その7.オカンがなろうのダークサイドに・・・!?
PCの前に座るオカンは全くキーボードに触れずしきりに鼻水を啜っている。
「風邪なん?」
「ちゃう、小説読んでて不覚にも涙が出てきたん。文章もストーリーもめっちゃ
ええのに、この人、お母さんより 〝ポッチン” 少ないんよ。なんで、S君の
アレが三ケタで、コレが一ケタなん?!」
オカン、まーたそこかよ! ゼッタイ俺の親友に嫉妬してるやろ!
「ここのアクセス数って、テレビの視聴率みたいなもんやね。」
「どういうこと?」
「テレビドラマでも文芸作品とか社会派みたいな小難しいのは、なんぼ良作でも
10%以下やったり、アホみたいな芸人やアイドルがワラワラ出て来るような
バラエティーが20%ちかく取ったり… Kちゃんがこないだ言うてたように、
やっぱり〝需要と供給” なんかなぁー 読者や視聴者に迎合しながら作品を
創っていくなんてアホらしくてやってられんやろなぁ…」
まあ、確かに、どちらの業界も『売れてなんぼ、受けてなんぼ』の世界です
からね。数字はプロ作家さんやテレビ制作者さんにとっては死活問題、オカン
みたくお気楽に小説家モドキを楽しんでるようなわけにはいきません、はい。
「で、オカンの新作の視聴率はどうなん?」
「イマイチ喰いつき悪いわ」
〝喰いつき” って『少数の読者さんと自分のためにコツコツ投稿続ける』の
謙虚な初期設定は完全に崩壊しとるがな・・・
「ブックマークとかアクセス数とか気にせえへんのとちゃうの?
やっぱり気になるん?」
「気にせんとこと思うんやけど、つい毎日見てしまうんよね、これが…」
「せやから俺が 〝ポッチン” したる言うてるやろ?」
「それはやっぱりアカン! 一人にしてもろたらドドドッーと友人知人親戚
一同に頼みまくってしまいそうで自分が怖い。それに身バレするのは絶対に
イヤやからね」
ああ、ここはオカンの 〝秘密の花園” でしたね、たしか・・・
「けど、わからなくもないんよね――数字上げるためにドラマの中でイケメン
俳優に上半身脱がさせたり、バラエティーでヤラセしてまで視聴率取りたい
という、気持ち……」
わぉ、オカンが「なろう」のダークサイドに堕ちようとしているぅ~