その2.いざ、取材旅行へ!
オカンが珍しく鼻歌交じりで料理を作っている。それも、大量に。
「これ、金土日の三日分な」
「どっか行くん?」
「明日の午後の新幹線で横浜のおばあちゃんとこ行ってくるわ」
「バーちゃん、具合でも悪いん?」
「ううん、久しぶりに顔出すつもり。それと、“取材旅行” も兼ねて…」
そう言うとオカンはニンマリと笑った。
実は、オカンの出生地は横浜。と言っても育ちは京都で結婚後はずっと大阪。
横浜で生まれ育った俺のバーちゃん、つまりオカンのオカンが京都住みの
ジーちゃんのところへ嫁に来て実家でオカンを産んだ。だから、まあ、一応
横浜生まれと言うことにはなるが、実態はバリバリの関西のオバちゃん。
だが、オカンはこれをシチュによって巧みに使い分ける。
ある時は 「わたし、横浜生まれの '浜っ子’ なんですぅー」 また
ある時は 「うち、京都育ちの '京女’ なんえー」といった具合に。
俺がオカンの豹変ぶりを初めて目の当たりにしたのは小1の夏休み@東京。
オカンが店員さんに 「これ、おいくら? じゃ、二つ頂くわ」 と言った時の
衝撃は今でも忘れられない。
「これなんぼ? ほな、二つ買うから消費税まけといてな」 がデフォの俺の
オカンが・・・
さて、 “取材旅行” の話に戻ると、なんでも次の次の小説の背景に横浜が
出てくるらしい。6年前に確かに実在したレストランが、ググると潰れている
とか。
「…久しぶりに山下公園や外人墓地や山手教会のあたりもぶらつくつもり、
たぶん、あの頃とは変わってるとこもありそうやから…」
(やっぱ、それは作家さんご自身と読者さんのためすっかね?)
「…Kちゃんの周りでも、他人の間違えを見つけると鬼の首でも取ったように、
ツッコんでくる ‘ちっさい男’ いっぱいおるやろ?」
まあ、確かに他人の小さなミスを指摘するのが趣味のような人は世間にはいます。
てか、なんでジェンダーを ‘男’ と断定するかなあー?
新幹線の中で大女流作家になりきったオカンの姿が目に浮かぶ・・・