそんな事をやるかというと

学園長と知り合いの叔父さんが相談を受けて、なら丁度うってつけの人材がいると言って、僕に丸投げしたからだ……

星羅の居る学園に、そんな不良がいるのは不安だったから引き受けたけど……嫌だなー、三人から殴られるのは痛そうだなー

でも、黒服さん達には任せられないんだよな……だって、あの三人は魔石持ちらしいから、人間が殴られたら骨折じゃ済まないんだよ


 黒服さん達も冒険者試験に合格したら家を出るから、家にいる魔石持ちは四人だけだ

僕を除いたら、大型獣みたいな叔父さんと、後ろでこっそりカメラ構えてるゴリラみたいな北野さん

うん、誰がそんな人外に喧嘩うるんだよ、女性の南さんは論外だし、必然的に僕しか残ってないんだよ


 しかし、なんであの三人は(うち)の方へ歩いてるんだ?もうここ、無駄に敷地が広い(うち)の壁なんだけど

事前に聞いた話だと、繁華街の方へよく行くって話だったのに…………ていうか、あいつら星羅をずっと見てるよな……まさか


 気付いた時には、僕は三人の後ろまで駆けていた


 「チース、先輩チース、なにか星羅にご用ですか?あれ僕のなんで、エロい目で見ないでくれます」


 突然呼び止められた三人組は、不機嫌そうに僕を睨んできた


「てめぇ……お前が噂の転校生か」

「これは手間が省けたな……おい、お前の嫁さんちょっと俺達に貸せよ」

「お前もポーションで無理矢理結婚したんだろ?なら俺達にも分けてくれよ」

「飽きたら返してやるからよ」


 僕が誰だか分かった瞬間、ニタニタした顔でデブ二人とガリガリが凄味始めた

うわぁ……こんなテンプレヤンキー実在するんだ

でも、デブとガリだから全然恐くない


「凄んでも無駄っすよ、自分先週から魔石持ちっすから、パンピー相手に負ける気はしないっすよ」


「「「ぎゃははははははははは!!」」」

「……だからどうした?魔石なら俺達三人も持ってるぞ」

「自分だけ特別だとでも思ってたのか、笑える」

「それに、お前のような半端者とは違って、俺達は先天性の魔石持ちだ…………だからよ」

「「「死にたくなかったら、あの女を差し出せ!」」」


「……」


 三人で声を揃えて凄むデブとガリ…………息がピッタリ過ぎて気持ち悪い

これは完全に魔石に毒されてるな、僕も完璧じゃないけれど、破壊衝動に飲み込まれてるみたいだ


───沸々と怒りが込み上げて、胸の奥の魔石が熱くなる


 学園には魔石持ちへのセラピーもあるらしいけど、この三人みたいに真面目に受けなかったら、魔石に負ける者も出るのか

もっとも魔石とか関係ないんだけどね…………こいつら、本気で僕の家族に手を出すつもりだったんだ……


───よし、手加減はしないで本気で壊そう

左のデブとガリガリは腹、右のデブは喉か……粉々にしてやろう



 僕はわざと間抜けな顔をすると、三人に向かって顔を突き出した、ついでに依頼も達成しとくことにする

下唇を思いっきり横にズラして上目遣いな間抜け面だ、さあお前らも怒れよ


「え?嫌ですよ、なんであんたらみたいな魔石しか取り柄のない人?……人ですよね?オークとスケルトンじゃないですよね?に可愛い嫁さんをやらなきゃならないんですか?育児に失敗した親御さん共々刑務所に入ってくれません」


「死にたいらしいなカスがっ!おい囲め、逃がすなよ!」

「指図すんな!おらっ!」



 デブAの言葉を無視して、デブBが殴りかかってきた

そんなテレフォンパンチ避けるのは簡単だけど……やべ、思ったより早い!


「グフッ!」


 顔を殴られた衝撃で、壁まで吹っ飛ばされた

腐っても魔石持ちか、やられた振りだけするつもりだったのに、威力を殺しきれなかった


 なんとか体制を整えようと起き上がった時には、ガリガリのつま先が僕の腹に突き刺さっていた


「がっ!」



───

──




 家に帰ると、救急箱を持った星羅に出迎えられた

どこか怒ったような、戸惑ってるような、心配してるような、複雑な表情をしている


「その傷、どうされたんですか?」


「これ?叔父さんにやられた」


 僕は前もって考えていた言い訳を口にする

叔父さんなら殴っても不思議じゃない顔をしてるから、説得力抜群でしょ


「……お義父様にですか?」


「うん、星羅のパンツを覗こうとしたら殴られた……パンツはセーフだと思ってたのに、厳し過ぎるよね」


 星羅はおもむろに消毒液をガーゼにドバッと付けると、僕の顔に押し付けた


「痛ーい!もっと優しくしてよ…………って、何で星羅が救急箱持ってるの?」


 あれ?もしかして見られた?

いやいやいや、あの時は撮影してた北野さんしか居なかった

星羅のようなピンク髪で目立つ美少女がいたら、絶対に気付くから、見られてないと断言できる


「……お義父様から救急箱を持って行ってやれと言われたからです」


「流石叔父さんやっさしー、自分が殴った相手の傷を心配するなんて…………マッチポンプだこれ!うっかり騙されるところだった!」


 北野さんが連絡したのかな?



「こんな事で私は(ほだ)されたりしませんから」


「絆され?どんな意味?…………もしかしてパンツはやっぱりセーフだったの!!」


「アウトです!誤審の心配がない完璧なアウトです!」


「そんなー……あいててて、もう少し優しく手当てしてよ、痛いよー」


「魔石持ちの傷はすぐに治るらしいですけど、バイキンが入ったら化膿くらいするんですよ、もっと自分を大切にして下さい」


「え?あ……うん……」


 星羅はバカなのかな?

自分を大切にしろって…………その言葉、自分を犠牲に母親を助けた星羅には、特大のブーメランだよ

星羅こそもっと自分を大切にしてよ……世の中には、僕のようなクズがいっぱい居るんだから




★★★【三人称視点】



 ───少しだけ時は巻き戻る───



 木令家の居間(家族用の居間、他に接客用と宴会用がある)でテレビを見ている三人がいる

一人は大男、この家の家主である木令大地、タボダボな服とズボン姿でお茶を飲んでいる……茶菓子は羊羹だ


「おっ、始まるみたいだな、ギリギリ間に合ったか」


 もう二人は女、黒服の南さんと、この家に仮初めではあるが(とつ)いで来た木令星羅、帰るなり連れて来られて困惑している


「何が始まるのですか?…………あ、この人達は」


 テレビには、今通って来たばかりの通学路と四人の学生が映っていた

学園で関わるなと言われている三人の不良生徒に、空が絡まれている


 内心いい気味だと思い、すぐに自己嫌悪する星羅

彼のお蔭で母が助かったのは事実なのだ、だから実害を被るまでは、せめて彼を嫌わないでおこうと、彼女は決めていた

……今日から一つ屋根の下で暮らすので、いつ実害を被るかと恐怖しているが


「あの……この映像は?」


「ああ、ライブ映像だ、空には撮影しているだけと言っているがな……どうやらあの三人は星羅くんを狙ってたみたいだから、君にも見て貰おうと思ってな」


「……私を……ですか」


 不安そうに聞き返す星羅に、南が自分の胸を叩いてアピールする


「私が居ますから大丈夫ですよ、絶対に星羅さんを危険な目に会わせません」


「南さん……あっ!」


 感謝の言葉を言おうとした瞬間、画面の中の空が殴られ壁まで飛ばされた、同時に外からもドンっと音がする

星羅には男の殴る手が見えなかった、いやそれ以上に、人を吹き飛ばす勢いで殴られて空は大丈夫なのかと心配になる

苦し気に立ち上がろうとする空に、今度は痩せた男の蹴りが入った、外からも壁に衝撃が走るボンっという音が聞こえた


「すぐに助けないと!」


 星羅が立ち上がろうとするのを、大地は手で制す


「必要ない、もう決着がつく」


「え?」


 テレビを見ると、痩せた男の足首を持ち立ち上がった空が、男の腹に足を振り下ろしていた


『まず一人』


 その声は静かに怒っていた、星羅が見たこともない、暗く恐ろしい顔をしている

腹を踏まれた男は気を失ったみたいだが、残りの二人は激昂して殴り掛かって来た

それを空は軽くステップを踏むように避けると同時に、男の腹に膝を叩き込む


『二人』


 意識を失い地面に倒れる男を、嫌悪した目で見下し、残りの一人へ駆ける

男は目を見開き動けないでいる……その首に空の真っ直ぐ伸ばされた足が突き刺さった


『三人…………人の女に色目使ってんじゃねーよカスが、次星羅に近付いたら、こんなもんじゃ済まないからな……』


 怒りのままに言葉をぶつけるが、気絶した相手に届いているはずがない、ついでに言わせてもらうなら、星羅は空のものではない!

ふーと息を吐いて落ち着くと、そこにはいつものバカっぽい空の顔が戻っていた、そしてカメラの方へ近付いて来る、どうやら黒服さんと何か話すみたいだ


 大地がテレビを見たまま南さんへ指示を出す


「最初に空が蹴られた所までをコピーして学園長に渡してくれ、あの三人は俺が空を助ける為に倒した事にする」


「はい、(かしこ)まりました」


 どうやら空の暴行は無かった事にするつもりらしい

正当防衛でやり返したより、養子を助ける為にやむ無くやった事にする方が、警察への心情も良いと考えたのだろう

……もしくは、お人好しな大地が、泥を被ろうと考えたか


「星羅くんも心配しないでいい、あの三人は魔石持ちなのに暴行を働いたんだ、退学になり魔石を抜かれるだろう」


「魔石をですか」


 正当防衛でもない限り、魔石持ちが人を殴った場合は即座に逮捕され、場合によっては摘出される

同じ魔石持ちの空だったから立ち上がれたのだ、普通の人間なら最初の一撃で死んでいてもおかしくない


「ああ、特にあの三人は生まれながらの魔石待ちだから、抜かれたら日常生活も難儀するだろうな……まったく鍛えてなさそうだからな」


「鍛えてなくても、あの力なんですね」


 なら、鍛えている空は……星羅に恐怖がぶり返して来た


 ───そんな人に無理矢理迫られたら……


 大地は不安そうな星羅の顔を心配そうに見ると、咳払い一つして立ち上がった


「今日から星羅くんが暮らす部屋だが、両隣は女性の弟子の部屋だ、だから何かあっても彼女らが対処するから安心してくれ」


「……はい」


 少しでも星羅が無事に過ごせるようにと、大地が手配していたのだ……因みに南の隣の部屋である

それでも不安そうに返事をする聖羅に、大地は少し悩むと口を開いた

空には口止めされていたが、大地の中では(空<<<【壁】<<<星羅)の数式が成り立っていたので関係ない


「この家の端に使われてないトイレがあってな」


「はぁ?」


「昨日改築して、そのトイレの横の部屋と繋げて、外から鍵がかけられるようにした、内側からは開けられないタイプだ」


「それって」


「空が提案した事だ、自分が自由だと星羅くんが怖がるだろうとな」


「……」


 星羅は言われている意味が分からなかった

空は自分の体が欲しくて結婚したのではなかったのか?


「だから壁や天井なんかにも鉄板を入れて、更に窓には鉄格子を嵌め、絶対出れない部屋を作ってやった」


「!!」


「あと星羅くんが望むなら、首に鎖も付けるが、どうする?」


「い、いえ、流石にそこまでしてもらうわけには!」


 大地との会話で、星羅の恐怖も少しだけだが薄らいでいた

依然として恐怖はある、でもクラスメートからこっそりと教えて貰った事も思い出したのだ……空が星羅との結婚は偽装結婚だから、絶対に手を出さないと宣言していたと


 ───それは、私の名誉を案じて言ってくれたのでしょうか?……もしそうなら、彼は何で命令には絶対服従しろだなんて酷い事を言ったのでしょう…………


 星羅が混乱するのも無理はない

普通は照れ隠しで命令に従えとか言わない、小学生が好きになった子をいじめるのとはレベルが違うのだ、ぶっちゃけアホである

生来生真面目な性格の星羅に、アホの思考を読めとか、土台無茶な話であった 


「まーあれだ、空も決して悪いやつじゃないんだ……今は魔石が生成されたばかりで精神的に不安定なだけで、しばらくしたら元に戻ると思うから、それまで辛抱してくれ」


 そう言って、頭を下げる大地に星羅は慌てる


「頭を上げて下さい!私は大丈夫ですから!」


「そうか、すまんな」


「いえ、私の方こそすみません、こんなに良くして貰っているのに……」


 そう、ポーションを貰うなんて無茶を聞いて貰った上に部屋まで用意して貰ったのだ

ずっと辛気臭い顔をしていた事に、星羅は今さらながら罪悪感を感じていた


 大地はそんな星羅を見て頬を掻く


「全部空がやった事の後始末だから、謝られるとこっちが困るんだがな……でもそうだな、気に病むなら空に救急箱を持って行ってやってくれないか」


「あ、さっき殴られて……」


「ああ、きっと下手くそな言い訳をすると思うから、聞いて来るといい」


「?」


 どういう意味だろう?と首を傾げる星羅であったが、言われるままに救急箱を持って玄関へと向かう


なお、言い訳はパンツであった



───

──



 その後、怪我の手当てを受けた空は黒服さんと一緒に訓練に向かい、その間に星羅はお風呂を頂いた

夕食では、星羅は空に「あーん」を要求されたりもしたが、黒服さん達が空を羽交い締めにして、プロテインを流し込んで黙らせたので、至って平和な一日であった


 星羅に言わせると、気を張っていたのに何事もなく一日が終わってしまったのである

現在空は鍵を掛けられた部屋に閉じ込められている、星羅はそう南さんから報告を受けていた


 勉強と日課の筋トレも終え、やることがなくなった星羅はベッドへ座り込んだ

自分に宛がわれた部屋で、星羅は問い掛ける


「私が怖がらないように自分を閉じ込める人が、なんで命令に従えと言ったのですか…………わかりません、あなたは私の身体が目的ではなかったのですか……」


 自問する声に答える人はいない

ベッドの上で膝を抱えて顔を埋める


 始めて異性の家に泊まる不安で、星羅の目は冴えて眠れないでいた

良くない考えばかりが頭に浮かび、布団に潜るのが怖くて仕方ないのだ


 それは当然の反応だろう、何故なら、星羅だけが知らないのだから



───そんな不安を吹き飛ばしに、南さんが来るまで後五秒

───その南さんから、「私は大地様のお嫁さんになるつもりですから、ママと呼んで欲しい」と言われて、更に混乱するまで後五分

 


 彼女の平穏な日常は帰って来るのであろうか……


プロットでは少しは空の好感度が上がるたずだったのに、何故か下がった!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ