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いじめを受けている男の子  作者: 大田下翔
2/2

新たな一日

~翌日~

「行ってきます」

そういって俺は、家を出た。

そして歩き始めてすぐに本を取り出し、読み始める。

歩き始めて五分くらい経った頃。

急に背後に視線を感じた。

まさかと思い、俺はとっさに後ろを振り向く。が、誰もいない。

この通りは曲がり角も特にない、一直線の道路なので隠れられる場所はかなり限られる。なので、自分の気のせいかと思った。だが、違った。

パンッ!という破裂音にも似たような音が聞こえた。

そのすぐ後に、首筋に鋭い痛みを感じる。

痛みに耐えながら後ろを向いたら…いた。

あのいじめっ子たちだ。名前はたしか・・・・相沢勝といったか。

相変わらず、クラスメイト達と話さないのでわからない・・・けど、まぁ、大丈夫か。あとで見れば。

そんなことを考えている俺の視線に気づいたのか、相沢は凶器を隠した。

だが、どうみても遅すぎる。俺の目にはしっかりと凶器が焼き付いていた。

その凶器とは・・・「エアガン」だった。

しかもなんか、すごいいろいろ付いている。銃の先端についているのは・・・サイレンサーだろうか。

この道路で俺の首筋を撃つということはバレないように、消音化するということに頭が回ったのだろう。だが、それが逆に仇となる。しまうときに、ものすごい邪魔になっているのだ。しかも、その銃の上にはスコープみたいなものも付いている。それがさらに邪魔になっているのだろう。

そんな相沢に何か文句を言おうと思ったがやめた。

ここで文句を言ったって結局何も変わらないのだから。

俺は無視して、また本を読みながら歩き始めた。

・・・さらに十分後。

また、背後に視線を感じた。

そこまで、俺をいじめたいのか。いじめたってアイツらの利益になるものなど一つもなかろうに。そう思いながら、俺はまた後ろを向いた。

・・・だが、そこにいるのはアイツらではなかった。代わりにそこにいたのは・・・

「みやちゃん、おっはよ~!」

幼稚園からの幼馴染・・・青森楓だった。というか、おい、抱きつくのやめろ。

周囲に人がいなくても恥ずかしいから。ていうか、女子的に男子に普通に抱きつくのってどうなんだ?恥ずかしくないのか?女子女子で抱きついているのはよく見るけど。

そんなことを考えていたからか、挨拶がものすごい眠いというか不機嫌というか、元気がないというかの返事になってしまった。

「・・・おはよ」

「あれ~?今日は元気がないね?どしたの?あ、元気がないのはいつも通りか!もしかして、彼女に振られた?」

「俺に彼女がいると思うか?」

なんで、元気がない=彼女に振られたになるんだよ。その思考驚きだよ。

「いないよね。見たことない。じゃあ、朝ごはん嫌いなメニューだった?」

地味にひどいなお前。

「でもない」

「じゃあ・・・」

「いや、もういいよ。特に何もないって。考えごとしてたら、曖昧になっただけだから。ていうか、楓はいつも元気だよな。何かあるのか?」

俺達の会話はなぜ、こうクエスチョンマークが絶えない会話なのか・・・。

「ん?そう?」

「自分で自覚ないのか・・・?」

「ない・・・と思う。いつも元気だねーっていうのは言われるけど。」

やっぱりそうなんだ。

「ていうか、早く学校いこ?」

そこで俺は、ずっと止まっていたということに気づく。

コイツといると、どうも調子が狂う。

「おう。そうするか」

そう言って、俺は歩きだして本をカバンから再度取り出そうとして、カバンの中を見た・・・あれ?

本がない。俺はさっきまで止まっていたところを見る。ない。

ついさっきまでは本をカバンの中に入れておいたはずだ。

おかしい・・・が何となくわかる。楓が持って行ったというのが。

これだけで決めるのは相変わらず、ひどいと思うかもしれないがあの楓を見て誰が楓以外の犯人を探すだろうか。

俺の視線の先には・・・・

「おーい、みやちゃーん。こっちだよー本!」

といって、全力疾走をする楓の姿。手にはしっかり、俺がさきほどまでカバンに入れておいた、本が入っている。

「・・・やっぱりか」

俺はため息を吐きながら楓を追いかける。

だが・・・追いつくわけがない。

楓は現役陸上部。俺は帰宅部。さすがに無理がありすぎだ。

俺は呆気なく、体力を使い果たし、その場で立ち止まった。

とりあえず呼吸を整えなければ。

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・」

「みやちゃん、どうしたのー?どこか痛いのー?」

短く縛ったツインテールを揺らしながら俺の方に戻ってくる楓。

痛いとかじゃなくて、ただの体力切れだけど。

「はぁ・・・・おまえどういう体力もってんだ・・・?」

「え?どういうこと?」

「お前の家、遠いのになんでまだそんなに走る体力残ってんだよ」

「そんなに遠くないでしょ。家から学校」

コイツの距離感、おかしい。

いいや。この話するとまた疲れるから。

「ほら、みやちゃん。今度は走らないから…それに、本も返すから早くいこ?学校に遅れちゃうよ」

いや、そもそもお前のせいだからな・・・?学校遅れそうになってるの。

俺が走る速度、遅いのも少しあるけど。

そういうことは置いといて、俺は二つ返事で歩きだした。

そういや、相沢どうしたんだろ。エアガンなんて学校に持って行ったら大変なことになる。それに隠すにしてもいろいろパーツがついてたからかなり大きいのでカバンには入らないだろう。て言うかなんで俺、こんなこと考えてるんだろ?馬鹿か俺。

「・・・でさ、その人さー・・・ってねぇ?聞いてる?」

「ん?あーごめん。ちょっと考えごとしてた。で、何の話だっけ?」

「だからー・・・」

どうしよう。話の内容まったくわからない・・・。

いいや、受け流そう。適当に返事をしていれば大丈夫だろうから。

学校まであともう少し。また静かな一日が始まるのか。今日も何もないことを祈ろう。


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