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その3.ブクマ2ケタ?ゲット!

「Kちゃん、このサイトめっちゃ凄いわ!…」


オカンが何やら興奮気味に言った。


「…アクセス解析、いうとこポッチンしたら、自分の小説にアクセスして

くれる人の数が一時間ごとに出るんよ。一話ごととか、一週間分とか…」


投稿開始から二週間にしてようやくそれに気づいたオカン。


まあ、昔からメカにはめっぽう弱くPC機能についてもほとんど無知。

その昔、定年まじかの窓際族のオヤジが『PCの環境を変える』と聞いて

パソコンを窓際に移動して側に花を飾ったと言う笑い話があったような、

俺のオカンもほぼ同程度。


「…やっぱりゴミ箱に捨てなくて正解やったわ! 私の小説モドキをこんな

ちゃんと管理してもらって申し訳ないくらい… これホンマにタダやろね? 

あとでドカーンと請求書きたりしないよね?」


どこまでも大阪のオバちゃんです、はい。


「それで、ポッチンの数は増えたん?」


「ついに、二ケタの大台!」


「すごいやん!」


「四捨五入したら、やけどね。テへへ…」


「俺の携帯からポッチンしたろか?」


「そんなん絶対やめてよ、Sと一緒にせんといて! あの子のしょうむない小説、

アクセス数だけは毎日半端ないんよ」


Sのアクセス数チェックしてると言うことは、もしかしてオカン、ブックマーク

件数3桁のSにライバル心メラメラ燃やしてる?


てか、息子の親友、ついに呼び捨てかよ?!


「タイトルなに? ペンネームは?」


俺は怖いもの見たさというか、ちょっとオカンの小説を読んでみたくなった。


「アカン、それは教えられへん! これは、お母さんだけの秘密の世界やから…」


「その、四捨五入二桁の読者さんは、ええわけ?」


「その人らは私のこと全然なんも知らんし、こっちも相手の顔見えるわけや

ないしね。けど、誰かが自分の書いたものを読んでくれてると思うと、めっちゃ、

楽しいし嬉しいもんよ~ ルンルン…」


オカンはちょっと、夢見る少女の顔になっとる!


「…それに、過激なHシーンの描写も出てくるから、Kちゃんやお父さんには

ゼッタイ見せられへんわ。ヒヒヒ…」


オカンはやはり、大阪のオバちゃんの顔に戻っとる!



旦那にも息子にも見られたくないという、その秘密の花園の禁断の描写を、

覗いて見たいような、見たくないような・・・






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