中編1/2
田舎だ
見渡す限り大自然
見上げれば燃える太陽
耳をすませば大自然の声がする
一歩踏み出せば、まだ見たことの無い
新しい世界に、足を踏み入れることになる
そんな気がした
はぁ、疲れた...
おもむろに地図を取り出す
何時間かかっただろうか、しかし太陽はまだ元気だ
俺は、底なしの体力を持つ太陽に負けそうになりながらも、少しずつ、歩いていった。
なかなか足が持ち上がらない。
普段であれば、絶対に使うことのない多大な体力と、精神力を使ってきたのだ。
行き方を聞きながらここにきたので、余計に疲れた。
これは何かの罰ゲームなのか、ドッキリなのか、段々そう思えてきた。
考えても仕方がない、先に進もう。
ここまでたどり着けた事を考えれば、まだまだ根性は腐りきってはいない。とポジティブに捉え、なんとか足を運ぶことが出来た。
見渡す限り
自然
自然
自然
田舎に来るのは初めてだが、イメージ通りの田舎だ。
本当に何も無い
駅から歩いて数分、田んぼの畦道についた。
何も無い場所で、1歩ずつ、1歩ずつ重い足を運ぶ。畦道には誰もいない
見えるもの、聞こえるもの、感じるものはただ一つ、大自然だ。
時折挫けそうになりながらも、時々吹き抜ける風に助けられ、少しずつ歩んでいく。
しかし、必ずしも限界というのはいつか来るものだ。
はぁ、と溜息をつく
ここまで辿り着くのにさえ苦労したのだ。ただでさえ重い足が、さらに重くなる。
じりじりと焼きつけてくる真夏の太陽は、
俺を嘲笑っているようにさえ見えた。
あぁ、もうダメだ帰りたい
そんなことを思い浮かべながら、足を棒にして歩いていると、畦道を抜け何かが見えてきた。
目的地だ
やっとか、と呆れながらも進んでいく
目的地の家に到着した
その家は、大きくはなかったが、どこか懐かしくて、とても住み心地が良さそうだった。
その家の近くには、開けた何も無い広場がある。
いや、空き地というべきか
子供たちがそこで遊んでいる
ぼーっと眺めていた
「あのー、すみません」
気弱い声で俺が家の外から声をかける
すると中から声がかかる
「はーい」
その言葉と同時に扉が開けられる
味気のない白色のTシャツとベージュ色の半ズボン、顔が丸い坊主の男の子がでてきた
「どちら様? 」
「あ、えっと...鎹です...」
俺は動揺してしまった
こういうコミュニケーションは慣れていない
俺はどうすることも出来ないで、戸惑っていた。
すると
「あぁ、明人さんのとこの息子さんか、話は聞いていますよ、どうぞ上がってください」
と答えてくれた
すいません、と動揺していた
頭の中は恥ずかしさで溢れそうだった。
一度深呼吸をして落ち着いた
すると坊主の男の子が
そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ
とにっこり笑った
俺はついに、恥ずかしさという物質が溢れ出てしまった。
家に上がった
中は少し古いが、やっぱりどこか懐かしい感じがして、ついさっきまでここに住んでいたような感覚に陥った。
本当に不思議なものだ。
ノスタルジーてやつか、いや違うか。
下らないことを考えているうちに
「いらっしゃい、君のお父さんから話は聞いているよ」
と声が聞こえた
声の方へ振り向くと
無地の白いTシャツと、グレーの穴の空いたジーンズを履いている。俗に言うダメージジーンズというやつか、髪型は坊主で優しそうな顔立ち、歳は80代くらいの男性がいる。
「ここに座っていいよ」
はい、という返事とともに
何かデジャブを感じた俺だが、特に気にすることなく席についた
「今出てくれたのは息子の和人だ。
こうみえても人見知りだから、仲良くやってくれ。」
今の状況について、一通り話し終わったあと、各部屋の説明と部屋の場所を案内された
どうやらこの人達は、親父の知り合いらしい。親父も、母親もここが故郷らしい。
そして、俺も小さい頃にここに来たことがあるのだとか。
全く覚えていなかったが、懐かしさを感じる原因はなんとなく分かった気がする。
鈴の事も聞かされた。俺と同じで肌身離さず持っていたらしい
子は親に似るんだなと下らないこと考えた。
この家の中で一番のお気に入りは縁側だ
縁側に鯉の池があるのがとても良い
何故かとてもノスタルジーを感じる。やはりまだ、気持ちが落ち着いていないのかもしれない
そんなことを考えていると、おじいちゃんに声をかけられた
「自由にしてていいよ、わしは田んぼに出かけるから、何かあったらわしを呼んでくれ。」
その言葉とともに、おじいちゃんは俺が通った畦道へと、消えていった。
「さて、どうするかな」
今にも消えそうな声で言った
体力的にも精神的にも疲れてしまってたので、もう寝ようかと考えた
少しずつ意識が遠のいていく
夢を見た
俺が畦道を通って俺が今いる家を抜けた。
そして広場の少し先に
深い森が続いている。
好奇心でその先に進もうと、足を踏み出した途端
目が覚めた
妙にリアルな夢を見た
こんなにリアルな夢を見たのは初めてだ
コンコンと、貸出してくれた俺がいる部屋の扉から、ノックが聞こえた。
どうぞと俺が言う
ギチチチチとドアがおもむろに開かれる
「おはよう、気分はどうだい」
一瞬戸惑い、慌てて時計を見た
朝の9時だ
俺はどうやら疲れきっていたらしく、
ご飯も食べずに寝てしまっていたらしい。
おじいちゃんは笑いながら説明してくれた
俺も自然と笑顔になった
笑うのは久しぶりだ
お笑い番組を見て笑うのとは違う
人の優しさや、ぬくもりで感じる笑顔だ
じゃあいこうかと
言われるままに食卓へと向かった
古ぼけた階段を、音を立てながら下っていく
食卓につくと
80代くらいのおばあちゃんと
昨日出迎えてくれた男の子と
その男の子の一つ年上くらいの女の子と
小学生3年生くらいの男の子が座っていた
初めまして
と女の子が声をかける
俺は、はじめまして。と動揺しながら言った
「私は佐久間鈴と言います。よろしくお願いします。」
とても物静かで、品のある口調で言った。
次に小学生三年生くらいの男の子が口を開いた
「おら、佳ていうんや!兄ちゃんよろしくな!」
とても元気な声だ、太陽のように明るい。
まるで俺と真反対だ
次に出迎えてくれた男の子が口を開けた
「僕は佐久間輝といいます、よろしくお願いします」
とても律儀だ
次におじいちゃんが言った
「わしは哲夫という、子供たちと仲良くやってくれ」
渋い声でそう言った
最後におばあちゃんが
「あたしゃ鈴子という、よろしくな」
腰が据わった声で言った
俺のイメージ通りのおばあちゃん、という感じだ
自分も一通り自己紹介を済ませた
名前から、好きなものや、嫌いなもの、好きな教科や、嫌いな教科。
小学生か、と頭の中で勝手にツッコミを入れていた。
落ち着いたところで
佳が遊びに行こうというので
ついて行った
どうやら鈴と輝は家で家事の手伝いをするようなので家に残ったのだ
俺よりも年下なのに何故こんなにも大人なのだろう、俺の程度が低すぎるだけか。
俺も手伝おうとしたが、佳と遊んできなさいと遠慮された
蒸し暑い中、佳に言われるがまま場所へ向かった
途中で近所の子と合流し、
昨日俺が見つけた広場の、少し先にある所に、秘密基地と皆が呼ぶ場所がある
そこに案内された。
木々のざわめきがきこえる
俺達は、その秘密基地と呼ばれる場所で一日中遊んだ
気分は小学生最後の夏休みだ。思いきりはしゃいだ
日が暮れて皆家に帰るといい次々と秘密基地を後にした。
結局、俺達は最後までいたが、皆が帰った後も少し遊んで帰る事にした。
時計をちゃんと持ってきたのに、その日は時間を忘れて遊んだ




