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数多の世界の可能性  作者: 鈴木 啓
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1話

今回初投稿となります。

非常に拙い文章で読みにくいかもですが、そこは生暖かい目で見守ってやって下さい。

 薄暗い部屋の中に朝日が差し込む。

今が何の季節なのかなんて知りもしないが今日の天気はいいほうなのだろう。

 早朝の朝の空気は少し冷たく、澄み切った青空は雲ひとつなく、“奴ら”にとっては最高の朝なのだろう。

 爽やかな朝の空気と澄み渡る美しい青空に吐き気しか感じない僕がおかしいのか、この環境が悪いのかは分からないが唯一つ言えるのは……

「おはよう、クソッタレな世界」

ここは檻の中で、また糞みたいな一日が始まったということだけだ。


    ※


 石造りの小屋の中、あるのは無骨な鉄の扉と大きな檻が一つだけある。

 床には藁が敷き詰められ、底の深い皿には室温でぬるくなってしまった水が半分ほど残っている。

檻の中で胡坐を掻いている十二ほどの若い少年は、両腕を後ろで縛られ、その足は鎖で檻に繋がれている。

 檻に体を押し当てるようにして立ち上がると腕は挙げられないが伸びをする。

ボキリゴキリと体を鳴らすと繋がれてない方の足で内側から檻を蹴る。

「おーい!もう朝だぞー!仕事さぼんな低賃金!」

檻をガシャガシャ揺らしながら鉄製の扉の向こうにいるはずの檻番を怒鳴りつける。

 しばらく蹴っていたがいつまで立っても反応が無いのであきらめて藁の上に腰を下ろす。

 頭を下げすっかりぬるくなった水でのどを潤す。

相変わらず吐き気がするような水だが朝の空腹をごまかすのには丁度いい。

これが少年の日常だ。

少なくとも七年間続いて来た現実だ。

 ガチャリと鍵の開く音がし、重々しく扉が開く。

 兵士の格好をした背の低い太った男が桶に入った大量の食べかけを持って檻の前に持ってくる。

「おはよう、化け物」

脂ぎった顔を歪ませて檻番は食べかけの入った桶を床に置く。

その少年を見る目には侮蔑と畏怖が込められている。

「おはよう低賃金」

少年は、口角を吊り上げ馬鹿にしたように笑みを浮かべる。

「黙れよ化け物。誰のおかげで毎朝飯が食えると思ってんだ?あぁ?」

「分かってるよ低賃金。少なくともてめぇじゃねぇって事はな」

檻番は一瞬怒鳴り散らそうと口を開きかけるが、諦めて口を閉じる。

「ったく、何で檻の中にいるクソ餓鬼のほうが偉そうに踏ん反り返ってんだよ」

「さあな、それより早く飯をくれよ」

檻番はため息をつくと桶の中の残飯を檻の中にぶちまける。

少年は水を飲むときと同じように頭を下げ残飯についた藁を気にする事無く貪る。

「へへっ、こうやって見ると獣そのものだな」

「うっせんだよ豚、息がくさいから食事中に喋るな」

「はいはい、食い終わったらすぐに出番だ、さっさと食えよ」

「分かってる」

 余興の時間。

 少年にとってもっとも不快な三時間。

 少年が檻に入れられている理由の一つ。

 いかれた貴族の道楽。

 それが後数分で始まると思うだけで食欲が失せていくが、食べなければ死んでしまう(決して比喩などではない)ので無理やりにでも胃の中に残飯を押し込んでいく。

 とうとう床の残飯がなくなったので少年は渋々立ち上がる。

 檻番は檻に繋がれている鎖を重い鉄球に付け替え檻の扉を開ける。

 口元を覆う黒い皮製のマスクをつけられ、鉄の首輪で首を戒められる。相変わらず冷たい首輪をつける瞬間は好きにはなれないが騒いでもどうにもならない、と言うよりどうにもならなかったので黙っておく。

「さ、行くぞ。貴族様がお待ちかねだぞ?化け物」

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