魔族の対抗手段1
「…今日は雨か…」
俺達が初めてここに来た日から、はや3日。起きては本や新聞を漁り、少しづつ過去をしっていった。
調べて行くうちに、分かったことがある。それは魔族がとてつもなく強大な力を持つ生き物であること、それらを統括しているのは魔王だと言うこと。魔族には一般的に普及していた軍用戦闘魔法では太刀打ち出来なかったこと。
「どうにかしないとダメなんだろうけど…どうすればいいんだろうな…」
そう言いながら俺は、いつも集まるスペースに移動する。この図書館はとても広く、ソファも広いため寝泊まりには困らない。
「おはよ…ってあれ、珍しいな。今日はまだ誰も起きていないのか?」
珍しく返答がない。いつもなら、2人は俺より先に起きているはずだ。まあ、ここ数日2人はあまり寝れていないようだし仕方がないのだが。
「今日は魔族に対抗する手段を探すんだったな…軍用魔法は効かないらしいし…どうしよう」
今更だが、魔法には属性がある。火、水、風、土、光、闇、だ。魔族は闇属性を主に使うらしい。らしい、というのは魔族は見たこともない魔法を使ってきたようで、闇のような魔力だが断定はできないそうだからだ。
「普通に考えたら、闇には光をぶつければいい。いいんだけど…光魔法は確か、回復魔法だけだったような気がする。まさか、回復の魔法を相手にかけてダメージを受けるなんて言うゲームみたいなことがあるわけがないからな…」
そう言いながら俺は、光魔法教本に手を出す。教本なだけあって、初歩的な魔法から中間の魔法、はては上級魔法だが使い手も多く有名な魔法まで様々だ。だがその全てが回復魔法。これではほかの属性を覚えた方がいい。
「おはよ〜…あれ、透輝早起き?珍しいね」
「ああ、よく分からんが先に起きれた。珍しいな、遅い時間まで寝てるとは」
「私、自分の部屋の枕じゃないと寝付けないから」
「ああ…なるほど…。ところで三谷は?」
「さあ?まだ寝てるんじゃない?」
「失礼な、僕は先に起きてたよ。地下に行っていたのさ。」
そう言いながら三谷が歩いてくる。なんだ、起きてたのか。
「地下になんかあったのか?」
「うん。どうやら、地下は強力な魔法が記されている本があるみたいだ。ほら」
そう言いながら手渡されたのは、1本の本。禁魔目録…禁忌魔法目録…ってことか。禁忌魔法と聞くと危ないイメージだが、男心をくすぐられる。そう思いながら、本を開いてみると…
〔我、ここに封印されし魔法を記す。これらの魔法、全て協力にして無比。しかし大いなる代償を支払われることとなるだろう。この本を読みし叡智ある者よ、願わくばこの力、正義のために役立てんことを〕
「…なるほど、つまりここに書いてある本は全てが強力だけどなにかしらの代償を払わないと行けなくなる…」
「次のページに行くぞ…。なんだこれ、禁忌魔法初級 デスランス、ビットレイン…いっぱいあるな、これ」
「どうせなら1番上を覚えようよ!」
「たしかに僕たちには時間が無い。手っ取り早く行こう。」
「分かった…ここだな、最上級魔法」
本の最後の辺り、最上級魔法の欄を開く。そこには、わずか12個の魔法しか無かった。
「各属性ふたつづつ…だけか」
「そう見たい…」
「………ん?待てよ…ここみてくれ」
俺はそのページの1番下に、文が書かれていることに気がついた。その文とは…
「これらの属性攻撃魔法は、魔力量が多い、使い方が難しい、等の理由で廃棄された軍用魔法である。膨大な魔力を持つものには効果がない…って」
そう、つまり…意味がなかったのだ
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