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【短編】魔王に忠誠を誓った少年は、勇者を暗殺する

作者: ひとりごと

 人間種メンシュ森人種フェー土霊種ツヴェルク海人種ウンディーネ獣人種ティーア、そして魔人種ウンゲテューム

 それぞれの種族が文明を発展させ国家を形成した世界『ウェイストランド』。国際社会の未熟なこの世界では国家間の戦争が絶えず起き、地図上の国境線など明日には意味がない。


 熾烈きわまる戦争の行方を左右するのは、形成される軍の魔術運用法だ。

 剣よりも強力で、火薬よりも手軽。燃料となるのは時間さえかければ回復する個人個人の魔力。

 そんな魅力的な『兵器』である魔術が、この世界の戦争の中心なのだ。


 しかしファンタジーで戦争をする世界では、ファンタジーではない部分にこそ力を注ぐ必要もある。

 その最たる象徴が発足当時は国家機密でありながら、あまりにも戦果をあげたために各国にその存在が知れ渡った世界最強の魔術師部隊。


 その名称を、


 フェアケアト魔王国軍魔王直属特殊部隊 《イルシオン》という。



 ***



 緑豊かな庭園を抱え、石造りの城ながら魔術で明るく保たれた魔王城。ここは悪虐を尽くし人を人とも思わない、と思われている魔王が住む城とはとても思えない白亜の美しい城だ。


 その白亜の中を一人の人間種(・・・)の少年と、その後に三人の魔人種が続き歩いていた。先頭の少年は黙々としているが、後ろの三人は軽口を叩き合っている。廊下には当然声が響くが注意する者もいない。


 しかし階段を登り最上階に着くと流石に三人も少年に倣い口を閉じる。バラバラだった足並みも自然とそろい、声が響くどころか足音すら立たなった。


 その集団の目的地は魔王のいる執務室だった。


「《イルシオン》第三部隊隊長センヤ・クレキ。伝令を受け取りに参りました」


 ノックをした少年が所属を明らかにしました。それに対して、


「入りなさい」


 女性の凛とした声が返った。

 少年は失礼しますと礼して入室をし、部屋の奥に置かれた机の前に立ち、その後ろには残りの三人が横一列に並んだ。

 女性ーー魔王アウロナ・メイ・エヴラールは彫刻のように均整な整った顔に持つ紅玉の瞳をセンヤに向けた。


「よく来てくれたわ、クレキ」

「いえ。ご命令とあらば当然です」

「そうね、あなたは私に忠実だから」

「はっ。嬉しいお言葉であります」


 センヤが畏怖を以って返答すると、アウロナはどこか不満気な表情をしながらも本題を切り出した。部下のいるセンヤに気遣ったからだろう。


「諜報部からある報告があがったの。アルビオン神王国が300年ぶりに異世界から勇者が召喚するそうよ」

「それは、本当ですか?」

「ええ。来年には世界自体の魔力が高まる『エクリプセ』がある。やっぱりその魔力を利用して勇者を召喚するみたいね」

「なるほど」


 膨大な魔力を必要とする勇者召喚は通常時ではとても発動することができない。いくつか発動する方法がなくはないが、人間種の保有資源量ではそれは無理だ。

 そこで出てくるのが、世界の魔力が満ちる時『エクリプセ』。月が影に呑まれるその時に空気中に漂う魔力が通常時では考えられないほど増大するのだ。

 空気中の魔力を利用する方法は儀式的なものになるため普通は使われないが、勇者召喚などでは使わなければならない、


「勇者が召喚されて、かの神造武装エクスカリバーが振るわれれば、強力な我が軍にも甚大な被害が確実に出るわ」

「アルビオン神王国軍は勇者をこちらに向けると?」

「ほぼ確実に。宗教的に昔から対立してきたというのもあるけど、この国の豊かな魔力資源がどうしても欲しいだろうからね」


 アルビオン神王国は唯一神を信仰する人間種の国だが、魔王国とは隣国でありながらも古き時から多くの戦争が発生している犬猿の仲のような国だ。

 領土は世界3位。海面にも面しており、海域も相当に広い。その資源量は相当数を誇るが、あくまで豊かな自然から取れる生活資源だ。軍需用の高い魔力資源は取れることには取れるが、魔王国にある鉱山と比べるにはお粗末なものだ。


「他国の動きはどうなのでしょうか?」

「召喚する兆しはないわね。まあ、リスクがないわけじゃないからね。無理をしてまで召喚する必要がないのよ、我が国と同じで」


『勇者召喚の儀』と呼ばれる特殊な魔術は人間種以外の国も持っている。無論、魔王国もだ。

 しかしこの魔術は『エクリプセ』によって高まった魔力を大量消費するので、急激な気圧変動で体調不良を起こすように、魔力圧変動によってこの世界の人々は体調を悪くする可能性がある。

 さらには人々の生活に使われている日用魔導具も不調を起こし、現代ではどの程度の影響があるか予測がつかない。以前の勇者召喚時にはそこまで日用に限らず魔道具が開発・発展・普及をしていなかったからだ。


「勇者に勇者をぶつけることはないのですか?」


 センヤはわかりきっていながらも、円滑な会話のためにも質問をする。……約1名、少し頭の緩い部下にもわかりやすくするためでもあるが。その頭の緩い部下ーーエファ・クルッツェンはわかりやすく表情を変え、アウロナの話を待った。


「ないとは言い切れないでしょうけど、おそらくないわ。確かに勇者の力と勇者の扱う各国が保有する神造兵器は強力だけど無敵ではないからね。対処のできない相手ではないのよ」

「その分現場の兵士は苦労しそうですが」

「そこはほら、死ぬ気で頑張るしかないんじゃない。戦場に行くっていうのはそういうことなのでしょう?」

「否定はしませんが」


 もっとも過酷な任務を日常的に遂行する《イルシオン》の部隊長の一人がそう言うのなら、そういうことなのだろう。否定できる者もいない。


「そこで今回の任務内容を説明するわ。あなた達第三部隊には召喚される勇者の暗殺をしてもらうわ」

「具体的には」

「作戦の第一段階としてクレキ、あなたには元の世界に帰ってもらうわ」

「え?」


 魔王アウロナから告げられたその言葉を理解するのにセンヤは数秒の時間を要した。が、それで断れるわけでもなければ、むしろ特殊部隊の名に恥じない働きをする必要がある。

 センヤはその後聞かされた作戦概要に反論することなく、しかしいくつかの修正点を入れ任務の受諾をした。



 ***



 地球。『ウェイストランド』からすると異世界の中のひとつの惑星である、生命溢れる青き星だ。

 人類によって多くが開発され、遥か昔神秘と袂を分けてからは技術を科学を発展させてきた、魔術とは縁遠い世界。当然神秘は薄れているので魔力などほぼない。


 この世界に送られたセンヤは、むしろ帰ってきたと表現した方がいい。

 センヤ・クレキ、否、暮木千夜クレキセンヤはこの世界の生まれなのだ。


『勇者召喚の儀』からかなりグレードダウンさせた『異世界人召喚の儀』を用いられて召喚された当時7歳のセンヤは、魔王国によって『ウェイストランド』に召喚された。

 その目的は未だセンヤにも明かされていないが、魔王国にとって秘密裏なプロジェクトではあった。ありったけの魔晶石をつぎ込み魔力圧の変動を抑えたほどだ。


 召喚されたセンヤには様々な議論が交わされた。想定よりもかなり幼い子供が召喚されてしまったからだ。

 魔王を中心に交わされた議論では「送り返すべきだ」という良心的な意見もあれば、「小間使いにでもして使い潰してしまえ」などの事実上の隷属化を推す者もいた。

 しかし最後には魔王へとその結論が委ねられ、センヤの『かんがえ』を聞くことになった。


 そのセンヤは助けを求めた。魔人種でも見た目恐ろしい鬼族の近衛兵が扉の前に立つ部屋で、魔王であったアウロナに。まるで知らない土地で知らない人に、混乱に陥りながらも泣きじゃくって助けを求めたのだ。


 その異常に歳の同じくらいの娘を持つアウロナは気がついた。

 センヤの体には痣が数多くあり、その多くは服で見えない部分に集中していた。さらには7歳児にしては成長の遅く痩せ細けた体。

 センヤからは幼い子供には過酷なイジメと虐待が、断片的な言葉からでも聞き取れた。


 そして魔王アウロナは、センヤを地球に帰すことを許さなかった。己が子供として育てることにした。


 豊かな生活と不足のない環境を整えると、センヤははじめこそ困惑と恐怖を持っていたが、まだ灯火のように残っていた純粋な心が次第に凍った心を溶かしていった。

 歳の近いアウロナの娘とも遊び、地球ではできなかった友達にも恵まれたのだ。


 そんな生活が一年二年と続いた頃、年の割に幼い頃の経験からか少し大人びたセンヤにある感情が芽生え始めた。


 ーーアウロナ様を助けたい。


 恩人であるアウロナに、故郷と呼べるこのフェアケアト魔王国に恩返しがしたいと思い始めたのだ。


 そして、センヤは魔王国軍へと入隊した。アウロナやその娘の反対を振り切り、家臣達の腹黒事情を承知しつつも、恵まれた生活を捨て国を守る軍人へと成ったのだ。


 軍に入隊したセンヤは早いうちからその頭角を表していった。

 入隊に年齢制限などない魔王国軍だが、常識的にほとんどの者が15歳から入隊する。その中において10歳にようやくなるというセンヤは飛び抜けて体も小さく力も弱かった。

 しかしその意思は誰にも負けず、肉体的ハンデを精神的要素で補い、厳しい新兵訓練を成績トップで終えた。


 新兵訓練を終えたセンヤが配属されたのは獣人種の国ーー獣人連合国方面軍第5歩兵大隊に配属された。非戦時は国境戦線での哨戒任務に着き、敵に動きがあれば近・中距離戦闘をし戦線・及び国境線を維持することだった。


 センヤが初戦闘に駆り出されたのは配属の僅か一週間後のことだった。人間種ではあるが比較的かわいがってくれた先輩軍人達と共に、攻勢に打って出た獣人種と戦ったのだ。


 高い身体能力を活かした高機動戦闘を得意とする獣人種に小隊は苦戦させられていた。何度やっても慣れることはなく、敵軍兵士はそれをあざ笑うようちさらに速くなったのだ。


 しかしここで新人であるセンヤが活躍を見せる。


 成長期真っ只中のセンヤは魔力保有量が圧倒的に少ない。これはセンヤが人間種であり魔人種と比べると少ないという面もある。

 とは言えここは軍人にそんなことは関係なく、新兵訓練では魔術戦闘の項目もあったのでクリアをしなくてはならなかった。


 そのため必死に対策を講じ、訓練時以外でも鍛錬を欠かさなかったセンヤは思わぬ才能を開花させた。それは魔力操作技術だ。


 魔術には魔力が使われるが、魔力がエネルギーである以上そこには仕事効率が発生する。具体的にはどれだけ無駄なく魔力を魔術に使えるか。あるいは必要最低限の魔力で魔術を使用出来るかだ。


 これを高めたセンヤは魔力保有量の差を技術で埋め、さらには繊細な魔力操作で準備段階では知覚出来ない魔術で不意打ちをするという、ヒットアンドアウェイ戦法を得意とした。


 そして、水属性の魔術を好み得意としたセンヤならではの魔術も会得していた。


 戦闘区域となっている国境線は開けているが、両サイドには森が広がっていた。その辺り一帯には一度も現れたことがない霧が不自然に発生し、視界を奪っていた。

 しかし獣人種は高い感度を誇る五感を駆使し霧による視界不良など気にも止めず、高速機動を続けた。


 センヤはそんな獣人種の動きを見ずとも把握していた。どこをどう動いているのか、どの程度いるのか全てだ。

 あらかたの仕込み終えたセンヤは攻撃段階に入る。


 不自然な霧はセンヤの魔術、水属性『濃霧狩り』。水を霧の状態にして広範囲に分布させ、霧の中にいる敵に攻撃をどこからでも仕掛けられるというものだ。知覚はその副産物に過ぎない。


 霧の中で高速移動をしている獣人種に対し前触れもなく攻撃が行われた。センヤが分布ささた霧状の水を収束させ、敵を貫いた。


 突然貫かれた仲間に動揺が走る敵兵。センヤはそこを見逃さず、同時に狙える最大数の10人を攻撃した。第二射、第三射と続ければさすがに敵兵も退いた。


 崩れるかと思われた戦線。それを配属されたばかりのセンヤが立て直したことで、その評価はうなぎのぼりとなった。


 そうした武勲を積み重ねていき順調に昇進もしていた頃、新部隊への配属が決まった。それが魔王直属特殊部隊イルシオンだった。

 特殊部隊の初期メンバーとして抜粋されたセンヤは、同じ部隊の仲間と様々な功績を挙げていった。そして部隊のメンバーも増え、第三部隊の面々を部下に持ち、今に至る。


 おおよそ九年ぶりの地球。そこに意味を見出すこともなく、センヤは任務を遂行していた。

 開発部門より渡された『エクスカリバーの欠けら』を元に作られた勇者探知魔術具を使い勇者の所在を掴んだセンヤは、ごく自然に勇者へと接近した。


 今代のエクスカリバーの担い手は高校生だった。ごく普通の高校に通い、友達に恵まれ、親に愛され、幸せに生きる高校生だ。

 センヤは高校生ーー星海ほしみ蓮也れんやと同じクラスになるように手配し、彼が召喚されるのを密かに待った。目立たず、かといって目立たな過ぎず。程よくバックグラウンドとなることに徹した。


 そして時は来た。


(魔力反応っ。これは、なんつー魔力量だよ!?)


 教室の床に魔法陣が展開される。眩い光を放ち、勇者を逃すことがないよう貼られた結界。授業中で揃っていたクラスメイトが強制的に召喚に巻き込まれる。もちろんセンヤもだった。


 猛烈な光が教室を包み込み、浮遊感が訪れた後、その時には召喚が終えていた。


「ようこそ皆さま。私、アルビオン神王国第3王女のリリアーナ・フォン・ローズワーナの申します」



 ***



 太陽も頂点に達し西に傾き始めた頃、センヤは王都に出歩いていた。勇者達への訓練は午前中だけ。午後になれば自由時間となるため、不自然な点もなくセンヤは目的地へと向かうことが出来た。


 城を中心に据えた王都は鳥瞰するとオレンジを輪切りしたように見える。それは中心から円状の外郭へと大通りが伸びているからだ。さらに寄ってみれば、それぞれの大通りの間にはアリの巣のように小さな路地が入り組んんでいる。


 センヤは第三大通りと第四大通りの間の外郭より、主に低級市民が住む区画に来ていた。誰にも見られないように細心の注意を払い、あらかじめ決めておいたポイントへと向かう。


「大人っぽくなりましたか隊長」

「向こうの飯はなかなか美味かったよ、イリス」

「ならこちらに帰ってきたくなかったんじゃないんですか?」

「バカ言え。嫁ぐわけでもあるまいし」


 そんな軽口を交わした。相手は闇より現れた軽く波を打った金糸のような髪が美しい魔人種吸血鬼族のイリスだった。センヤが率いる部隊の部下の一人だ。


「作戦は?」

「手はずは整ってます。あとは隊長からの報告を参考に微調整をするだけです」

「ご苦労さん」

「ええほんとです。帰ったら久しぶりに頼みますよ?」

「考えとく」


 適当に返事を返しセンヤは情報を擦り合わせる。


「勇者の暗殺は問題なさそうだ。飯に微弱な毒を混ぜたが、効果はしっかりとあった」

「では予定通りですね」

「ああ。だが、思っていたよりも一緒に召喚さらた奴らが強いな。そっちは事故でも装っておく」

「了解です。何か追加の支援物資は必要ですか?」

「必要ない。城にある魔術式に細工出来そうだからな」

「ほんと、相変わらず器用ですね隊長は」

「それしか出来ないんでね」

「嘘つき」


 と、なれ親しくいつまでも話している暇もなく、適当に切り上げる。


「決行は2日後。必要な物資はこの紙の場所に置いてありますので回収して、いらない分は処分してください」

「ありがとうな。作戦が終わったらなんか奢ってやんよ」

「それよりも手作りを食べさせてあげますよ。だいぶ練習しましたからね」

「……任務成功しても死ぬのか、俺」

「ここで殺しますよ?」

「や、やめなさいよ。俺上司だぞ。帰った覚えておけよっ」

「ちょっ!?」


 逃げるが勝ち。センヤは足早にその場を後にした。残ったイリスも久しぶりのやりとりに思い浸る暇もなくその場を去った。


 勇者暗殺の時は確実に訪れようとしていた。



 ***



 勇者の暗殺。これが為されれば未だかつてない功績となる。もちろんそれは秘密裏の作戦で公にすることはないが、それでもセンヤはこの任務を実行することに迷いがなかった。

 その対象がたとえ級友だとしても。


「あ、あぁぁあっ!? 」

「隼人!?」


 訓練に疲れ腹も空いた夕食時。それぞれが得た強力な力で話に花を咲かせていたその時だ。

 即効性で強力な毒は瞬く間に勇者の体を巡り、そして勇者を亡き者にした。治癒魔術をかけようにも手遅れだった。


 が、それだけではない。


 あらかじめこの場に集まるとことがわかっていたセンヤは設置型魔術を施し、天井が崩落するように細工していた。勇者だけは確実に殺すために毒殺を選択したが、この工作はそのついでだった。

 爆発が起きたその時にはもう手遅れ。異世界より召喚された38名は勇者の骸とともに、重たい石の天井に押しつぶされた。


「こっちはまだか!?」

「こちらもだぞ!」


 慌てふためく宮廷魔術師達。それを尻目にセンヤあらかじめ挙げていた脱出ルートで王城を後にした。



 ***



「おひさー隊長」


 無事に任務を終えたセンヤはひっそりと脱出をし、回収地点である王都に隣接する森の来ていた。

 そこで待っていたのは部下である夢魔族のカティだった。夢魔族としてはペタンコな、特殊性癖の紳士に好かれそうな体躯をした紫がかった黒髪の少女だ。


「ご苦労様です隊長。早速ですが次の任務に向かいます」


 イリスが宣告した。


「え、このまま直帰じゃねぇの?」

「せっかくここまで浸透出来ているということで、破壊工作やら諜報やらして来い、とのことです」

「とんだ遠足の帰り道だな。これじゃあ帰るまでが遠足理論が成立しちまうよ」

「ガンクは既に襲撃予定基地を監視していますので。隊長の装備は一通り持ってきていますので、馬車の中ででも着替えてください」


 さらりと容赦のないイリスは既に馬車の中。


「脱がせようかー?」

「その見た目で痴女るなと何回言ったよカティ。俺が奇異な視線に晒されちゃうだろうが」

「上手くなったんだよ?イロイロ」

「だな。増してるよ痴女度」


 と言いつつもカティの頭を撫でるセンヤは、装備の揃った馬車の中を見て息を吐いた。


「ただいま、俺の戦場」


 それは、自ら戦場に縛られることを選んだ少年の誓い。

お読みいただきありがとうございます。

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[良い点] 戦う理由っていろいろとあるものですね・・・・・・。助けられた恩を返す為に同族とも戦う、理解は出来ます。ただ同じく召喚された同じ世界の日本人を躊躇いなく手にかけるのはちょっと納得したくないも…
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